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日本財団 『これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~』

自由になるための「もう一つの世界」

山内人工知能の研究を突き詰めていくと「人間とはなにか」という哲学的な問いに繋がっていきそうですね。「これも学習マンガだ!」の「生命と世界」ジャンルの作品ともテーマが重なる部分がたくさんありそうです。

三宅「生命と世界」というジャンル名はセンスが良いですよね。「生命」だけでも「世界」だけでもなく「生命と世界」。これらが分離してないのが本質的だと感じました。例えば土のない蟻って蟻じゃないですよね。蟻っていうのは土と一緒いるから蟻なんです。世界から生命だけ切り出すことは出来ない。もちろん人間もそう。「生命」と「世界」が不可分だっていうのは知能を考えるときの大前提で、ゲームの人工知能もこの前提の上で作っています。

山内「生命と世界」って作品を分類する名称としては特徴的ですよね。作品のラインナップを見ていただくと分かると思うのですが、「生命とは何か」や「ここじゃないもう一つの世界があるんじゃないか」など、さまざまな問いかけのある作品を選出しています。

三宅「もう一つの世界」の話で言うと、僕は生命と世界の結びつきのバリエーションっていうのは本来たくさんあるはずだと思っていて。ただし地球上にいる限りはそのバリエーションを見ることはできない。でも想像することならいくらだって出来ますよね。そういう想像をすることに僕はすごくワクワクするし、想像力を刺激してくれるような洞察のある作品が好きなんです。それはゲームという異世界の人工知能を考えることそのものなんです。

山内興味深いです。例えばどんな作品ですか。

三宅蟲師』はまさにそんな作品ですよね。人間という生命は私たち自身のことだから良く知っていて、もちろん世界とどう関わっているかもおおよそ分かっている。『蟲師』では人間のそばにいる蟲という生命と世界がどう結びついていくのかが描かれています。蟲が人間とは違う世界との結びつき方をしているところが面白い。人間と蟲との間に世界が介在しているんです。

山内人間のそばにいる別の存在として『陰陽師』では霊的なものが描かれます。

三宅陰陽師』はその霊的なものを描くことで、人間社会の闇の部分がむしろくっきりと描かれています。裏側から人間の在り方を描いたお話ですね。『寄生獣』は『陰陽師』とは全くトーンの違う作品ですけれど同じようなアプローチで、人間のすぐそばにいる異質な生命を描いています。これはSFの王道的な手法ですね。人間社会とは違う社会を描くことでむしろ人間を明確に描くという使命を持っているのがSFだと思います。他には選書作品ではないですが『アーシアン』もイチオシです。作中に「アンドロイドは死んだら人間と同じ場所に眠れるのか」っていう問いかけがあるんですね。私たちは人工知能や生命のようなものを「作る」ことばかり考えがちですが、当たり前ですが生と死はセットなわけです。アンドロイドが死んだらどこにいくのかというテーマはとても興味深い問いなんじゃないかと。

山内人間とアンドロイドの死は違うのか。命の重みが違うのか。『火の鳥』に通じるテーマですね。

三宅そうなんです。まさにこのあたりを描いた王道中の王道が『火の鳥』。以降のマンガ家がみんな困っちゃうんじゃないかというほどの王道を全部描き切っちゃったみたいな作品ですよね。でもその手塚作品を上手く引き継いだのは市川春子さんだと僕は思っていて。市川さんの作品は現代版『火の鳥』と言っても良いかもしれません。

山内なるほど。『25時のバカンス』『虫と歌』『宝石の国』などいずれも生命を独創的な世界観で描いた作品ですね。

三宅一風変わった生命を正面から描いていますよね。例えば『宝石の国』では宝石が擬人化されています。石だから物理的なダメージを受けると体がどんどん崩れていく。両足が丸ごと切断されてしまっても修復される「宝石人間」を通じて、人間と違う体を持った生命の知能が描かれています。そしてそんな「変わった」生命と対比されることで人間という生命がどんなものなのであるのかを教えてくれるような作品でもあります。

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