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DVD Collection マダム・イン・ニューヨーク

ボリウッドの常識を変えた!? 世界が共感した珠玉の女性賛歌

取材・文=那須千里

ガウリ・シンデー[監督・脚本]インタビュー「自信を持って生きるようになるまでの旅路」




先入観を持ってしまうこと




 料理上手で美しい、完璧な妻母であるにもかかわらず、英語ができないというだけで、劣等感を持ちながら暮らしてきた主婦シャシ。ガウリ・シンデー監督が自身の母の姿に発想を得て生み出したこの魅力的なヒロインが、姪の結婚式を手伝うために訪れたニューヨークで英語を学び、鮮やかな変化をとげていく様子を描いた「マダム・イン・ニューヨーク」は、本国インドで大ヒットを記録したにとどまらず、日本をはじめとする各国でも多くの観客の共感を呼んだ。



「人間の感情というのは世界のどこに行っても同じですよね。特に女性はどうしても自分を男性より下に思いがちな部分があって……。西側の社会であっても、自分が稼ぎ頭でない場合は劣等感を持ってしまうかもしれないと思っていました」



 映画の冒頭では、朝から家族のために立ち働き、自分自身のためには「お茶を一杯飲む」時間さえ持てない彼女の日常が描写される。彼女にすっかり頼りながら、無神経な態度を平気で見せる夫の態度にはちょっと驚いてしまうが……。



「彼を悪者にするつもりはありませんでしたが、妻の感情に鈍感な男にはしました。ただ、悪い夫と妻というような対立の映画ではなく、主人公が自信を持って生きるようになるまでの旅路を描いた映画です」



 シャシが変身する舞台にはニューヨークが選ばれた。



「摩天楼に囲まれていて、訪れた人が自分を小さく感じる場所。特に英語ができない人が初めて行くと恐いと感じるような場所である必要があったので、ニューヨーク以外は考えられませんでした。インドから飛行機に乗って行くという、物理的、象徴的な距離も必要でした」



4週間でマスターできる英語教室を見つけ、さまざまな文化的背景を持つ人々と共に学ぶ中で自信を持ちはじめた彼女は、さらに「judgmental(=一方的な判断をする)」という単語の意味を知ることで、それまで自分が置かれてきた状況を振り返るようになる。



「先入観を持ってしまう、ということについて触れたかったのです。例えば、私たちは結構、瞬時に見た目で人を判断しようとしますよね。『モダンな格好をしているから自由な発想の人なのかな?』といったように。でも、そうとは限らないし、伝統的な衣服を身に着けている人がとても開かれた考えを持っているかもしれない。サリーを着て、三つ編みをして、既婚であることを示すビンディーを額につけているシャシも、コンサバティブかなと思われるけれども、そうではない。そこを強調したかったのです」



もう一つの主役=料理と衣裳





 同じ教室に通い、彼女に好意を示すフランス人シェフ、ローランとの出会いも彼女に大きな影響を与える。 「彼はシャシに料理というものの価値を気づかせてくれます。彼女は『とるにたらないことだ』と思っていたのだけれども、『君はすごいことをしている。料理というのは高尚なものであって価値があることなんだよ』と言って自信を持たせます」



 ローランの言葉通り、本作には彼女の作る料理やお菓子が大きな意味を持って登場する。



「私が食べ物好きなのは母の影響だと思います。本当に世界一のシェフだと思えるほどすばらしい腕をもっていて、インド各地の料理だけでなく、外国料理も作ってくれました。食べ物は人々をつなぐものですし、愛を込めて作ると伝わるものですよね。ただ、私はあまり料理をしないほうなんです。というのは、それほど愛を込めているゆとりがないので(笑)」



 70〜90年代にかけて活躍した大女優シュリデヴィが演じていることもあって、平凡ながらも輝くように美しいシャシ。鮮やかな色のサリーの数々にも目を奪われるが「インドから持ってきたスーツケースには入り切らなかったのでは?」との疑問も感じた。 「(大爆笑)。アメリカに住むお姉さんのものも借りているということになっています。インドではサリーの貸し借りはとても一般的なんです。ブラウスはそれぞれのサイズですが、上にまとう布は同じサイズなので」



 インド映画100周年に捧げられている本作。シンデー監督が考えるインド映画のおもしろさとはどんなところにあるのだろうか。 「音楽、そして色使いでしょうか。私自身も音楽がとても好きですし、音楽は風景をとても美しく見せることができると思います。ヒンディー映画を見てきたからかもしれませんが、普段から心がウキウキしてくると、どこからか音楽が聞こえてきますし、逆にさびしい時はそういう気持ちを反映した曲が聞こえてくるような気がします。ただ、ボリウッド映画の、いきなり『踊るぞ、歌うぞ』みたいになるところは自分のスタイルではないと思うので、今回もそういったシーンは作りませんでした」



 数多くのCMを手がけた後、長篇映画第1作となる本作で大成功を収めたガウリ・シンデー監督。シャシが近所の人たちに自慢のお菓子ラドゥを配達するシーンにカメオ出演しているというお母さんも、とても喜んでくれたとのことだ。



ブロフィール

GAURI SHINDE/1974年生まれ。
100本超のCMを手掛けるかたわら短篇映画を製作し、“Oh Man!”(01)をベルリン国際映画祭に出品。
初の長篇映画「マダム・イン・ニューヨーク」がトロント国際映画祭で高評価を得て、インドで大ヒット。ヒンディー映画界で最も歴史あるフィルムフェア賞にて最優秀新人監督賞を受賞した。

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