TOP >「Map of Smap」TOP > vol.83

SMAPコラム「Map of SMAP」

楽天ブックスが、SMAPやSMAPメンバーの旬な情報を、コラム形式でお届け!
Infomation
 世界に一つだけの花
MUSIC
Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
Infomation
 世界に一つだけの花
MUSIC
Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
Infomation
 世界に一つだけの花
MUSIC
世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2015.2.10更新

SMAPは結び目をほどく──「華麗なる逆襲」@『Mステ』


pieceがpeaceになり、咆哮が芳香になる
 10回はいってないけど、もう7回は観たと思う、『ミュージックステーション』の「華麗なる逆襲」。基本的に、第一印象がすべて、だと思ってるんで、いつもなら、一回観て聴いて書く、んだけど。リピートせずにはいられなかった。
 アルバム『Mr.S』のシークレット・トラックだった、と言われても納得しちゃうような。ツアーではこっそり披露されたところもあったらしいよ、とうそぶかれても「やっぱり」とか思っちゃうような。そのくらい世界観はつながってるんだけど、なんだろ、このスルメ感。噛めば噛むほど味が出るっていうか、たとえば「シャレオツ」にはなかった、熟成感が明らかにあるわけ。熟成ってたって、アレだよ、21世紀になってワイン造りはじめたわけじゃないからさ、なんつったって80年代ものだからね、このひとたちは、全然違う熟成なわけ。
 芳香(ほうこう)があるんだよね。咆哮(ほうこう)みたいなタイトルに反して。
 これはさ、椎名林檎っていうひとの手癖みたいなもんだと思うけど、漢字が多いのね。特に三文字の単語を要所要所にもってきてる。「無防備」とか「未開拓」とか「導火線」とか。ナカイ、タクヤ、ゴロウ、ツヨシ、シンゴも三文字だね、そう言えば。それはともかく「開戦前夜」なんていうのは非常に椎名林檎らしい、ある種の郷愁に満ちたフレーズで、それを言ったら「華麗なる逆襲」という題名自体が、往年のプログラムピクチャーみたいでさ、洋画にしろ邦画にしろ、B級アクションであったでしょ、石原裕次郎でも赤木圭一郎でもない無名のアクション・スター主演の映画が、とか言っちゃいそうになるくらい、昭和の仮想空間的ムードに満ち満ちてるのね。
 ところが。ところがですよ。われらがSMAPは、そういったキメキメのノスタルジックな漢字群を、軽やかに通り過ぎてくれるわけ。前向きにスルーすると言ってもいいかもしんない。木村拓哉だけは、フェロモンある発声で、それらの語句をやや際立たせてはいるけれど、そのこと自体が薬味みたいなもので、むしろ、そこに立ち止まらないSMAP総体の美徳が浮き彫りになってるんだよね。
 二文字は普通だけど、三文字とか四文字の漢字って、まあイレギュラーなわけさ。歌においては。文章だと当たり前に転がってるんだけど。だから、この歌の場合、たとえばそれを「個性」と位置づけてもいいはずなの。そうすれば、わかりやすくカッコ良くなる。だけど、それはやらない。これがね、SMAPのSMAPたる所以だよ。
 SMAPってさ、ほどくんだよね。「無防備」も「未開拓」も「導火線」も「開戦前夜」も、ほどいちゃって、フラットに、日常にしてしまう。焼きたてのトーストの上でバターがとけるみたいに。漢字をひらがなにするわけじゃない。カタカナに変換するわけでもない。ましてや英語っぽくするはずもない。(漢字部分を日本語っぽくなく発声すると、手っ取り早く「個性」が手に入る。これ、歌の常套手段)
 置き換えるんじゃなくて、ほどくのさ。置き換えるのって、実は意味にしがみつくことだからね。そうじゃなくて、ただ、ほどく。ほどくことで、逆説的に、この歌の本質が浮き彫りになってる。だって、これ、平和の歌でしょ? ポジティヴな平和の歌。いや、平和って、そもそも、めちゃめちゃポジティヴなものだよね、って歌じゃん。
 SMAPはさ、漢字も、ひらがなも、カタカナも、英語も、全部ほどいて、手をつないでんの。歌唱そのものがピースなんだよ。無数のpiece(ばらばらのもの)が、手をつなげばpeace(中居正広が『模倣犯』で演じた役の名前もそうだったね)になるっていうことを証明しちゃってるんだよ。それを芳香だけで伝える熟成っぷりが、最新型のSMAPなわけ。平和って咆哮するもんじゃないんだよ。平和って芳香するもんなんだよ。っていう発見があったね。


