SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2014.6.24更新

『What's海賊団 木村拓哉のWhat's UP SMAP!』を聴く。


聴いたことのない声
 えーっと、わたし、初めてなんですよ。この番組、聴くの。いえ、ずっと、気にはなってたんですけど、ラジオとは無縁の生活を送ってまして。ですんで、これから話すことは、あくまでも6月20日の23:00から23:30までの30分間の放送、それを聴いただけの感想だ、ということを最初にお断りしておきますね。
 あのですね、びっくりしたんですよ。木村さんの声が違う、って。マイクのせいなんですかね。それとも、ラジオのせいなんですかね。あ、わたしは、「radiko.jp」というアプリを使ってiPadで、外出時に歩きながら聴取したんですがね。このあとの番組の山下智久さんの声は、山下さんの声に聞こえたんで、たぶん、機器のせいでも、わたしの耳のせいでもないと思うんですけど。
 木村さんには何度かインタビューしてるんで、彼の生の声は知ってるつもりです。で、それを録音したものを再生したりもしているんで、音声データにする過程で、どの程度、声が変質するかもわかってるつもりです。あと、撮影現場も、少しだけですけど、覗いたことあります。つまり、芝居の「現場」で、木村さんが、どのような声を発しているか、聴いたことはある。で、その声とも違うんです。
 前に、お話してると思うんですが、木村さんは、映画のときと、ドラマのときでは、演技のアプローチというか、「作法」が違うひとなんですね。この違いについて話してると長くなるんで、今日はやめときますけど、なんかね、それ以上の違いを感じましたね。ざっくばらんに言えば、わたしが知っている木村さんの声と、このラジオ番組の木村さんの声は、ものすごーく違う。で、それは、さっきお話したように、ラジオというメディアを通しているから、という音質の技術的な違いではないと思うんですね。もちろん、『SMAP×SMAP』や他のバラエティに出てるときの木村さんの声とも違うし、生放送番組(このときの木村さんもまた、他の木村さんとは明らかに違うのだけど)のときの声とも違う。「え? こんな声を持ってたの?」というのが、第一印象です。
 何が違うか? 木村さんはもともと低音が響くタイプなんですが、その低音の響き方が違うと思うんですね。正確に言えば、あまり響かなくて、ごろりとしている。適切なことばではないかもしれませんが、わりと大きめの「まるい石」みたいな感じを受けます、この番組の木村さんの低音には。
 ひとり語りですからね。口調が違ってくる、ということは当然あると思うんです。リズムとかブレスとか、そういうものは違ってて当たり前ですよね。芝居にしろ、バラエティにしろ、インタビューにしろ、相手とのやりとりですから、そういうときの速度や呼吸とは違うはずです。でもね、そういう違いじゃないんですよ。
 これね、番組が終わってから、しばらく考えたんです。どういうことなんだろう、いったい? って。でね、現時点での自分なりの考えを言えば、あ、これは、声優としての木村拓哉なんだな、ということなんですよ。

ラジオだからできること
 『ハウルの動く城』という映画での木村さんのボイスアクティングはとてもすばらしいもので、わたしは、木村さんの映画の代表作の一本だと考えているんですが、あの映画、最初に観たときは、木村さんの声とは思えなかったんですね。二回目に観たときにはっきりわかったんですが、あそこで、木村さんは、わたしたちがイメージしている「木村拓哉の声」のなかにある重要なファクターのひとつを、ひょいと抜いちゃってるわけなんです。ものすごいことなんですよ、これは。低い声のひとが高い声を出しているとか、クールな声のひとが朗らかな声を出しているとか、そういうわかりやすい次元の話ではなくて、「え? そういうことは可能なの? 人間の能力として、アリなの?」ってことなんです、大げさに聞こえるかもしれませんが。
 木村さんはあの当時のインタビューで「ハウルを見ていたら、ああいう声になった」ということをおっしゃってますから、アニメーションとして目の前に「いた」ハウルというキャラクターに対するリアクション、つまり通常の演技と同じことをしていた、とも推測できるんですが、そのあとの『REDLINE』というアニメでは、「これはもう間違いなく木村拓哉でしょ!」という声を出してるんですね。共演の浅野忠信さんとか、蒼井優さんたちが、わりと作り込んだ声を発しているのとは対照的に、普段の映画やドラマでは封印している、と思われる「素の木村拓哉」のようなものを、あえて投げ出している、その大胆さに当時、驚いた記憶があるんですが、『REDLINE』の声とも違うんです、ラジオの木村さんの声は。
 これは、あくまでも、わたしの捉え方にすぎないんですが、思うに木村さんは、この番組で、「キャプテン」という役を演じているのではないでしょうか。「キャプテン」の人格を体現している、というほど極端なことではないにしろ、声のありように関しては「キャプテン」というキャラクターに扮している、もっと言えば、それに興じている、そんな気がしてなりません。
 ラジオですから、木村さんのすがたかたちは見えないわけです。声だけだからできること。その可能性を『ハウル』にも『REDLINE』にも感じましたが、アニメには映像があるんですね。木村拓哉そのひとではないにしろ、映し出されつつある視覚映像との相乗効果がある。ラジオは、視覚から完全に切り離された場であり、よりシンプルに、ボイスアクティングそのもので勝負できるわけです。その醍醐味を享受している、よろこびのようなものが、あの声にはあるように思います。さらにいえば、「キャプテン」を演じることを楽しむというよりも、「キャプテン」として楽しむ術を知っている、そういう感じですね。

