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日本財団 『これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~』

スペシャル特集vol.02ジャンル別インタビューシリーズ「文学」book pick orchestra代表 川上洋平氏

ジャンル別インタビュー「文学」

今月から『これも学習マンガだ!』の11ジャンル(※)を1ジャンルごとに各ジャンルの専門家が紹介するインタビュー企画がスタートします。第1弾は「文学」ジャンルを取り上げます。book pick orchestra代表 川上洋平氏にご自身のマンガ体験や「文学」選書作品についての感想などを伺いました。
(※)「文学」「生命と世界」「芸術」「社会」「職業」「歴史」「戦争」「生活」「科学・学習」「スポーツ」「多様性」の11ジャンル

プロフィール

  • 川上洋平
    川上洋平(Yohei Kawakami)
    book pick orchestra代表
    ブックピックオーケストラは、本のある生活をふやすために、新たな本のあり方を模索し、人と本が出会う素敵な偶然をつくるユニット。図書館や文学館、美術館での本の企画・選書・ワークショップをはじめ、益子STARNET、新宿HAPONなどギャラリーやシェアオフィス、カフェでのブックコーナーの担当、オリジナル商品「文庫本葉書」、「文庫本画廊」の販売など、本を選書するだけに留まらず、さまざまな場所で人が本と出会う体験をデザイン・企画している。
  • 山内康裕
    聞き手
    山内康裕(Yasuhiro Yamauchi) マンガナイト代表/ レインボーバード合同会社 代表社員
    1979年生。法政大学イノベーションマネジメント研究科修了。2009年、マンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」を結成し代表を務める。
    イベント・ワークショップ・デザイン・執筆・選書(「このマンガがすごい!」等)を手がける。また、2010年にはマンガ関連の企画会社「レインボーバード合同会社」を設立し、マンガに関連した施設・展示・販促・商品等のコンテンツプロデュース・キュレーション・プランニング業務等を提供している。主な実績は「立川まんがぱーく」「東京ワンピースタワー」「池袋シネマチ祭」など。「DOTPLACE」にて『マンガは拡張する』シリーズを連載中。「NPO法人グリーンズ」監事、税理士なども務める。

昔の小説家が現代に生きていたらマンガ家だったかも

山内 いわゆる「日本の歴史」のような学習マンガは子どものときに読んでいましたか?

川上あまり読んでこなかったです。でも、普通の少年マンガはよく読んでいました。小学生の頃は、ちょうど週刊少年ジャンプ(以下、ジャンプ)の全盛期でした。たしか、小学4年生頃からジャンプを買い始めました。ジャンプを買う前から「キャプテン翼」「ドラゴンボール」はアニメで見ていて、たまたま年上のいとこの家に遊びにいったときにジャンプがあったんです。そこにはアニメよりずっと先の話が描かれていて、「すごい!なんだこりゃ!」ってなって(笑)。それが初めてのジャンプ体験です。
当時のジャンプの人気ぶりはものすごかったですね。自宅の近所の酒屋兼駄菓子屋みたいなお店が、「土曜ジャンプ」(ジャンプは通常月曜発売だが、流通事情で3日前の土曜に販売しているジャンプのこと)を売っていたんです。他になにもない線路沿いの場所なんですが、土曜夜になると小中学生がすごい行列をなしていましたね(笑)。自分もジャンプをはじめとする少年マンガから学ぶことは多かったと思います。

山内 中学生以降はどんなマンガを読んできましたか?

川上大学に入った頃(2000年頃)に読んだ、岡崎京子魚喃キリコ井上三太などの「おしゃれマンガ」がきっかけで青年マンガを手にとるようになったのが大きな変化だったと思います。それまで大人向けのマンガって「ゴルゴ13」とか40代以上の「いかにも大人向け」の印象があったんですが、これらのマンガは20~30代向けという印象があって、ああ、こういうマンガが出てきたのか!と。小学生でジャンプ、中学・高校時代のマガジン、サンデーの時代から比べて、この頃には週刊誌基準でマンガを選ばなくなったので、手に取るマンガのジャンルの幅が広がっていく感じがありましたね。

山内そういう自分が親しんでいたいわゆるエンターテイメントマンガが「これも学習マンガだ!」で選ばれたことについてはどう感じましたか?

川上ふだん活字の本を扱っているのでそう思うのかもしれないけれど、このマンガ作家は昔だったら文学の作家として本を書いてたんじゃないかな?と思うような作品があります。昔の小説家や評論家が今生きていたら、マンガを描いていたかもしれませんね。
あと、昔は「本」という大きなジャンルの中の1ジャンルとして「マンガ」があったと思うんですが、『これも学習マンガだ!』では「マンガ」というジャンルの中の1ジャンルとして「文学」がありますよね。そこがすごく面白いなと思いました。さっき言った「おしゃれマンガ」が出てきた時もそれまでのマンガとは立ち位置が違うマンガが出てきたという感じがしましたが、今回の企画もその延長上にあるんだな、と。
もはや新しい風が吹いたという程度ではなく、「マンガ」という市場が新しくできた、という感じですね。ここから読み始める人は全く新しい感覚で読むのだろうな、と思います。

山内 川上さんにとって『これも学習マンガだ!』と思うマンガ作品ってありますか?

川上衝撃的だったのは「鈴木先生」です。思想書に近い作品だと思います。思想書や哲学書といったジャンルは本の中でも奥深く、特に手にされにくいものなんですが、それをマンガで読めるというのはすごいことだと思います。「鈴木先生」は極めて純粋な思考の葛藤が学校を舞台に展開されていて、単純な「勝ち負け」でストーリーが展開されるのではなく、「どう納得させるか?」というところを突き詰めているんですよね。マンガの読みやすい、分かりやすいという利点を生かしつつ、内容を薄めて読みやすくするのではなく、考え方そのものの展開を提示している点がとても魅力的な作品だと思います。
あとは、「文学」ジャンルで言えば「大正野郎」が好きです。大正浪漫に憧れる時代錯誤な大学生が主人公の話なんですが、絵の描き方、言葉のやりとりなど、時代の雰囲気をおかしみとともに読ませるのがとてもうまいと思います。ちょっと変化球ですが、この作品をきっかけに大正という時代に興味を持つ人もいるかもしれないですよね。物語そのものではなく、物語の周辺へ広がっていく学びもあると思います。

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