SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2016.3.29更新

わたしたちのひらめきについて──『ストレンジャー』感想文


一瞬だけを生きるということ

 中条あやみというひとは、何本かの映画で見ただけだが、今回がいちばんよかった。このひとは、こういう役をやるべきなのだと思う。このドラマの中条あやみには、たとえば同世代の小松菜奈にはない、ひらめきがあった。そのひとならではの、つまりは、そのひとだけの、ひらめきに、わたしたちは出会うべきだし、それを発見するべきなのだと思う。事件現場にわたされている黄色い「立ち入り禁止」のテープを優然とくぐりぬけ、闊歩していく彼女の姿は、それだけで、ひらめきを与えてくれる。
 香取慎吾にとっての幸運は、この中条あやみが常に傍らにいるシチュエーションだったのではないだろうか。設定とか、役どころとか、そういうことも大事なのだろうが、少なくともこの『ストレンジャー〜バケモノが事件を暴く〜』に関しては、香取は中条との関係性を生きることで、すべてが定まっていたように思う。あの発語も、あの身のこなしも、硬質なわがままさを、頑なに手放そうとしない、永遠のお嬢様気質の中条あやみに、ある意味、かしずかざるをえないからこそ、そうなっていたと考えられる。彼の黒ずくめの衣装が新鮮だったのも、その傍に、ゴシックを基調としたファッションに身を包みながらも、決してコスプレイヤーには見えない中条が、当たり前のように存在していたからに他ならない。
 女生徒が言う「どっちにも見える」という指摘は、きわめて詩的に、香取慎吾という俳優の資質を言い当てている。ここでは、香取が演じたキャラクターが「独身にも見えるし、結婚しているようにも見える」という意味なのだが、こうした何気ない一言に、この作品の本質は宿っているように思う。人間のようにも見えるし、人間でないようにも見える。中条と共にいる香取は、彼女を護っているようにも見えるし、彼女に護られているようにも見える。大人にも見えるし、子供にも見える。
 延々、説明台詞を言う役どころの段田安則が、すばらしい。役者の真の実力は、説明台詞を言うときに発揮されるが、段田安則は、そのことを見事に実践して、静かな感動を呼ぶ。彼の芝居が、この非現実とも言える物語に、信憑性を与えている。彼は言う、「不老不死の一族は一瞬だけを生きている」と。一瞬だけを生きる。考えてみれば、演者もまたすべて、一瞬だけを生きている一族なのではないだろうか。
 一瞬だけを生きることにきわめて忠実な香取慎吾は、だからこそ、「どっちにも見える」のではないか。明と暗を行き来し、ときには性別すらも超越してしまう彼のキャリアは、そのことを物語っている。
 主人公の過去に流れる曲は、グスタフ・マーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」である。ルキノ・ヴィスコンティの映画『ベニスに死す』がそうしたように、『ストレンジャー』もこの曲を執拗にリフレインする。『ベニスに死す』は、美少年に永遠の美を見出した老作曲家の魂の彷徨いを描いた、世界映画史上に燦然と輝く傑作だが、この「アダージェット」が、香取慎吾にはよく似合う。これは目から鱗だった。
 時間は、永遠に進みつづける。だが、演技者は時を止める。その真空状態に、わたしたちは、我を忘れ、一瞬のなかに、美を見つけ出す。
 いつか、思いっきり耽美な世界を生きる香取慎吾に出逢いたい。



相田★冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。


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家族ノカタチ
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香取慎吾主演。様々な“家族のカタチ”を応援する珠玉のホームドラマ。

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