2018-04-11
【2018年本屋大賞発表!】『かがみの孤城』(辻村深月)に決定!話題沸騰の著者最高傑作!
「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本 本屋大賞」が、4月10日に発表となりました!! 2018年、今年の本屋大賞を受賞したのは『かがみの孤城』辻村深月(ポプラ社)!大賞作品と順位をご紹介します。
目次
- ・2018年本屋大賞『かがみの孤城』辻村深月/ポプラ社
- ・2位『盤上の向日葵』柚月裕子/中央公論新社
- ・3位『屍人荘の殺人』今村昌弘/東京創元社
- ・4位『たゆたえども沈まず』原田マハ/幻冬舎
- ・5位『AX アックス』伊坂幸太郎/KADOKAWA
- ・6位『騙し絵の牙』塩田武士/KADOKAWA
- ・7位『星の子』今村夏子/朝日新聞出版
- ・8位『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人/実業之日本社
- ・9位『百貨の魔法』村山早紀/ポプラ社
- ・10位『キラキラ共和国』小川糸/幻冬舎
- ・翻訳小説部門1位『カラヴァル 深紅色の少女』ステファニー・ガーバー/キノブックス
- ・2位『13・67』陳浩基/文藝春秋
- ・3位『その犬の歩むところ』ボストン・テラン/文藝春秋
2018年本屋大賞『かがみの孤城』辻村深月/ポプラ社
2012年に『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞してる辻村深月ですが、本作は著者最高傑作といわれております!
いじめがきっかけで不登校になった主人公が、虹色の輝きを放つ家の鏡に導かれ不思議の世界へ--という、現実のしんどさとファンタジーが絶妙にからんだ傑作。『オーダーメイド殺人クラブ』でも存分に魅せてくれた、中学生の変動激しい自意識と、どこか醒めたところがある言動が堪能できます。主人公へのいじめに対する周囲の大人の反応はさまざまなのですが、「ダメな大人」のダメっぷりは、読んでるこちらが不思議の鏡を通り抜けて物語世界に行き、強めのパンチを喰らわせたいほどのダメっぷり。でもこういう大人いるよね、というリアルさです。
2位『盤上の向日葵』柚月裕子/中央公論新社
藤井聡太六段の快進撃に羽生善治竜王の国民栄誉賞授与と、大きな熱狂の中にある将棋界。熱しているのは私たち周囲であって、棋士たち自身はいつでも変わらぬ情熱で将棋盤に向き合っていると思います。そんな将棋界が舞台の骨太ミステリー。東大卒のエリートビジネスマンから異例の転身をとげた棋士、かつて奨励会にいながらプロの道を諦めた刑事…フィクションの将棋界も熱いです!
「将棋界を舞台にした『砂の器』」がテーマだったという著者、柚月裕子。『砂の器』の大きなテーマだった親子の葛藤が描かれます。
3位『屍人荘の殺人』今村昌弘/東京創元社
タイトルからすでに、みんな大好き「新本格」っぽさに期待いっぱいでしたが、話が急転すると驚きと、不謹慎ですがワクワクが止まらなくなります。この状況…著者はいったい、どう「畳む」…?
物語の中ならではの特殊な環境下で「(ネタバレ防止ピー)」が成立してしまうところは、『(ネタバレ防止ピー)』にも通じるところがあります。シリーズ化は難しいかもしれませんが、ぜひとも探偵と助手でもう1度見てみたいと思う作品です!
4位『たゆたえども沈まず』原田マハ/幻冬舎
2017年-2018年にかけては「ゴッホ展」が開催されていたこともあり、この作品の鑑賞のタイミングとしてはまさにピッタリ!すでに私の西洋絵画鑑賞する際の知識のかなりの部分は史実と創作の区別もややついていないまま、原田マハさんの作品で得たものがベースになってしまっているのですが、本作については画家・ファン・ゴッホと、浮世絵をパリに売り込んだ画商・林忠正というキーマン2人の間に「実際に交流があったのかはわかっていない」という原田マハさんのインタビュー記事を拝見して愕然…!なんて素敵な創作なのだ!絵画の向こうの物語を想像するのは楽しい!
5位『AX アックス』伊坂幸太郎/KADOKAWA
殺し屋シリーズ三作目、これまでと変わらず、日常に溶け込む殺し屋の人生を見事に描いていました。殺し屋という血なまぐさい職業の登場人物たちですが、読んでいてそれほど不快だったり不気味だったりすることはなく、読了後にふと街を歩いていると、殺し屋の彼らと実はすれ違っているのではと思うほど、身近な存在になっている気がします。一気に読み切りたくなる作品なのでハイカロリーではありますが、何度も読みたくなってしまうんですよね。
6位『騙し絵の牙』塩田武士/KADOKAWA
7位『星の子』今村夏子/朝日新聞出版
新興宗教にハマる一家の女の子視点のストーリーですが、少女の当たり前の日常の中に新興宗教がある様子が何とも不気味でした。女の子視点ではありますが、周りの人々の宗教に対する反応が様々で、これが世の中なのだと言い得ているようでした。本作は新興宗教という、一般で口にするのは憚られるテーマではありますが、他の切り口だったとしても同じように1つの事象に対して十人十色の意見があるんだろうなと思ってしまいました。
8位『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人/実業之日本社
知念実希人さんの小説には当然、医師ならではのリアリズム、知見などが散りばめられているのですが、真の魅力はそれらの「らしさ」がメインではなくストーリーテリング上の手段のひとつなところだと思います。「恋愛×ミステリー」彼にしか書けなかった作品だと心から思います。
9位『百貨の魔法』村山早紀/ポプラ社
まさに自分自身が百貨店に勤めている時を思い出し、懐かしく心温まるお話でした。星野百貨店の世界観に引き込まれ、本当に実在しており、自分もそこにいるかのような感覚になりました。現代が百貨店にとっては厳しい時代というのもよく分かるので、そんな中でもたくさんのお客様を笑顔にし、色んな出会いや奇跡が生まれている星野百貨店がずっと残り続けてくれることを本気で願ってしまいます。
10位『キラキラ共和国』小川糸/幻冬舎
※未電子化
翻訳小説部門1位『カラヴァル 深紅色の少女』ステファニー・ガーバー/キノブックス
※未電子化
2位『13・67』陳浩基/文藝春秋
3位『その犬の歩むところ』ボストン・テラン/文藝春秋
ぜひ、この機会にご一読ください!