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SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2013.8.27更新

最新CF<ボス グランアロマ>は、SMAP史上最も香るSMAPである

 ※「ボス グランアロマ」のCFはこちらでご覧いただけます。

白、泡、そして赤へ
 blanc(ブラン)、jaune(ジョーヌ)、rouge(ルージュ)。あるいは、bianco(ビアンコ)、gallo(ジャッロ)、rosso(ロッソ)。わたしたちは、三つの色、白、黄色、そして赤について、呪文のようにつぶやかずにはいられなくなる。
 彼ら五人が、同じ色の衣服に身をつつむ様に、わたしたちは、出逢いつづけている。白――ゼロとも言い換えられるその色は、5人が揃う携帯電話のCFのなかで、あるとき着用されていた。Come on! あのキャッチコピーには、いったいどのような決意が秘められていたのだろうか。いずれにせよ、白をまとった彼らは、ただひたすら進みつづけた。直線的な運動体としてのSMAPが、そこにいた。
 黄色――「Joy!!」においてわたしたちを最も驚かせたのは、あの色ではなかったか。あの楽曲において、あのプロモーションビデオにおいて、最も大きなテーマとなりうるものは、あらゆるものから意味を消し去り、同時にあらゆるものを再び輝かせる、あのカラーではなかったか。彼らはそこで回っていた。円環、つまり輪としてのSMAP。
 そうしてわたしたちは、新しい色に遭遇する。<ボス グランアロマ>CFにおける彼らは、コピーをもじるならば、「SMAP史上最も香るSMAP!」である。赤というよりは、深紅――そのコスチュームを目の当たりにして、わたしたちは直感するだろう。blanc、jaune、rouge。あるいは、bianco、gallo、rosso。これは、ワインの色を示しているのではないか。イエローをシャンパーニュ、もしくはフランチャコルタと捉えるならば、SMAPがここで辿っている経路は、白ワイン、泡、そして赤ワインということになる。<ボス グランアロマ>『ティザー』篇(15秒)で謳われる「シャンパン酵母」「ワイン発酵技術」なるコーヒー飲料には不似合いにも思えるフレーズが、草剛のナレーションと共に運ばれてくるとき、確信するだろう。わたしたちはいま、SMAPという極上の「コース」を味わっているのだということを。
 本題に入る前に、いま一度、前二色について振り返ってみよう。「白」CFでは、前述したように徹底的に直線的な運動としての映像が繰り広げられた。それは正しく「視覚」的だったと言えるだろう。対して「黄色」=「Joy!!」は、「聴覚」に訴えた。それは楽曲をめぐるリリックやメロディやサウンドということではなく、プロモーションビデオ冒頭に提示された様々な音のことである。あの音は、こころの音、すなわち、わたしたちがわたしたちの鼓動に耳を傾ける契機としてそこにあった。「黄色」がシャンパーニュだとしたら、その音は泡の音でもあるだろう。わたしたちが体内に宿している、泡の音。
 あえてワインにこだわるならば、「白」において、Come on! というかけ声と共に、コルクが開けられた。当然のごとく、それは直線的な動きでなければいけない。ボトルの栓はいつだって、上に向かって抜かれる。わたしたちはその様を「目」で「見ていた」。そうしてワインが注がれる。グラスの内壁を濡らしながら、音が立ち上がる。泡の音。「黄色」の呼びかけを、わたしたちは「耳」で「聴いていた」。では、「深紅」がもたらすものは? 言うまでもなく「嗅覚」だ。わたしたちは、今度は「鼻」でそれを「嗅ぐ」のである。
 ワインを開け、注ぎ、色を見つめ、回転させて、その香りを愉しむ。blac、jaune、rouge。あるいは、bianco、gallo、rosso。この流れは、必然だったのである。

