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日本財団 『これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~』

“嘘”を楽しむ。気になったら自分で事実確認する

山内僕はマンガには「伝える手段」という重要な側面があると思っています。大衆文化から出発して60年経過したマンガは、文芸との単純な比較ではなくて、そのポテンシャルに見合った評価をされるべきかな、と。

福田 そうですよね。だから、今回「これも学習マンガだ!」を知ったときに、素直に「あ、賛成だな」って思ったんです。竹宮惠子先生も「マンガには何かを説明する力がある」っておっしゃっていましたし、高野文子さんも「ユリイカ」でのインタビューで今何に興味があるか?を聞かれたときに「学習マンガ」っておっしゃったんですよね。高野さんのような学習マンガとは一番遠いところにいるような人が「学習マンガ」って言い出したことがすごく衝撃だったんです。そして、その高野さんがそのインタビューの後に描いたのが『ドミトリーともきんす』。まさしく学習マンガですよね。

山内ドミトリーともきんす』を読んだ人の中から、将来、科学者や数学者が生まれるかもしれないですよね。

福田 そうそう。インプットとアウトプットは別なんですよね。マンガを読んで科学者になるということもある。入ってくる回線と出ていく回線は同じじゃない。だから、どんなものでもバカにしちゃダメ。偏見を持っちゃダメなんです。例えば、藤村シシンさんという古代ギリシャの研究家がいて、彼女が書いた『古代ギリシャのリアル』は学術書では異例の重版がかかっているんですけど、彼女は『聖闘士星矢』を読んだのがきっかけで古代ギリシャの研究に足を踏み入れたという(笑)。「タメになるから」じゃなくて、娯楽としてマンガを読んで、結果として誰かのツボをつくというのが一番理想的な形なのかな、と。

山内 同感です。内容が事実と合っているかどうかを熱心に気にする大人もいますが、そういうことじゃない。

福田 ですね。事実に忠実にかけという制約はぜったいかけちゃだめだと思う。事実かどうかなんて、興味を持った読者が自分で調べればいい話。それこそが勉強ですよね。その確認作業を自分の研究としてやればすごく楽しいんじゃないかな。フィクションとノンフィクションの差を埋めていく作業が学習なんですよ。『ベルサイユのばら』(以下、ベルばら)なんて、まさにそう。実在のキャラクターとフィクションのキャラクターが入れ子なっている。だから面白い。それを大人がいちいち「この人は実在しないんだよ」とか教えて、楽しみを奪わないでほしい。だって、オスカルのいないベルばらなんて考えられないでしょ(笑)?

山内ベルばらに影響を受けたマンガ家は多いですよね。

福田 実はよしながふみさんはベルばらの同人からスタートしてるんですよ。そして今『大奥』を描いている。これはすごいこと。男女逆転の大奥を描くことで、ジェンダーロールを考えさせる名作です。『イノサン』もベルばら以後の作品。ベルばらのモブキャラが主人公なんです。見てください、この表紙!この美しさ!!他には池田理代子先生と同世代の名香智子先生が『山猫天使』というベルばらの前日譚の時代を描いています。

山内誰をヒロインにするかで善悪の見え方が逆転するとか、関連作品を併せて読むとまた新しい発見がありそうですね。 本日はマンガ愛にあふれるお話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました。

構成・編集 岩崎 由美

対談中に紹介された作品一覧

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