SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2015.1.20更新

始まったら必ず終わる──『HERO』特典映像をめぐって。


ラストシーンの秘密
──昨年夏のドラマ『HERO』のDVDとブルーレイがリリースされました。特典映像が収録されたSPECIAL DISCはご覧になりましたか。
「はい」
──何が印象に残りましたか。
「スペシャルメイキングですね。ぼくは、基本的に、メイキング映像って、ほとんど見たことがなくて。なんでかっていうと、なんか後ろめたい気持ちになるからです。オフィシャルの盗撮、という言い方は大げさかもしれませんが、覗き見の覗き見をしているような感じがして。NG集みたいなのも苦手です。ジャッキー・チェンの映画のエンドクレジットくらい構築されているものなら面白いんですけど。ただ、映画『武士の一分』のメイキング『一分』ってタイトルでしたっけ? あれなら見たことあります。木村さんが自分で車を運転して撮影所に通ってましたね。あれは木村拓哉という表現者を考える上では重要だと思いました」
──『HERO』のメイキングにはNG集みたいなものはありませんでしたね。
「そうですね。NGや、作品の舞台裏ではなく、<別な見方>ができる映像だったと思います。いや、メイキングってそういうもんだよ、と言われればそれまでなんですが、比較対象をそもそも見たことないので、こういう感想になってしまいます」
──<別な見方>というのは?
「とにかく記憶しているのは<最後のひと言>とテロップされる章です」
──ラストシーン撮影をめぐるくだりですね。お馴染み通販番組の彼が被疑者として現れる場面。『HERO』シリーズのメインディレクターである鈴木雅之さんとのやりとりもおさめられていますね。
「あそこで、木村さんは監督に訊いてるんですよね。久利生は、あのひとが事件で捕まったことが少しショックなのか、それとも、本物のあのひとに逢えたことで気分が上がっているのかと」
──鈴木さんは、「少しうれしいんじゃない?」と答えてますね。
「ええ。で、木村さんは監督のプランに従って久利生を構築するわけなんですね。ここでハッキリしているのは、木村さんはいわゆる<成りきり俳優>ではないということです」 
──「成りきり」っていうのは?
「役者さんによって、芝居に対するアプローチは様々ですが、たとえば、『久利生のことは自分がいちばんよくわかってる』という自負の下に、『久利生はこういうとき、こうしない、こう言わない』ということを主張する方もいるわけです。もちろん、それはそれでひとつのスタイルなんですが、木村さんはそういうタイプではない、ってことです」


丈夫な皿を作ること
──ただ、木村さんは久利生について、具体的なアイデアをいろいろ提案していますよね。このメイキングのなかでも、勝村政信さんが「久利生はサッカー少年だったから、会話のやりとりを野球ではなくサッカーのたとえにした」という木村さんの提案について証言しています。
「ええ。ただ、それは別次元の話だと思うんです。設定についてのことで、感情のことではない。久利生の通販好きという設定が、木村さんのアイデアであることを、かつて石原隆プロデューサーが明かしたことがあります。ですから久利生公平の設定のある部分には木村さんの考えが反映されていることは間違いありません。ただ、木村さんは久利生の感情を支配しようとする俳優ではない。そのことが<最後のひと言>のところではっきりしたと思うんです。<成りきり>型のひとは、設定と感情を混同してしまうことがあります」 
──設定と感情の混同というのは、このひとの背景はこうだから、こういうことはしない、言わない、ということですか。
「そうですね。設定と感情を直結して人物造形することです。もちろん、それも方法論のひとつです。しかしながら、久利生公平は、そのようなアプローチがふさわしいキャラクターではありません」
──確かに、メンタルの部分やプライベートがあからさまに浮かび上がってくる役ではないですね。
「設定と感情の距離感をどのように取り扱うかも、俳優の大切な仕事だと思うんですよ。あそこは、ドラマ全体のエピローグというか、おまけみたいなシークエンスなので、感情というより、感覚とか神経とか、そういうことだと思いますが、久利生の感覚自体を必ずしも決めつけているわけではない、と感じました」
──器と料理みたいなことですかね。設定と感情の関係って。
「そうですね。その日、そのとき、どういう感情=料理がもたらされるかわからない。人間はそんなふうに生きていて、久利生だってやはりそうだと思うんです。木村さんの久利生の造型は、どんな料理が来ても大丈夫な皿を作ること、という気がします。逆に言えば、皿によって料理の印象も違ってくるわけで、どんな料理を作るかだけに腐心していては、人物が立体的に立ち上がってはこないのかもしれません。さっきの、サッカーの話とかは、皿の配置をもともとあった場所に戻したぐらいのことかもしれませんね」


