SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2014.11.11更新

ことばはまだ生まれたばかりである──『金スマSP』をめぐって。


鏡のなかの顔
 『中居正広の金曜日のスマたちへ』。とはいえ、これから書かれようとしているのは、2014年11月7日放映の『金スマSP』についてなので、この番組そのものについての記述にはならないかもしれない。
 バラエティ特番の正式名称というものは、番組が終わってしまうと確認しようがなく、公式HPにももはや記載されてはいない。新聞ラテ欄などにある文言がはたして正しかったのかどうか、それもいまとなってはわからない。ただ、番組のなかでは左上に『金スマSP』とだけ表示されていた。おぼえているのは、それだけである。
 やしきたかじん、という、今年の1月に亡くなったひとの追悼番組というよりは、これまで伏せられてきた秘話を明るみにするもので、番組のほとんどは再現ドラマに費やされていた。
 やしきたかじんの日記や、その最後の妻となった女性らに取材してある作家が書き上げた書籍の発売のタイミングであり、おそらくはその本の内容に沿ったものであり、映像によるある種のダイジェストに近いものだったと考えられる。作家本人もスタジオにあらわれ、やしきたかじん本人を知っていたり、彼を偲ぶ会に参加し、その最後の妻と会話したこともある女性レギュラーメンバーらと、語らったりはしているのだが、番組全体の印象は、やしきたかじんを演じる男優と、最後の妻を演じる女優とが体現する再現ドラマにほぼ集約される。
 現代のバラエティ番組においては定番となっている、出演者の顔が画面の隅に表示される「小窓」(という呼び方が正しいのかどうかわからないが)を見るのがわたしは苦手で、普段からできるだけ見ないようにしている。名前を知らない男優と、名前の知らない女優が、懸命に、やしきたかじん最後の2年間(たしか番組内では「空白の」と綴られていたような気がする)を演じている姿を、ただ、じっと見つめていた。
 たまたまだが、「小窓」のなかにいる中居正広の姿を、一回だけ見た。彼は、泣いてもいなかったし、微笑んでもいなかった。いま、番組を観ているわたしの表情に似ているかもしれない。そのとき、一瞬だけそう思った。根拠はない。テレビを観ているときの自分の顔など見たことはないにもかかわらず、鏡を見ているような気がした。


産声の響き
 番組におけるスタジオの占有率はきわめて低かったと思う。そして、スタジオに切り替わったときも、中居正広は、司会者として、特に何もしていないように感じられた。だれかに任せる、というふうでもなく、委ねるというふうでもなく、最低限の進行だけをして、レギュラーメンバーが口にすることばをただ聴いている、そんなふうに映った。
 なにかを作り上げている、という空気すらなかった。彼は、ただ、そこにいた。その場を支配してもいないし、また、支配されてもいなかった。
 なにかに頼るということもなく、また、なにかにもたれかかられる、ということもなかった。自立していた。ただ、自立していた。わたしには、その様子が、一本のマッチ棒に思えた。まだ、着火していない、これから先、着火するかもしれないし、また、しなかいもしれないが、ただ、そこにあるマッチ棒のように思えた。
 番組は最後に近づいていた。再現ドラマはほぼ終わっていたと思う。作家が、最後の妻を表して、たかじんさんを天国に送るためにやって来た天使のような存在だったのではないか、というようなことを言った。そのとき、中居正広は「つかい……」とだけ言った。それは作家のことばのリフレインだったかもしれない。だが、そんなことはどうでもよかった。わたしには、中居正広が発した一語が、「使い」にも「遣い」にも「ツカイ」にも聞こえた。つまり、「天の使い」にも「魔法遣い」にも「リュウグウノツカイ」にも思えた。そして、思った。このひとは、そのどれにも、ことばを当てはめてはいないのだと。
 彼の「つかい……」ということばは、偶発的に生まれたものに思えた。用意していたことばではない。あらかじめ用意していることばというものは、発語に意味が込められているため、声にすることによって、ひとつの強制力がはたらく。だが、彼の「つかい……」には、そのような響きがまったくなかった。
 そのことばはまだ生まれたばかりだと思った。いや、ほんとうのことばというのは、すべて、たったいま、生まれたてのものなのではないか。そう感じた。
 中居正広の「つかい……」が、わたしには産声のように聞こえたのである。
 最後の妻が選んだものなのだろうか。それとも、やしきたかじん本人のお気に入りだったのだろうか。やしきたかじんの自宅にいまも飾られている小さな写真は、やしきたかじんがワインボトルと一緒に画面におさまり、すこやかな笑顔を浮かべているものだった。ワインは「オーパス・ワン」だった。カルフォルニア、ナパのワイナリーである。「オーパス・ワン」とは音楽用語で「作品番号1」を意味する。
 漠然と思った。中居正広の発語が、わたしの記憶のなかに残っているのは、それが「最後のことば」ではなく、「最初のことば」のように聞こえたからだと。作品番号1。ことばはまだ生まれたばかりである。



相田“Mr.M”冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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