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SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2014.3.11更新

「震災から3年“明日へ”コンサート」――3月11日とSMAP


うたは、生きている。
あなたへ
 久しぶりに手紙を書きます。そっちはどうかな? こっちは寒いよ。3年前も寒かったね。
 昨日の夜、ある番組を観た。いろいろなひとたちが、今日という日のために、うたを歌っていた。いいコンサートだったと思う。熱すぎないし、ぬるくもない。人肌っていうのかな。ぬくもりが適温で、凛としたなにかがきちんと立っていた。
 きみにも聴かせたかったな。西田敏行が坂本龍一の伴奏で「もしもピアノが弾けたなら」を歌ったんだよ。坂本のピアノは出発点にジャズがあるひとらしい演奏で、とてもよかった。あの曲が新たに生まれ変わったような気がしたよ。さだまさしが「精霊流し」で弾いたヴァイオリンの響きも、特別なものだった。音楽って不思議だね。音という振動が届くことによって、こころが震動するんだから。揺れ動くことによって、自分の状態が浮き彫りになる。音楽が知らせてくれる。「あなたは、いま、こんなふうだよ」って。音楽ってとても主観的であると同時に、とても客観的でもあると思う。没入だけじゃなくて、我に返るような効果もある。泣いたり笑ったりできるお酒みたいなところもあるけれど、目を醒めさせてもくれる。気付け薬でもあると思うんだ。
 そうそう、森高千里が「この街」を歌ってね。あの繊細なジェスチャーも、きみに見せたかったな。森高は、あの翌年から本格復帰したんだよ。あれから。いろんなことがあった。
 SMAPはオープニングとエンディング、そして中盤で3曲つづけて歌った。5曲のうち、3曲が「あれから」リリースされた曲だった。
 しょっぱなの「not alone〜幸せになろうよ〜」(2011.5.4リリース)は「あれから」2ヶ月しないうちに配信された曲だったから、たぶんあの日以前に曲は出来ていただろうし、あの日以前に録音されたものだったのかもしれない。4月18日にはじまったドラマ「幸せになろうよ」の主題歌だったしね。なのに、いま聴くと、まるで「あれから」のために作られた曲のように思えるんだ。あの曲を作曲した菅野よう子は、2011年3月13日、つまり「あれから」2日後に、YouTubeで「きみでいて ぶじでいて」という弾き語り曲を急遽配信した。もちろん、3月11日のためのうただ。
 そのせいだろうか。「not alone」の歌い出し――あの日ぼくたちはもう一度生まれた――の「あの日」は3月11日のことなんじゃないかって思えるんだ。そうじゃないはずなのに。でも、「あれから」を生きているひとなら、きっとそう感じると思う。
 うたは生きている。ぼくはそう思ったよ。あの曲を歌うSMAPを見ていて。うたは生まれたときのままじゃないんだ。うたは成長するし、生まれ直すことだってある。赤ん坊には、昨日も今日も明日もない。たったいま、しかない。いや、たったいま、さえ意識化されてはいない。そんなふうに生きている。だけど、3歳にもなれば、それまで意識されていなかったことを、自ら意識するようになる。「自分」というもののはじまりがいつなのか、ぼくにはわからない。だけど、この世に生まれ落ちた瞬間だけがはじまりでもないし、いちばん古い記憶だけがはじまりでもない。逆に言えば、いつでも、はじまりになりえるんじゃないか。毎日、はじまりなんじゃないか。そんなふうに思うんだ。
 うたも同じだと思う。「あれから」3年のあいだに、「not alone」といううたは、三たび春を迎えた。そこには3年分の成長があり、3年分の日々のはじまりがあった。そういうことなんじゃないかなって。


きみも、ぼくも、ひとりじゃない。
 このうたが歌っているように、想像の力はたからものだよ。いま、ぼくがこうして、きみに手紙を書いているのも想像の力によるものだ。
 否定じゃなくて肯定しようよ。そのことはSMAPがこれまでも歌ってきたことだった。SMAPはいつだって日常を讃えるうたを歌っていたからね。だけど、このうたは、タイトルにあえて否定形を用いることで、「否定じゃなくて肯定しようよ」ということを逆説的に伝えている。ひとりじゃない。この否定形こそが「肯定」なんだということ。ひとりじゃない。きみも、ぼくも、ひとりじゃない。
 きみがカラオケで歌った「夜空ノムコウ」(1998.1.14リリース)も、きみが大好きだった「オリジナル スマイル」(1994.6.6リリース)も、SMAPは歌ってくれたよ。「夜空ノムコウ」は5人の距離感が素敵だった。それぞれが、それぞれの場所にいて、自分の場所から声を発する。それぞれは離れているけれど、離れているからこそ、やさしくなれる。それって、つまり、ひとりじゃない、っていうことだ。そのことがちゃんと受けとれるうただった。
 いまのところ最新曲になる「ハロー」(2013.12.18リリース)も、最後に歌った「手を繋ごう」(2012.8.1リリース)も、昨日のSMAPは「手」にこだわっていた。「ハロー」のラスト、香取慎吾はポケットから手を出すことの大切さを、さり気ない動きで示してくれた。木村拓哉はどの曲でも一貫して、手を最大限に活用して、ボディランゲージしていた。稲垣吾郎は「両手」のこころで歌っているように見えた。中居正広が「手当て」の話をした。そして、みんなで草剛にタッチした。草剛は「ありがとう」と言った。
 あの日、たしかに多くのひとやものが失われた。そして、きみはもうここにいない。
 だけど、失われただけではないのだと思う。なにかのはじまりでもあったんじゃないかって、ぼくは考えている。きっと、多くものが生まれている。
 だって、うたは生きているからね。こんなふうに。あんなふうに。
 ぼくもときどきは、SMAPがそうしていたように、きみに向かって手をのばしてみようと思う。
 今日という日が、きみにとって安らかな日でありますように。祈っています。
 
 2014.3.11.


文:相田★冬二
※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
※【お知らせ】次回のMap of Smapは、3月16日(日)更新予定です!
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SMAP5枚目のベスト・アルバム。「not alone〜幸せになろうよ〜」収録。2011年8月発売。

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