久利生公平がアドリブする
──皿を作る……って、どういうことなんでしょうか。 
「田中要次さんのコーナーで、久利生がダーツしながら、千佳のことを感じている、というふうにしたほうがいいんじゃないかと木村さんは監督に提案しています。たとえば、あれが皿を作るということだと思います。これは久利生の千佳に対する気づかいではありますが、別に、久利生のオリジナルなメンタルが表出しているわけではない。視聴者が<想像しやすい>場を提供している、と言ったほうがいいかもしれません。久利生はどこか謎の人物でもあります。しかし、対応能力もあるし、実に人間ぽくもある。そんな、わかるようでわからない久利生に、少し<近づくことができる>場面になっていたと思います。木村さんの提案=アプローチは、久利生ってこうするんだ、ということよりも、見てるぼくたちもなんとなく思い当たる行動様式だったと思うんですね」
──ええ。共感できます。それに、ああいうことが自分の過去にあった気もします。でも、共感って、他人の感情に対してするものじゃないんですか?
「あのシーンは違いますね。久利生が遠くでダーツしていて、その後に寄ってくる、というアクションが大事なんです。もし、ぼくたちが共感できるとすれば、久利生があそこに立っている、そして千佳に近づいてくるという行動に共感しているわけで、それは感情を<推測する>ということなんですね。より正確に言うなら、木村さんは<推測しやすくしている>。久利生の感情を規定しているわけではありません。皿を作るというのは、人物の土台を作る、というようなことです。久利生はよくわからない人間ですが、ぼくたちは久利生に好感を抱いていますよね。それは彼の土台に近づけるような気がするからです。理由もなく」
──理由、ないんですか?(笑)
「久利生がいいひとだから、正義のひとだから、ぼくたちは好感を抱くわけではないんですよ。ましてや、通販好きだから、サッカー少年だったから、好感を抱くわけではない。なんとなく、なんです。理由はない。ことによると、その皿に、どんな料理が載っているかもわからないまま、その皿に惹きつけられている。そんな皿を木村さんは作っているのではないでしょうか」
──安心感なのかなあ……ところで、<最後のひと言>の幕切れはすごかったですね。
「あれが、木村さんが作り出した皿、だと思いますね。一瞬、木村さんなのか、久利生なのかわかんなかったですよね。北川景子さんも千佳として反応しているし。ぼくの解釈では、あれは、<久利生がアドリブをおこなった>ということになります。木村さんのアドリブではなく、<久利生がアドリブする空間=時間>を木村さんは構築していた。木村拓哉が作ってる皿は、たとえ<久利生がアドリブしても>、ビクともしない。それにしても、あの途切れ目のなさには震えました。自分の映像を見ながら笑っている木村さんを目撃するまで、ずーっと一続きだった気がします。すごかったなあ。あれ見ちゃうと、あらためてドラマを頭から最後まで見直したくなりますね」
──わたしは、クランクアップのときに、木村さんが言った「始まったら必ず終わる」ということばが印象的でした。
「あれこそが、皿を作っているひとの確信だと思いますね。皿の上で、何かが始まり、何かが終わる。料理が消えても、皿は残る。そんな気がしてなりません」



相田“Mr.M”冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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