SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2014.7.8更新

稲垣吾郎は異邦人である──『信長のシェフ』がはじまる。


「演じる」というタイムスリップ
 ドラマ「陰陽師」(2001)があったにもかかわらず、稲垣吾郎と時代劇の相性のよさに、映画『十三人の刺客』(2010)を目の当たりにするまで気づけずにいたことは、わたくしの不徳のいたすところ。恥をしのんで告白しておかねばなるまい。
 にしても、だ。稲垣と時代劇の組み合わせは、これまで少なすぎたのではあるまいか、と負け犬のように遠吠えたくなのもこれまた正直な気持ちなのである。
 先頃放映されたスペシャルドラマ「Dr.検事モロハシ〜新たなる生命〜」を観ても明らかなように、稲垣吾郎という演じ手は、どんな役に扮していても、「あらかじめ時空を超えている」風情がある。そもそ、ドクターで検事というアクロバティックな設定を、こうまで涼しげな顔で、にくたらしいほど自然に、しかもカジュアルにして優雅なたたずまいのまま存在させられる役者がいるだろうか。視聴者の、え? そんなのアリなんですか? という素朴にして当たり前の疑問を、アリ! の一声で、マジックのように消滅させてしまうのが稲垣吾郎である。わたしたちは、モロハシの実在に、いささかも疑問を抱かない。モロハシはいる。ドクターで検事。そんなひとも、きっと、いる。誰もがそう信じて疑わないだろう。
 だから、稲垣が昨年の『信長のシェフ』で明智光秀役をまっとうしていたことは、特別驚きに値することではない。彼は時空を超える──そこが平安時代であれ、江戸時代であれ、戦国時代であれ、いつだって、どんなところだって、舞い降りることができるのだ。
 これは、現代の料理人が、織田信長の時代にタイムスリップするという物語だが、稲垣吾郎そのひとの芝居はわたしにとって、ある種のタイムスリップに映る。というより、現代の人間が、時代劇の住人に「なる」ということは、タイムスリップするということなのではないかと、稲垣の芝居の質が教えてくれるのだ。

トラベラーの「リアル」
 そもそも、なにかを、だれかを演じるということは、「異邦人になる」ことなのではないか。これは、時代劇に限らず、稲垣がこれまで見せてきたあらゆる演技から考えうる感覚である。
 ここではない、どこか。それがフィクションの舞台となる「場所」である。たとえ設定が現代だとしても、俳優たちは、自分たちが暮らしている、この現世とは、別のところに旅立たなければいけない。演じるというのは「旅に出る」ということなのだ。
 降り立ったその「場所」に「馴染む」ことを優先する役者もいる。しかし、稲垣吾郎はそうではない。キャラクターやことば、衣裳などを完全に我がものにしながらも、その「場所」の「外」から来たひと、のように、そこにいる。彼の芝居からは、きわめて発達した客観性が感じとれるが、それはきっと、その「場所」で「異邦人でいつづける」ことを選択しているからではないだろうか。
 わたしには、その姿が、ちっとも不自然に映らない。むしろ、そこにこそ、演じることの真実があると思う。わたしが不自然に感じる演技──それは素人なりに言わせてもらえば「下手」という一語に集約できる──は、その「場所」に住んでもいないのに、「ネイティヴのふり」をしている芝居である。その場のかぎりのカモフラージュにすぎぬものは、すぐにウソがばれる。それよりも、「異邦人でいつづける」勇気のほうが、はるかに旅人としてのリアリティが感じられる。
 ひとつの物語がある。その住人になるということは、タイムトラベラーになることを意味する。時間を超え、時間に降り立ち、時間を抱えもつ。ここではない、どこか。
 稲垣吾郎は「異邦人」である。

ほんとうの「異端者」はだれか
 『信長のシェフ』でも、稲垣吾郎=明智光秀は、「異邦人」として存在している。だれもが、美味しいものにはあらがえぬ、この物語のルールに、彼だけが服従しないでいる。なぜか。わたしたちは、その理由を知っている。明智光秀こそが、織田信長の息の根をとめるからである。だから、彼は、他の人物たちのように、主人公の料理にはなびかない。それよりも、未来からやってきた主人公そのひとに興味を抱く。なぜなら、彼が作り出す未知なる料理よりも、同じ「異邦人」としての匂いのようが、はるかに魅惑的であるからだ。
 つまり、明智光秀も、ある種の「異邦人」だったのではあるまいか。
 本作ではおそらく、いよいよ「本能寺の変」が描かれることになるだろう。
 明智光秀が天下をとった月日がいかに短かったかを、わたしたち未来人は知っている。その上で、わたしたちは稲垣吾郎が体現する明智光秀の選択を見届けることになる。
 織田信長は異端だったと言われる。だが、それ以上に、明智光秀は異端だったのではないか。信長が、ここではない、どこかに憧れ、それを視界におさめようとしていたのに対し、光秀は、到着してしまった、ここではない、どこかのなかで、あくまでも孤立しつづけた。その結果として、光秀は信長を討ったのではないか。
 シンプルな権力志向の持ち主──だったとすれば、主人公の料理によって救済されていたのではないか──とは思えぬ彼が、それでもこのような謀反を起こした理由は、おそらく、稲垣吾郎の芝居が明らかにするだろう。
 『信長のシェフ』第2シーズンで、わたしたちは、いよいよその様を目撃することになる。



文:相田★冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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信長のシェフ
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稲垣吾郎は明智光秀役で出演。テレビ朝日系で7月10日スタート!

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