SMAPコラム「Map of SMAP」

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TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2016.5.3更新

稲垣吾郎の視線──連続ドラマ『不機嫌な果実』第1回の旨味


to be continued

 わかりやすく言えば不倫ドラマということになるのでしょうが、これは、不倫という行為を通して、女性というものを描こうとする作品なのだと思います。たとえば、レディースコミックという呼称は本来、少女漫画と同じように「だれを描くか」に主眼があったはずですが、なんとなくエロティックなイメージをまとわされ、ひとり歩きしてしまった感があります。少女漫画というカテゴリーには、文学的要素もあり、あまり色眼鏡で見られることはありませんが、レディースコミックという言い方には、なにかいかがわしいものを扱うようなところがありますね。
 もはや死語だと思われますが、かつて「女性映画」という、非常に漠然としたジャンルが存在していました。女性が、物語のヒロインではなく、主人公として存在することが少なかった時代の名称です。女性が、男性主人公の恋人ではなく、自立した主人公である映画の場合、かつて、それらはすべて「女性映画」と呼ばれました。
 それと同じように、わたしは『不機嫌な果実』に、「女性ドラマ」という曖昧なカテゴライズを施したい誘惑に駆られます。
 この作品は、栗山千明さん扮するキャラクターが主人公ですが、彼女のお友達役である高梨臨さん、ならびに、橋本マナミさんのモノローグも流れます。高梨さん、橋本さんは主人公ではありませんが、これは、とりあえず現時点では、3人の女性のモノローグが交錯する物語であり、栗山さんのキャラクターの理念だけに依存するドラマではないわけです。
 3人の主観が共存するということは、つまり、何が正しいか、何が正しくないか、という価値判断が一定ではないということで、とりわけ、この作品が不倫という、基本的には不道徳として認識されている行為を扱っている以上、不可欠なものであるに違いありません。そう、たとえフィクションとはいえ、栗山さんの選択を、手放しで推奨するわけにはいかないんですね。バツイチで不倫を許さない「建前」を有する高梨さんのキャラクターは、初回に関してはそのためにあったと見るべきでしょう。ただ、このキャラクターの存在は、栗山さんの主人公に対する防波堤ではなく、「禁を犯す」という後ろめたさに拍車をかけるスパイスになりました。
 一方、橋本さんのキャラクターはかなり堂々と不倫をしているという設定です。つまり「彼女だって不倫して、幸せな結婚生活を送っているのだから、私だって不倫してもいいのではないか」と、主人公がこころのロックを外すきっかけになりうる存在。大雑把に言えば、栗山さんは、橋本さんに憧れる一方、高梨さんに止められる、はざまの心象を生きているのです。そして、このドラマが3人のモノローグで構成されている理由は、女性の胸のうちには、こうした3つのアンビバレンツなキャラクターが同居しているという視点を明快にしたいからではないでしょうか。
 主人公は「私だけが損をしている」とモノローグします。高梨さんや、橋本さんより、自分は恵まれていない。その認識が、ある意味、不倫への第一歩になります。彼女は仕事人間ではありませんが、自分と他人を比較することで、人生という己の「キャリア」を更新させようとします。もちろん不倫はいけない行為ですが、「だれかに必要とされたい」と願うことは多くのひとにとって普遍的であるはず。不倫を、恋愛や肉欲ではなく、あくまで「キャリア」と捉えるなら、これは非常に前向きな選択なのかもしれません。
 さて。女性(たち)の主観が牽引するドラマである以上、男性(たち)の主観は、おそらくここではあまり描かれることはないと思います。
 誘惑してくる成宮寛貴さんも、運命を感じさせる市原隼人さんも、いまの主人公にとっては「いいところしか見えてこない」、つまり「都合のいい」存在です。逆に言えば、稲垣吾郎さん扮する主人公の夫は、「悪いところしか見えてこない」不満の象徴。やはり「都合のいい」存在なのです。
 稲垣さんの演技は、主人公を含めた3人の女性のモノローグで展開するという「女性主観ドラマ」に則したもので、しかし、ことさらに、キャラクターを嫌な感じで表現しているわけでもありません。フラットなんですね。なにかが極端に偏っているわけではない。悪いところも、いいところも、均等にあるひとに思えます。人間だれもがそうであるように。主人公の「不満」を前提に見つめれば、愛情は不足しているように映るかもしれませんが、実は、彼は妻に、彼なりの興味を抱いていることが冒頭の場面からわかります。ほんとうに一瞬のことですが、バスルームを開けて、シャンプーの位置のことを申し渡すあの夫は、ドアを閉める間際、妻の裸体をちらっと見るんですね。あのちらっと感は、あの夫が、主人公の「不満」視点だけからは決して見えてこない何かを有していることを雄弁に伝え、連続ドラマに絶対必要な「続く……」ニュアンスを生んでいました。つまり、稲垣さんはのっけから「続く……」という信号を送っていたんですね。
 あのまなざしを、いやらしいと感じるひともいるでしょうし、執着心と断じるひひともいるでしょうが、わたしは、彼特有の愛情の発露=露呈に思えました。
 このドラマの興味深い点は、どの登場人物も、「自分のために生きている」ところです。
 主観がだれにあるにせよ、ひとはだれかのために生きているわけではない。自分のために生きている。そう、愛情もまた、だれかのためのものではなく、自分のためのものなのです。



相田★冬二

※このコラムは、楽天エンタメナビのオリジナル企画です。


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不機嫌な果実
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林真理子の小説「不機嫌な果実」が約20年ぶりに連続ドラマ化!毎週金曜23:15〜テレビ朝日系列にてO.A.

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