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日本財団 『これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~』

社会問題を提起するメディアとしてのマンガの可能性

本山 物事を伝える表現と言えば、例えばハリウッド映画が有名ですが、映画を通じて社会に問題提起することができますよね。例えば、環境問題は『不都合な真実』というドキュメンタリー映画がひとつのきっかけとなって世界中に広がって、社会に浸透していった。このように、ドキュメンタリーなどの映画はまさに、アメリカ発の問題提起をするメディアだと思うのですが、日本だったらマンガやアニメがありますよね。
日本のマンガやアニメは、これまではエンタメとして楽しまれて終わりだった。それだけで価値があることだけど、実はもっとすごい可能性と幅があると思っているんです。アメリカにとっての映画のように、アニメ、マンガは社会に問題提起するメディアとなり得るのではないかと。
例えば『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』(以下『いちえふ』)では福島第一原発の実態を描いています。実態を知らずに、「原発はヤバい」「原発は怖い」という頭の中のイメージだけで原発問題を考えるのではなく、実際に現場で作業員がどんな想いでどんな作業をしているのかをマンガという表現を通じて、身近に感じながら考えるきっかけになりますよね。

山内 アニメやドラマと違って、マンガは少人数で作れますよね。編集者と漫画家の2人でも作れなくはない。そういう意味での濃さが出ますよね。一般化したフラットなものではなくて、個々人の熱がより如実にマンガには出るのかなと思います。『いちえふ』も現場に勤務する人自身が描いたことに大きな意味がありますよね。スピード感や想いの根本がダイレクトに表現されています。

本山 アニメやドラマとの違いという点から話すと、アニメやドラマはどうしても受動的な見方になると思うんですが、マンガの場合は自分で手にとって、自分のペースで理解したり、感動したり、味わったりしながら読みますよね。これは読書体験と同じ。マンガには「読んで自ら学ぶ」ことを促す力がありますね。

山内 マンガと本の違いについて少し話すと、文章だけだと、読んでいる人それぞれのイメージするものが違うと思うんですね。マンガは絵があるのでイメージしやすい。そういう意味で、自分の知らない世界を知るには、マンガは入口としてすごく良いのではないかと思います。本山さんのように、まずマンガを読んでイメージが頭の中にある状態でさらに本を読むと新たな視座が得られそうですね。

本山 そうですね。同じ題材であっても、マンガ、小説、学術書で内容が少しずつ違うので、様々な見方を知ることができ、学びに広がりが生まれると思います。

山内 確かに、比較して読む面白さはありますよね。マンガの場合は、例えば歴史モノでもフィクション部分が多いので同じ歴史上の人物を描いても、作品によって人物の掘り下げ方が異なり、そこに注目して読むと面白い。例えば、三国志のオマージュ作品を多読してみると、新しい発見がありそうですよね。

本山 掘り下げ方の話で言うと、『風雲児たち』を読んで、それまであまり魅力に感じていなかった江戸時代も結構面白いぞ、と思うようになりましたね。解体新書を訳すのに、オランダ語が全然できなくて、ひとつひとつ単語を何時間もしらべて訳すというものすごい努力をするんですが、それを面白おかしく描いていて、感情移入してしまう。作者のみなもと太郎先生が一般的なイメージを覆すような独自の解釈で描かれている。そういう歴史の見方や物事の見方を作家さんの個性を出しながら表現していくというのがすごく面白いなと思いました。同じ題材でも作品それぞれの切り口が違うところを楽しめるとマンガを読む楽しみがいっそう広がりますね。

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