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SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2016.11.22更新

能ある草剛は爪を隠す


『「ぷっ」すま』を観て思い出したこと

 くすぶり芸人の回、大いに笑いました。
 わたしも、くすぶりライターのひとりなので、とてもよくわかるんですよね、このひとたちの気持ちが。
 こういうかたちにせよ、人気番組に出させてもらうのって、すっごいチャンスじゃないですか。で、これほど大きなチャンスは、これまでなかったかもしれないけど、きっと、いままでもあったと思うんですよね、チャンスというものは。
 で、くすぶってるひとが、なんで、くすぶったままでいるかと言えば、そうしたもろもろのチャンスを、ものにできなかったからだと思うんです。
 あの夜の『「ぷっ」すま』を観ていると、そのことがわかるんです。なんで、このひとたちが、ブレイクしてないかが。
 かく言うわたしも、何人かの編集者の方々に、さまざまなチャンスを与えられてきました。でも、ぜんぜん、ものにできないまま、いまにいたります。
 「いまだよ!」というときに、力が発揮できない、というのは、つまりはそういうことです。
 わたしは、くすぶり芸人さんたちの、一夜限りの芸を見つめながら、我が身を振り返り、その上で大笑いしていました。
 自虐ではなく、だからこそ、思いっきり笑えたというか。だって、おれもおんなじだもん、と堂々と笑えたのです。
 ブレイクできないのには理由があるんですよね。真実というものは、いつだって残酷なものです。その残酷さから目をそらして、ひとはあれこれ言うけれど、そうじゃないんです、理由ははっきりしている。
 以前、ある俳優さんの自叙伝のゴーストライターをやったときに、彼はこんなことを言ってました。
「チャンスはだれの上にもあるんだと思うよ。ただ、ちょっと手を伸ばしたり、背伸びをしたりしないと、それは届かないものだし、つかめないものなんだ。ときにはジャンプする必要もあるかもしれない。その『ちょっと』ができるかどうか。それ以前に、そのチャンスをチャンスとして認識できないまま、素通りしてしまうことだってあるんじゃないかな」
 このことばを聴いたときは、成功者が言うから説得力のあることばだなあ、なんて思ってたのですが、いま振り返ると、ものすごく身につまされますね。なんだろ、自分の場合は、ジャンプはもちろん、背伸びも、手を伸ばすこともしないで、棚からぼたもちが落ちてくるのをずっと待っていただけのような気がします。「ちょっと」なんて、ちっともできていなかった。

 ユースケ・サンタマリアさんのイジリとツッコミは最高ですね。
 わたしにしてみれば、残酷な真実の連打のような局面なわけですが、それでも大いに笑うことができたのは、ユースケさんのいい意味で容赦がない批評が緩むことなく繰り広げられていたからです。
 わかりやすい愛ではない。でも、あれは愛そのものですよね。ぜんぜんベタベタしてない、シュガーコーティングとか、贈り物仕様のパッケージとかしていない、そのまんまの愛を、間断なく転がしつづけていました。容赦ない愛。カッコいいな。
 そんなユースケさんの傍らで、草剛さんはなにをしていたか。
 ほとんどなにもしていなかったように見えます。
 何度か発言はしていましたが、特に記憶に残ることはなく、ユースケさんに同意するか、無言のままでいるか、あの旗みたいなのを刺したり外したり、それぐらいしか印象に残ってません。
 それよりも、あの、なんとも言えない、微笑み。はたして、微笑みと呼んでいいものかどうか、つぶさに検証もしていないので、はっきりとしたことは言えないのですが、あの表情のまま、なんとなく、ユースケさんの隣にいて、とりあえずのジャッジをくだしている姿に、彼の存在価値はあったのだと思います。とりあえず、あの夜は。
 たとえば、ユースケさんが同じテンションと同じクオリティで、ひとりでああしたコメントを展開していたと仮定すると、どうでしょう。容赦ない愛。というふうには、あんまり感じられなかったかもしれません。
 草さんが、あんなふうな表情で、なんとなくそこにいることで、ユースケさんのことばはもちろん、くすぶり芸人さんたちのくすぶり芸のかずかずも、なんとなく肯定されていた。そんなふうに思えるのです。

 わたしが草さんに初めてインタビューしたのは1999年、まだ20世紀のことでした。
 映画『メッセンジャー』。
 インタビュー場所に入ってきたとき、一見して、疲れてるなあ、と感じる雰囲気でした。仕方ないよな、だって、すごく忙しいんだもの、と思いました。
 着席しても、目はあわせません。掲載誌をおもむろに手にとり、パラパラと広げるだけでなく、何度か立ち止まり、じっくり読み込んでいたりします。
 草さんのペースがよくわからず、しばらくしてから、ではインタビューをはじめさせていただきます、と伝えました。
 はい、と草さんは応じたものの、開いていた雑誌からは目をそらさず、わたしの質問に答えていきます。
 すごく、不思議な感じがしました。こちらの質問はきちんと聞き、きちんと答えてくれるのです。でも、しばらくは雑誌をチラチラ見ながらでした。
 なのに、なぜか、安心するのです。
 わたしは、インタビューのとき、ひどく緊張するタチです。とりわけ、初めての相手には、ものすごく緊張します。
 それが、ほとんど、なかった。
 草さんの意図はわかりません。そもそも、なにも考えずにそうしていた可能性もあります。
 ただ、思ったんです。
 このひとは疲れているんじゃない。
 脱力しているのだと。
 考えてみれば、芸能人は忙しいひとたちばかりです。何人もの芸能人の方々にインタビューしてきましたが、あんなふうに疲れている雰囲気のひとは初めてでした。
 (あ、いま、気づきましたが、それから少しして、ユースケ・サンタマリアさんにインタビューしたときも、「疲れた」雰囲気を醸し出していました。ふたりは、どこか、感性が、つながっているのかもしれません)
 ひとは、疲れているひとを前にしたとき、緊張している場合ではなくなります。保身よりも、もっと能動的なことを大事にするようになります。これは、人間として当たり前のこと。
 草さんが、雑誌をチラチラ見ていることで、わたしはとてもリラックスできました。楽になれました。
 気がつけば、草さんは雑誌を見てはいませんでした。
 こっちを向いていました。

 草さんは、インタビューのとき、いつもそうなわけではありません。
 ただ、どこかが脱力していて、それでいて、話すことばには前向きな意志が宿っている。それは変わりません。
 狙っているギャップなのか、無意識のズレなのか、わたしにはいまだ判別できません。
 でも、それが、彼の魅力だと思います。





相田★冬二

※このコラムは、楽天エンタメナビのオリジナル企画です。
※「Map of Smap」は、8月24日より毎週水曜更新に変更となりました。


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