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SMAPコラム「Map of SMAP」

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TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2014.2.11更新

TBSソチ五輪メインキャスター、中居正広は「敬意」の本質を伝える


「インタビュアー 中居正広」について考える。
  現在、中居正広さんがTBSソチオリンピック中継のメインキャスターを務めていらっしゃいます。2月8、9日にわたしが見ることのできた中居さんの姿から感じたことをここで書かせていただこうと思います。
 中居さんは6大会連続6度目のキャスター登板となります。中居さんはさまざまな領域でその才能を発揮していらっしゃいますが、MCが自分のホームグラウンドだ、という趣旨の発言をされていることは、みなさんもご存知だと思います。中居さんは以前、わたしがインタビューしたときも、『SMAP×SMAP』の5人トークの際も、自分はMCであることを意識している、4人から話を聞き出すのが自分の仕事だと明言し、驚かされたことがあります。
 中居さんはなにに取り組むときも徹底されているように感じますが、とりわけMCのときの徹底には強固なものがあると思います。MC――すなわち、マスター・オブ・セレモニー、日本では司会者とも訳されるMCという仕事の本質はわたしにはわかりません。また、キャスターという立場についても同様です。
 ただ、わたしはインタビュアーの経験ならありますし、現在もそのようなことをさせていただいておりますので、その観点から、「インタビュアー 中居正広」について考えてみようと思います。
 わたしが見ることができたのは、スノーボード/スロープスタイルの角野友基さんへのインタビューと、女子モーグル/フリースタイルの上村愛子さんへのインタビューです。ソチのスタジオでおこなわれた上村さんへのインタビューもバランスに優れた良質のインタビューでしたが、とにかく角野さんへのインタビューがすばらしかった。あやうく落涙しかけました。角野さんの発言ではなく、中居さんの姿勢に感動したのです。

なぜ、質問するのか。その「基本姿勢」の体現。
 角野さんはメダルも期待されていましたが、8位という結果に終わりました。競技が終わったとき、中居さんは、僕たちは拍手を送りたいけど、角野選手は悔しいのではないでしょうか、とスタジオでおっしゃったんですね。これがどういうことかと言えば、わたしたち観衆の想いと、選手の想いは、違うかもしれないという大前提の明示なんです。これは、とても当たり前の話なのですが、わたしたちはときに、このことを忘れてしまう。とりわけ、アスリートの背景が「物語」化されて、メディアによって流布されるのが当然の世の中では、観衆が選手のことを「わかった気になる」という間違いが往々にして起こります。そうではありません。わたしたちには、選手の気持ちはわからない。わかるはずがないんです。
 中居さんは、率直な感想として、この原則を伝えていると、わたしは思いました。そして、このことが、そのあとのインタビューに見事に接続されていたのです。
 中居さんはまず、観客のひとりとして、そのような発言をした。なぜなら、その時点では、競技場にいる角野さんと、スタジオにいる中居さんは、テレビ中継的につながっていたわけではないからです。わたしはここに、中居さんの礼儀を見ます。それは観客としての礼儀です。自分はこれから角野さんにインタビューするが、あくまでも観客のひとりにすぎない。そして、観客と選手は違うのだ。だから、わたし(中居さん)はあなた(角野さん)に訊く。そのような、節度ある確認がなされていたように思います。
 インタビュアーは、相手のことを「わかったつもり」になっていてはいけません。わからないから、訊く。それが、インタビューの基本だとわたしは考えています。

個人が、個人に尋ねる。それこそが「インタビュー」である。
 そして、競技場の角野さんと中継がつながり、スタジオの中居さんから、いくつかの質問がなされました。
 中居さんがインタビュアーとして優れているところは、ご自分が感じたことを率直に(しかし節度をもって)話しながらも、そのことに同意を求める素振りが一切ないことなんですね。これは非常に難しいことなんです。多くの番組で、多くのひとびとに接してきた中居さんの経験値がそうした振る舞いを作り上げているとも考えられますが、わたしは、それはキャリアの賜物というよりは、中居さんがもともと持っていらっしゃる資質なのではないかと思います。
 自分はこう思う。多くの場合、対話というものはそのように始まるものですが、そのとき、ひとは、どこかで、同意を求めていることが多いんですね。これは、わたしもよく起こす間違いなのですが、自分の意見を述べるということは、相手に同意を求めることではないんです。なのに、意識していなくても、そのように語りかけてしまうことがあります。無意識にそうしてしまっていることが多いので、むしろ、意識することが必要なんですね。中居さんの質問を聴いていて、感じるのは、このひとは己を律しているな、ということです。自分の考えを、短い時間でさらりと伝えながら、あくまでも、相手への問いとして着地させています。ものすごくさり気なくおこなっているので、簡単なことにように思われるかもしれませんが、これは大変難しいことなんです。インタビュアーのひとりとして、まずそこを感じましたね。
 これは上村さんのときもそうでしたが、中居さんは、アスリートが現場(つまり競技場)でなにを感じていたか、ということを重要視します。この質問が優れているのは、この質問自体が、相手への敬意のあらわれになっているという点なんですね。これがどういうことかと言えば、あなた(だけ)が感じていることを教えてください、という意志の表明なわけです。わたしは観客のひとりとして、選手であるあなたに、訊いている。この地盤がしっかりしているからこそ、有効な問いだと思います。あなたには、あなたにしかわからないことがある。わたしは、それを知りたい。だから、教えてください。中居さんは、インタビュアーがもっとも大事にしなければいけない姿勢を実践しています。
 会場の空気はどうでしたか? そこから見える景色はどのようなものでしたか? やあ、とまるで挨拶するように繰り出されたことばは、けれども、相手の核心に迫っています。角野さんが感じた空気は角野さんにしか感じられない空気であり、上村さんが見た景色は上村さんにしか見ることができない景色なんですね。中居さんの質問は、人間としての敬意を忘れていないから、清々しいんですね。
 わたしが泣きそうになったのは、中居さんの最後のことばでした。
 角野さんの答えを受けて、あなたが競技を楽しむことができたなら、それがなによりです、という意味のことをおっしゃったんですね。大舞台に立った17歳男子にかける、これは最上のことばではないでしょうか。それは、単に角野さんそのひとを肯定しているだけでなく、角野さんの経験そのものを讃えることばだったと思います。
 インタビューのなにが難しいって、終わらせ方なんですよ。角野さんは、決して悔しさはにじませなかったし、そのようなことは一言も言いませんでした。ただただスノーボードという競技への敬意を表明しました。中居さんは、そのような角野さんの姿勢に、自分自身の敬意を捧げていました。観客の代表としてではなく、中居正広一個人としての発言だったと、わたしは受けとっています。それは、個人の敬意と個人の敬意が交錯した瞬間でした。
 中居さんはTBSの同番組ホームページのなかで、選手に対して「尊敬」ということばを使っていますが、尊敬とはきわめて個人的なものであるという真実を、彼はここであざやかに証明していたのです。



文:相田★冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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TBSテレビ「ソチオリンピック2014」
TBSテレビ「ソチ五輪 2014」

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