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日本財団 『これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~』

マンガ的なステレオタイプも一度受け入れる

山内ヘタリア Axis Powers』を講義で使っているとお聞きしました。

柳原はい。学生が持っている各国に対するステレオタイプを頭ごなしに否定せずに、そこから入って学びにつなげていく試みです。

山内面白そうです。どんな講義なんですか。

柳原まず学生に自分が担当したい国を決めてもらって、教室をヨーロッパだと見立てて各国の位置にそれぞれ座ってもらいます。学生たちは自分が担当した国の専門家として、それぞれの国で何が起きていたかをその場で調べて発表していきます。例えば「戦後ヨーロッパの復興金であるマーシャルプランをアメリカから受け入れた国は?」と聞くと該当する国の担当者が手を挙げるんです。手が上がったラインはそのままかつての冷戦構造の鉄のカーテンになっていて、目の前で視覚化されるんですよ。そういう風にしていくとなかなか手を挙げる機会の無いスペインとか、何故か鉄のカーテンの社会主義側にいたのにソ連と決別してマーシャルプランのお金をもらっちゃうユーゴスラビアとかに気づく(笑)。そういうのが学生にとってはすごく面白いんですね。

山内非常にヘタリア的ですね(笑)

柳原ステレオタイプを一回受け入れてしまうっていうことです。ただ当然そのステレオタイプ通りじゃない面がある。そこに気づくのが学びだと思うんですよね。細かく言えば、問題はたくさんあるわけです。キャラクターが軍服を着ていることもそうだし、歴史の中で矛盾していることも描かれている。逆に描かれていないこともある。でも否定するより共存した方がいいかなと。

山内その方が学生も楽しく出来ますもんね。今の学生は「とにかく暗記しろ」と言われても納得しないですよね。ひたすら暗記してもそれがあまり役に立たないことに気づいてしまっている。だから楽しみながら学べるっていうのは大きいと思います。

柳原そうですね。事実、歴史研究者は暗記を「仕事」とはしていないんですよ。暗記することよりも大切なのは歴史的な思考方法。歴史的思考というのは原因と結果を結んでいく、あるいはより多様な社会を見ることができる力です。そして歴史的思考をつけるためにも歴史マンガで歴史的な想像力を鍛えることは有効だと思います。想像力が無いと歴史研究は成り立たないんですよ。

山内歴史の空白の部分を自分の想像力で埋めていくんですね。

柳原まさしくそうで、論理と想像のバランスが大切ですね。そこでは、ついつい妄想しちゃうのとか、実はすごく重要なんです。

山内歴史マンガのおすすめの読み方ってありますか。

柳原少々マニアックな読み方になってしまうかもしれませんが、同じ時代もしくは近い時代をテーマにした何作品か比較して読んでみるとより想像力が刺激されるかもしれません。例えば『チェーザレ 破壊の創造者』と『アルテ』や、『イノサン』と『ベルサイユのばら』なんかですね。

山内横山光輝先生の『三国志』と『蒼天航路』も鉄板ですね。

柳原ですね。そうやって比較をして読んでみるとマンガが持っているフィクション性にも気づけるかなと。

山内誰かに言われてではなく自分で気づくというのが大事かもしれませんね。フィクションと史実の境目に気づくことと、さっきお話のあった「何だろう、これ。」と疑問を持って背景に興味を持つことは近しいことのような気がします。自分で気づける機会をマンガと学びをつなぐ架け橋と考えても良いかもしれませんね。

構成・編集 岩崎 由美

対談中に紹介された作品一覧

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