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SMAPコラム「Map of SMAP」

楽天ブックスが、SMAPやSMAPメンバーの旬な情報を、コラム形式でお届け!
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2014.12.16更新

YOUからyouへ──映像版『Mr.S』に接して感じたこと。


体験の「テキスト化」
 ツアー中に、ツアーのDVD/Blu-rayをリリースする。すごく攻めてるなあ、と感じます。
 これは、従来の「商品化」とは別の展開だと思うんですね。音楽業界のことはよくわかってないんですが、たとえば、坂本龍一さんなんかは、海外でおこなった公演をその日のうちにiTunesで発表しています。デジタル機器の発展が可能にした「時間的落差」の抹消がそこにはあって、このコラムとかもそうなんですが、「とって出し」がもはや非常にオフィシャルなものになっている。
 もちろん、このツアーが夏から冬にかけての、しかも年をまたいだ長期的なものであるということも関係はしているでしょう。そして、SMAPのツアーに参加したくても、なかなか参加できないひとが多いという実情への配慮もあるでしょう。しかし、それ以上に、このタイミングでリリースされたことで、そもそもツアーの映像化とは何なのだろう? ということを再考させてくれるんですね。
 追体験、ということばが、これまで多くのライヴ映像について、使用されてきました。基本的に、それは間違いないでしょう。参加したひとも、参加できなかったひとも、基本的には「体験を追いかける」ことが主目的であるはずです。あと、参加者にとっては(そして、非参加者にとっても架空の)「おみやげ」的な側面も否めませんね。いわゆる「記念に」というものです。
 ただ、わたしは従来から、この追体験、もしくはスーベニールとしてライヴ映像を消費する考え方に、ちょっとばかり違和感があったんですね。
 ほんとに、それだけだろうか?
 映画のことを考えてほしいんですが、劇場で観た映画のことを気に入って、手許に置いておきたいと思って、ソフト化に際して購入したりしますよね。まあ、自然な流れですが、あとで観ると、体験としては全然違っていた、ということは全然めずらしいことではありません。わたしはスクリーン至上主義者ではないので、映画は映画館で観るもの、みたいな固定観念はないんですが、あれ? こんな映画だったんだね……ということが少なからずあるんです。
 わたしたちは、自分の体験というものを、客観的に把握しているわけではありません。現在進行形で、もう脚色しまくってるんですね。「美化」が勝手に細胞分裂しているという言い方もできるくらいだと思います。体験は、記憶を「捏造」するものでもある。
 特にライヴ映像は、もう全然違うものなわけです。臨場感が違う、生の音が違うとか、そういうことではなく、そもそも映像ではないものを映像に「編集」した「加工物」なんです。
 そうしたものに向き合う行為を、体験の「テキスト化」と呼んでみたいと思います。
 わたしの仕事で言えば、だれかにインタビューする。それを文字に起こす。さらに、原稿のかたちにする。それぞれ、まったく別の作業です。当然のことながら、インタビューの現場で体験したレアな感覚は跡形もなくなっています。文章にする際は、せめて、魚の干物ぐらいにはしたいなあと夢想しますが、干物だって、開いて、天日干しにして、っていう明らかな「加工」を施したもの。海で泳いでる魚とはぜんぜん別物ですよね。
 ライヴ映像に関しては、マグロとツナ缶ぐらいの距離があると思います。


映像は「時空」を超える
 前置きが長くなりました。わたしが着目したのは「BONUS CONTENTS」におさめられた「Single Selection」です。これは、SMAPゆかりの方々による「リクエスト・アワー」みたいなコーナーで、わたしが観た東京ドームの初日公演では北川景子さんが「笑顔のゲンキ」を選んでいましたが、公演によって曲が異なるメニューを、わずか4曲とはいえ、一気に観れるんです。ここで重要なのは、映像というのは、そもそも時空を超えるものなんだということなんですね。ただ記録しているわけではない。編集された映像というものは、それぞれ異なる時間と空間とを接続するんです。ここでは、別会場の、別な時間が、一続きになる。しかも、それぞれダイジェスト映像ですから、全部で1曲分ぐらいです、時間にしてみれば。
 「笑顔のゲンキ」「Fly」「どんないいこと」「セロリ」の4曲を一望して感じたのは、必ずしもリリースの順番ではないにもかかわらず、SMAPの歴史を感じさせるということです。
 まずハッとしたのは「Fly」です。ここでの中居さんのソロ・パートには胸をつかまれますね。あれはなんなのだろう……これは、中居さんのときによく思うのですが、SMAPの歌のソロ・パートは、他のメンバーがいるからこそ「独りになれる」風情があって、そんな、本来は当たり前のことが、かけがえのないことに思えてくる作用があると思います。
 「笑顔のゲンキ」と「どんないいこと」は6人時代の曲ですが、とりわけ「どんないいこと」は観ていて(5人が密接していることもあり)、5人で6人分のぬくもりを感じました。「どんないいこと」はわたしも大好きな曲ですが、ひょっとすると、リリースした頃より、いまのSMAPのほうが感じさせることは豊かなのかもしれません。
 というのも、つづく「セロリ」の肌合いが、明確に違っていたからなんです。「セロリ」は、当時から、いよいよ本格的に5人時代が始まった、と感じさせた「分岐点」と呼ぶべき曲ですが、この、同じコーナーで、同じ衣裳を着ているSMAPが「どんないいこと」「セロリ」を続けて歌っている姿を目撃すると、歌を捧げている相手が「みんな」から、「ひとりひとり」に変化していることを感じます。歌い方、もっと言えば「伝え方」がそうなっている。「みんな」というのは不特定多数が形成している共同体のようなものであり、それは、「昭和」ということばが想起させる何か(たとえば「歌謡曲」とか)でもあるわけです。わたしは、「昭和」がほんとうに終わったのは1995年、地震とオウムの年だったと考えていますが、あの年の9月9日にリリースされた「どんないいこと」は、歌いかける対象が「みんな」だった。しかし、「セロリ」では、もっと細分化した(というより、全然別物の)「ひとりひとり」に向かっています。山崎まさよしという「ソロ」歌手のシングルのカバーであるということもさることながら、SMAPはこのときから、「みんな」というより、「ひとりひとり」のために何ができるかを模索しはじめたのではないでしょうか。
 詞の内容や曲のメロディやリズム、アレンジの音像などに関係なく、現在のSMAPは「YOU」ではなく「you」のために歌を歌っています。



相田“Mr.M”冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。

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Mr.S “saikou de saikou no CONCERT TOUR”
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