キャプテンとは誰なのか
 あの夜は、唐沢寿明さんちでのお話とか、『SMAP×SMAP』に出演したざわちんさんのお話、リップクリームのお話、ラジオ番組『POP・SMAP』での想い出、親友のお話、「もみまん」のお話などがありましたが、それらが、なんともシームレスにつながっていたと思うんです。もちろん、木村さんとして、それぞれの話題をつないでいるわけですが、そのつなぎ方に、声の上での個性=キャラクターがあって、それこそが「キャプテン」なのだと、わたしは思いました。
 ざわちんさんのときに用いた「デッサン」という単語はきわめて木村拓哉的な語彙だと思ったんですが、「キャプテン」は、木村拓哉特有の比喩的表現をあまり使わない印象がありました。ラジオという場に対する考慮かもしれませんが、非常に具体で攻めてくる。その顕著な例が、「第三者の声」ですね。『POP・SMAP』のとき、ジャニーさんに怒られた、「YOU、最悪だよ」と言われたというエピソードを披露してますが、この「YOU、最悪だよ」が実にいい。とりわけ、声色を変えているわけではないんですが、ひとり語りのなかに別な文脈を導入するタイミングが絶妙で、ちょっとラジオドラマのような趣もある。エッセイというより、ちょっとフィクションめいてるんです。木村さんは、自分の「こころの声」も「第三者の声」のように扱っています。ざわちんさんのミニスカートにふれて、「やめてくれよ! 目がいっちゃうだろ!」と自分で自分にツッコミを入れているんですが、取り扱いの距離感が「YOU、最悪だよ」に近いんですね。
 でね、たぶん、この放送を聴いたほとんどリスナーの、これ、ツボだったと思うんですが、リップクリームのお話のとき、女性のある仕草について、詳細に語りながら、「あれ、嫌いじゃないですよ」と、自身の本音=モノローグを「第三者の声」として配置しつつ、さらに「僕、好きよ」とダメ押しするんですね。いやあ、あれにヤラれちゃったひとは多いんじゃないでしょうか。「僕、好きよ」って、ちょっとね、言えないと思うんですよ。おそらく、これは木村さんの本心ではあるでしょう。その本心をキュートに伝える、いや「告げる」と表現したほうがよいのかもしれませんが、そのために「キャプテン」は非常に有効なキャラクターなのだという気がしました。
 「僕、好きよ」の一言を言うために、とても練られた流れがあったように思うんですね。リップクリームのお話は、表現としてとてもフェティッシュでした。「キャプテン」の語りには非常にフェティッシュな側面がありますが、これが、単純に「キャプテン」の性格、というような印象は受けなかったし、あるいは、これは木村さんの趣味ですね、とも思わなかった。
 「キャプテン」=木村拓哉がフェティッシュなのではなく、わたしたちリスナーを「フェティッシュな気持ちにさせる」、その誘導として、あの声はあったのではないか。
 つまり、「キャプテン」は、わたしたちのこころを「まさぐる」存在であり、また表現なのだと、思いました。
 そして、あの夜のいちばん最後のお話は、「声」についてのお話でした。個人的には、これがある種の「サイン」に感じられました。この番組は「声をめぐる冒険」なんだよ、というか。考えすぎですかね。たぶん、そうかもしれません。ですが……。
 「初めて聴いて、なにを、いまさら」とお叱りを受ける覚悟で、あえて言います。
 木村さんって、ほんとうに底知れないですね。



文:相田★冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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