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2014年11月12日更新

楽天Koboブックエキスパート 本のフルコース

楽天Koboのブックエキスパートが選ぶオススメの本をフルコース仕立てでご紹介!本日のコース料理は『電子書店員Qが選んだ国内ミステリーのフルコース』になります。ご堪能ください。

食前酒

爆ぜたザクロの食前酒「江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)『石榴』」

江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)

江戸川乱歩と聞いて少年探偵団や怪人二重面相などの少年少女ものを思い浮かべる人も少なくないのではないか。しかし、食前酒として紹介する『石榴』は「エロ・グロ・ナンセンス」という乱歩本来の趣向が遺憾なく発揮されている、乱歩の真骨頂ともいえる短篇作品である。

警察署の一巡査がG町の寂しい通りを巡回していたとき、空家のはずの一軒の小住宅の中で、一人の青年が変死体を写生している場面に遭遇する--。 E.C.ベントリー『最後の事件』をベースに、本格ものとしての味わいを密に内包する本作。特筆すべき点はザクロと形容された変死体の顔面。(詳細は実際に読んで確かめて下さい!)

この作品を読み終えた後「ザクロ」で画像検索すると鳥肌が立つこと間違いなし。

スープ

古より引き継がれし本格ミステリーのスープ「体育館の殺人」

体育館の殺人

校内の部室に住み着き、やたらとアニメの知識をひけらかす探偵気取りの高校生。体育館という荒唐無稽ともいえるステージで起きた密室殺人。『館シリーズ』へのオマージュという設定から、平成生まれの著者があれこれと手を出した、という偏見を持ちそうな本作。(私も途中までそんな印象を抱いた)

しかし、鮎川哲也賞受賞作にして、2013年原書房本格ミステリ国内ランキング5位の異名は伊達じゃなかった。(青崎先生、すいません!)

傘一本から綿密に論理を展開し犯人を看破するそのプロセスはあっけに取られ、最後の8ページの大どんでん返しには圧倒された。

東京創元社さんのサイトでは既に「平成のエラリー・クイーン」との呼び名がついた著者の今後に刮目せよ!

※『館シリーズ』のオマージュ作品として『堂シリーズ』もあります。

魚料理

人里離れた山村で撮れた心霊現象〜白早川源泉のホラーとミステリーのブレンドソースを添えて〜「背の眼(上・下)」

背の眼(上)

文芸評論家・亀井勝一郎さんは「作家は処女作に向かって成熟しながら永遠に回帰する」という謂を残したが、この言葉を受けて連想する作品が道尾秀介さんの『背の眼』だ。

厳密には処女作ではなくデビュー作で、勿論本作以外にも名著は多数存在しているが、それほどこの作品のインパクトは大きかった。

売れないホラー作家・道尾秀介と霊現象探求所を構える真備庄介、その助手・北見凜が活躍する真備シリーズの一作目。

私が道尾さんの作品に強く惹かれるのは、時に残酷で凄惨に、時に愛おしいほどに「家族」というテーマと向き合っているからだろう。

肉料理

日本最後の珍肉〜本格とアンチの深遠なる融合〜「匣の中の失楽」

匣の中の失楽

国内ミステリー史において、推理小説にして推理小説に非ずという特異な内容ゆえ、『虚無への供物』『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』の3作は日本三大奇書と呼ばれている。

さらに、その3つに『匣の中の失楽』を加えた作品群を日本四大奇書と呼ぶ。(なお、この作品以降、日本国内において「5作目」と呼ばれるような作品は現れていない)

現実と夢の境界がひどく曖昧な、厚くたれこめたミルク色の深い霧の中にいるような感覚、この物語の中ではそれが永遠に続いていく。著者が20代前半で書ききった不連続の闇を是非味わっていただきたい。

デザート

ほんのりビターな、夏季限定のトロピカルカフェ「夏季限定トロピカルカフェ事件」

夏季限定トロピカルカフェ事件

今回、電子書店の中の人として「本の専門家が選ぶ本のフルコース」という企画で記事を書くにあたって、真っ先に思い浮かんだことがデザートにこの本を持ってくることだった。

前作『春季限定いちごタルト事件』で、ほろ甘くライトな口当たりの青春ミステリーに味をしめた高校三年生の頃の私は、軽い気持ちでこの作品を読み、終章の『スイート・メモリー』でブラック米澤さんにKOされてしまった。以来、米澤先生の新作が出るたびに狂ったように読んでいる。

青春モノは勿論、今ではクローズド・サークルを舞台にした作品、なんでもありの幻想世界が舞台の殺人など幅広く書き分ける同氏。米澤穂信の可能性が、国内ミステリーの可能性そのものであるといっても過言ではない。

先週の本のフルコースが『国内ミステリーのガストロミー』だったことにもめげず、ここ何年かで読了し、特に印象に残った5作をピックアップしてみました。貧相な語彙力での紹介となりましたが、味には絶対の自信があります。ご堪能いただけましたでしょうか。

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