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SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2014.4.1更新

「森田一義アワー 笑っていいとも!」にありがとう。


「お前は、そのままでいい」
 火曜日の最終回があり、水曜日の最終回があり、木曜日の最終回があり、金曜日の最終回があり、月曜日の最終回があり、グランドフィナーレという最終回がありました。文字通り、毎日が最終回でした。
 春は別れの季節と申しますが、32年後の旅立ちを前にして、つい大きな時代が終わった、なんていうことを言ってしまいたくもなります。たとえば、昭和という時代はずっと終わっていなくて、でも、それが昨日、ほんとうに終わってしまったのだと。いくら年号が変わろうとも、いくら新しい世紀を迎えようとも、あの番組がつづいているかぎり、「わたしたちの時代」は終わらない、そんなことを無意識のうちに考えていたということに気づかされるわけです。空白、というものは、いつだって、そこにあったはずのものを、浮き彫りにします。わたしたちは、なくしてみて初めて、それはあったのだ、ということを知るのです。月曜日の最終回のゲスト、ビートたけしさんが、「霊」の話をしたのは、ですから象徴的でした。もういないのにいる、目に見えないのにいる、それが「霊」だからです。
 金曜日の最終回、忘れられないことばがふたつ、こぼれ落ちました。その日のレギュラーだったひとが、この番組に出演しはじめたころのことを回想し、自分はタモリさんに、こんなことを言われたことがあると語ったのです。「お前は、そのままでいい」。どうしていいかわからず、悩んでる彼に、タモリさんはそうことばをかけたのだそうです。こんなこと言われたら、一生忘れられないですよね。「お前は、そのままでいい」。これに勝る肯定のことばは、たぶんありません。
 そして、タモリさんはこの日、次のような名言をのこしました。おそらくこれは、永遠不滅のことばです。滅びることのないことばが、この世にはあるのです。
 あるコーナーのなかで、「笑っていいとも!」とはなにか? という問題が出されました。32年間、司会をつづけたタモリさんはこう答えたのです。「観たことがないので、わからない」。タモリさんには「反省しない」という有名なポリシーがありますから、おそらく、ご自身の番組を録画して、あとから観るということはないのだと思います。ただ、この発言は、そうした彼のポリシーを超えて、ある真実を証明しています。それは、不滅の真実と言っていいものだと思います。
 これは、「笑っていいとも!」は生放送による番組だったということをあらわしていることばだと思います。生放送番組を録画で観るということは、生放送番組を観る、ということとはちょっと違うことなんですね。この番組が始まった1982年、まだビデオは各家庭に完全に普及していたわけではありませんでした。そして「笑っていいとも!」という番組は、「お昼休み」という、ほぼ全国で共通の特定の1時間との親和によって存在していました。つまり、この番組を観るということは「お昼休みを生きる」ことに他なりませんでした。逆に言えば、現実の「お昼休み」に観ることが「笑っていいとも!」を「生かしていた」のです。
 タモリさんはスタジオアルタの舞台に立っていますから、この番組を「生」で観ることはできません。なぜなら、テレビに映っているひとだからです。当たり前のことなんですが、被写体となっているひとは、その場で、自分の姿を見ることはできないし、その場で、自分が属している作品を見ることもできません。だから「わからない」。タモリさんのこのことばは、ほとんどの芸能人にとって、核心をつくことばだったのではないでしょうか。それが「生」であるかぎり、自分の仕事は「見る」ことができない。このことばを拡大解釈すれば、芸能以外の仕事をしているすべてのひとにとっても同じことが言えると思います。さらに言えば、自分のことは「見たことがないので、わからない」といってもいいかもしれません。自分の生という「生」を、わたしたちは「見ることができない」。だからこそ、「お前は、そのままでいい」ということばはかけがえのないことばとして響くことになります。