手をつながなきゃ、混じり合わない
 しょっぱなの中居正広はハッとさせるよね。ワインで言えば、あ、いま、抜栓した、みたいな。この日の衣裳はパープルで、なんだか、ワイン色に見えた。パープルと言えば、プリンスというひとが昔、赤ワインと白ワインを混ぜて「これがほんとのロゼワインだ」って言ったっていう伝説があるんだけど、その「ほんとのロゼワイン」って、こういう色なんじゃないかと思うわけ。深くて、なめらか。綺麗で、ヤバい。
 稲垣吾郎は舞台『恋と音楽』で培ったものをここに持ち込んでると思うし、香取慎吾もミュージカル『オーシャンズ11』でゲットしたものをここで融合させてると思う。ステージングっていうか、身のこなしだよね、つまりは歌をどう「あらわす」か、っていうことが、振り付けをこえたところにある「生の芝居」、よく演劇関係者が使うことばに「板に立つ」っていうのがあるんだけど、その「板に立つ」感を通過して、びしばし香ってる。
 前に、アルバム『Mr.S』の「宝塚」感(テーマ曲の作曲者は宝塚のひとだったりする)について話したと思うんだけど、『恋と音楽』って元宝塚スターとの共演だったでしょ。で、『オーシャンズ11』はご存知の通り宝塚化もされてるのね。宝塚を経由しないと伝えられないものがあって、それをいまのSMAPは有機的にかたちづくってる。長いツアーを経て、いよいよ完全に消化しきって、満を持しての「華麗なる逆襲」だと思う。そういう熟成感でもあるんだよね。
 「華麗なる逆襲」というタイトル自体は木村拓哉にすごくフィットするけど、さっきも話したように、この曲での木村拓哉の歌唱は、SMAPっていうのは一色(ひといろ)じゃない、っていうことを結果的に表現していると思う。いくつかの色が混じり合って、パープルという色は生まれるんだけど、そういう現象の証、みたいな感じがするんだよな。手をつながなきゃ、混じり合わないからね、そもそも。やっぱり、SMAPって、すごく面白い組み合わせで構成されてるとあらためて思った。
 で、今回、なにがいちばん言いたいかって、いうと。SMAPに草剛がいて、ほんとうによかった。ということなんだ。いや、もちろん、どのメンバーも不可欠であることは言うまでもないのだけど。この曲に関しては、草剛がいなきゃ成立してなかった。それは、ドラマ『銭の戦争』の主題歌だから、っていう次元の話ではなくてね。何回観ても、うまくことばにできないんだけど、草剛がセンターに来て、三角形のフォーメーション組むでしょ、あれを見たとき、これだ、これだよ、って思った。この感じ、この感じを、いまのSMAPはできるんだ! っていう感動があった。
 途中で「ハロー」って言うでしょ。もうね、あれがね、英語でも、カタカナでも、ひらがなでもない、「ハロー」なの。「SMAP語」って言ってもいいかもしんないけど。あれを言ってるのは、間違いなく草剛なんだけど、やっぱり、SMAPが言ってるように感じるのね。「ハロー」もほどいちゃってる。「ハロー」という、カジュアルに聞こえる挨拶のことばにも結び目があって、ぼくたちはなんとなく照れくさかったり、躊躇したりするんだけど、そういうの、全部、ほどいちゃってるのね、あの「ハロー」は。
 後半、いよいよソロパートになってから、草剛ならではの硬質な色気が全開になるんだけど、あの「ハロー」は、それとは違っていて、あらゆるpieceをpeaceにつないでた。草剛がいたからSMAPにできた、SMAPがいたから草剛にできた、魔法のような接着剤だったと思うんだ。
 SMAPに草剛がいて、ほんとうによかった。



相田“Mr.M”冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
前週のコラムを読む
翌週のコラムを読む
華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ
華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ

「華麗なる逆襲」は草剛主演ドラマ『銭の戦争』主題歌!

「Map of Smap」バックナンバー

2017.1.5更新
2016.12.21更新
「Map of SMAP」TOPにもどる