今月はコレが買い

気になる新作・旧作・未公開をピックアップ

限られた空間で魅せるエンタメ2作品と特集上映から延長公開された佳作

文=添野知生

フライト・ゲーム」は、大西洋上空を飛行中の旅客機が舞台。航空保安官のもとに「二〇分おきに乗客を殺す」という脅迫メッセージが届く。孤立無援の主人公は、一五〇人の乗員乗客を守りながら、犯人を捜し出さなければならない。




アンノウン」を成功させた、主演リーアム・ニーソン、監督ジャウマ・コレット=セラのコンビが、再びヒッチコック作品を思わせる現代スリラーに挑戦。隣席の女性(ジュリアン・ムーア)、旧知の客室乗務員、NYの刑事、イスラム教徒の医師、一人旅の子どもなど、脇役の効果的な配置が見どころで、主人公をはじめ、人物像に沿った展開に無理がなく、二転三転するひねりも巧い。ほぼ機内から出ない映画でも、面白く作れるという見切りと自信に惚れ惚れする。



テロ,ライブ」は、放送中のテレビ局スタジオが舞台。ニュースキャスターのもとに「ソウル市内の漢江に架かる橋を爆破する」という脅迫メッセージが届く。出世のためには手段を選ばない主人公は、犯人との電話の独占中継を画策する。



 月曜朝九時半からのリアルタイム進行という作劇がまず面白い。黄色いセーターに無精ヒゲという姿で登場した主人公(ハ・ジョンウ)が、事件に食いつき、着替え、変身するワルぶりが見もの。サングラスを外し、メガネをかけ、また外すタイミングが見どころになる。



 謎解きミステリとしてはいささか無理があって買えないが、ほぼスタジオから出ない映画でも、これだけのスケール感を出せるのはみごと。社会の閉塞感もずっしりと伝わってくる。
「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」で公開されたのが、香港映画の新作「キョンシー」。清水崇が製作に参加している。



 老朽化した高層アパートに越してきた男が自殺を図るが、かつて道士だった食堂の主人に救われる。その2442号室には双子の悪霊が取り憑き、廊下を謎の子どもが徘徊し、優しい老婦人は呪術師の力を借りて、死体を甦らせようとしていた。



 とアイデアをフルに投じて、かつてのキョンシー映画をシリアスに甦らせた、完成度の高いホラー映画。清水崇が関わったという音響面もレベルが高い。道士役アンソニー・チェン、相変わらず美しいクララ・ウェイなど、八〇年代香港映画の同窓会のような配役も泣かせる。人の愚かさ、仕方のない行為が、不可抗力で恐ろしい事態につながる哀しみが心に染みる。



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