「見たことがないので、わからない」
 起きたら、朝ではなく昼だった。そんな経験は、だれにでもあると思います。起きる、テレビをつける、「笑っていいとも!」が放送されている、あ、もう、昼なんだと気づく。かつて、そんな時代がありました。テレビが時計がわりだった時代があるのです。
 学生時代のわたしの友人は、大変自堕落な生活を送っていました。起きると「お昼休みだった」ということが、数限りなくあったそうです。その友人が、当時語っていたのは、こんなことでした。
 「笑っていいとも!」がやっているということは、つまりおれは、今日という日の半分に間に合わなかったってことなんだよね。まあ、午前様になってから寝ているからなんだけど、やっぱり、夜中に「新しい日を迎えた」とは思わないわけだよ。ましてや、寝る前に、「新しい日を迎えた」なんて思うわけがない。やっぱり、寝るのって「その日が終わった」ってことじゃない? ひとは寝て起きて初めて「新しい日を迎える」ことができるんだよね。一人暮らしをしていると、起きて音がないとさみしいから、テレビをつけるのね。すると、「笑っていいとも!」やってるんだよ。ああ、もう昼か……って、毎回思うんだよね。なんなんだろうね、あの感じ。申し訳ない、という気持ちと、でも間に合った、っていう気持ちが、同時にあって、仲良く一緒にいるみたいな気がするんだよ。その日の午前に間に合わなかった、というのは、親をはじめ、世間のひとたちに申し訳ない気持ちになるよ。だって、朝9時とかから仕事してるんでしょ? ほとんどのひとは。で、いま、「お昼休み」を迎えて「いいとも!」観てるわけで。いま、起きたおれが、ほんとは一緒に「お昼休み」満喫しちゃいけないよね。笑ってる場合じゃないんだよ、ほんとうは。笑っていいのは、午前中、ちゃんと働いてたひとなんじゃないか。そんなふうにも思うんだけど、でもさ、「笑っていいとも!」っていう番組は、こんなおれのことも赦してくれる気がするんだよね。それこそ「笑っていいとも!」って。だからさ、「笑っていいとも!」に間に合うと、「その日に間に合った」って思えるんだよね。あの時間って、正確に言えば午後なんだろうけど、午前でも午後でもない、エアポケットというか、午前と午後をつなぐ何かだと思うんだよ。だから「お昼休み」っていうんじゃないか。人生の「幕間」みたいな。おまえの午前は今日もなかった。だけど、午後はあるぞ。そう言ってもらってるような気がするんだよね。
 あの友人が、いま、どこでどうしているのか、まったくわからないのですが、昨日の「いいとも!」、観てたかな、観てるといいな、そんなことを思いました。
 SMAPはかつてスケートボーイズという名前でした。スケートボーイズが結成されたのは1988年。ぎりぎり昭和だったんですよね。だからでしょうか。これは、あくまでもわたし個人の感覚ですが、SMAPは平成のグループという気がしないんです。昭和と平成をつなぐエアポケットに誕生したのがSMAPだと考えています。
 テレフォンショッキングに出演した木村拓哉さんは「時間」の話をしていました。稲垣吾郎さんは、「SMAP×SMAP」にタモリさんが登場したとき、「ぼくのこと面白いと思ってくれてます?」と言いました。グランドフィナーレで香取慎吾さんは、タモリさんに怒られたことがないと話しました。草剛さんは、いつかタモリさんのように素敵に笑えるひとになりたいと語りました。中居正広さんは、「いいとも!」があったからこそ、自分はバラエティを中心に進んでいきたいと思ったと告白しました。
 おそらく、SMAPのみんなも、自分のことは「見たことがないので、わからない」のだと思います。だけど、そんなSMAPも、タモリさんと「笑っていいとも!」に肯定されていたのだと思います。「お前は、そのままでいい」と。
 グランドフィナーレの最後に、タモリさんはこう挨拶しました。「みなさまから価値をいただいた、衣装を着せていただいた」と。
 時代というものは終わるものかもしれません。ただ、時間というものは終わらない。毎日は最終回かもしれない。けれども、時間は終わることなく、ただ、つづいていくのだと思います。
 だれかがだれかを肯定した時間、だれかがだれかに価値を与えた時間、だれかがだれかを赦した時間、それは決してなくなったりはしないのです。
「お昼休み」は終わらない。



文:相田★冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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