花から鼻に手渡されたもの
 「世界に一つだけの花」が流れるこのCFは、わたしたちを未知の領域に誘い込む。まずそれは、このようなことが起こっていいのだろうか? という戸惑いである。一般的には彼らの代表曲の一つとして認識されているだろうこの曲を、ここで映し出される映像はシンプルに、そして大胆に反転させる。この曲を深く愛するひとにとっては「転覆」とも受け取られかねない「置き換え」である。ボス史上最も香るボス!なのだから当然と言わんばかりに、鼻を強調したメンバー5人が登場する。「世界に一つだけの鼻」――パスティーシュではない。これは替え歌ではなく、流れるのは原曲である。音として、ハナはハナのままなのに、「花」が「鼻」になる。この鮮やかなマジックのような現象に立ち会い、わたしたちはつぶやかずにはいられない。それは起こるのだ、起こっても一向に構わないのだ、と。
 この「倒置」の素晴らしさは、それがもたらすものが、一切笑いには加担しないことである。外国人やピノキオなどを想起させもするあの「扮装」は、けれども、いささかもコスプレに堕すことなく、生きとし生ける者すべてをフラットな地平に連れてゆく。大きな意味でジェンダーなき世界へ。
 そこでは国籍は問われていない。そこでは人間であるかどうかも問題とされない。そのことはやがて姿をあらわすであろう宇宙人(トミー・リー・ジョーンズ)がさらに証明することになるだろう。
 彼らが日本人でなくても、彼らがロボットであっても、彼らがエイリアンであっても、一向に構わない――そんなわたしたちの視座を具現化したものが、あの「鼻」である。これは「世界に一つだけの花」という曲が描ききれていなかったテーゼだ。「世界に一つだけの鼻」は、「世界に一つだけの花」を拡張させた。いや、解き放ったと言ってもいい。ここにはあるのは、「ナンバーワンよりオンリーワン」の先にある思想かもしれない。この世界、いや、この宇宙に存在する、ありとあらゆる「ワン」はすべて等価である。「ワン」は「ワン」であれば、それでいい。それだけで価値がある。One is one.

目に見える真新しいプロポーズ
 『開発』篇(15秒)で明示される、それぞれのアップ映像。中居正広は、吸い込む。木村拓哉は、仰ぎ見る。稲垣吾郎は、堪能する。草剛は、微笑む。香取慎吾は、口角があがる。「ワン」は「ワン」でしかないのだという主題が、五つの「変奏」によってかたちにされている。もはやそれらは「オンリー」ですらない。素敵な香りを嗅いだとき、わたしたちの誰もが感受しうるきわめて原初的な「反応」のサンプルとして、そこにある。わたしたちはあるとき、吸い込むだろう。わたしはあるとき、仰ぎ見るだろう。わたしたちはあるとき、堪能するだろう。わたしたちはあるとき、微笑むだろう。わたしたちはあるとき、口角をあげるだろう。それらはすべて、わたしたちの可能性だ。五つのサンプルが、そのことを知らせる。
 『花屋』篇(15秒)では、ダイレクトに「鼻」が「花」とドッキングする。まるで事故のように。五人は花屋を訪れる。「花」が「鼻」になり、今後は「花」に出逢う。目眩のようなハナ→ハナ→ハナの変遷。「花」と「鼻」とが同じ音で結ばれていた日本語の神秘から、わたしたちはあらためて大いなる何かを受け取るだろう。花は育み、生け、愛でるものでもあるが、嗅ぐものでもある。「視覚」だけではなく「嗅覚」にふれてくるものなのだ。
 「鼻」が強調されていたことがまったくギャグではなかったことが、ここで明らかになる。そう、「鼻」は「花」を嗅ぐためにあったのだという当たり前の現実が、未知の領域を変幻させる。見知らぬ場所が、居心地のいい場所になる。そんな魔法。
 稲垣が、花を手にとった草を見つめるショットが印象的だ。いや、彼は見つめているのではない。誰かが花を手にとったことに「反応」しているのだ。なにかが、そこで行なわれた。そのことを肯定するように、稲垣はそちらに向く。
 五人は思い思いに、そこに居る。One is one.
 木村はやはり見上げる。草は振り返る。音に「反応」した中居が、CFの最終盤に見せるまなざしが美しい。香取の「鼻」に、小鳥がとまる。その奇跡と同じように、ありとあらゆる「反応」が、そこでは祝福されているように映る。
 わたしたちは「反応」する。この本能に対する、慎ましやかな讃美こそが、「深紅」のSMAPからの最新の提案なのだと思う。メニューのことをproposta(プローポスタ)と呼ぶシェフがいる。proposta、イタリア語で「提案」を意味する。「提案」は英語でもフランス語でもpropose(プロポーズ)。この言葉の語源は、proponere(プロポネール)。「見えるところに置く」を意味するラテン語にあるという。
 これは、SMAPからの真新しいプロポーズだ。SMAPは、それを見えるところに置いている。
 そして。人間の五官、すなわち、目、耳、鼻、舌、皮膚。人間の五感、すなわち、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。これが、現在のSMAPのメンバー数に一致していることの不思議を思う。目には視覚がある。耳には聴覚がある。そして、鼻には嗅覚がある。
 blanc、jaune、rouge。あるいは、bianco、gallo、rosso。わたしたちは、もう喉を潤した。これから、「舌」で「味わう」のだ。そして、「皮膚」で「触れる」のだ。わたしたちには「五」がある。わたしたちは「反応」することができる。
 さあ、冒険の始まりだ。

文:相田冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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ボス グランアロマ〜香るボス〜

「シャンパン酵母」で完熟コーヒーチェリーを発酵。

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