現在ご利用いただけません

「お知らせ」とは

  • 電子書籍
  • 記事一覧
  • 決定!ノンフィクション本大賞2018『極夜行』陽の光が絶えた北極圏での壮絶な日々

2021-10-03

決定!ノンフィクション本大賞2018『極夜行』陽の光が絶えた北極圏での壮絶な日々

決定!ノンフィクション本大賞2018『極夜行』陽の光が絶えた北極圏での壮絶な日々

全国の書店員が「今いちばん売りたい本」を選ぶ「本屋大賞」と、「Yahoo!ニュース」が連携して新設された「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」が発表されました。

楽天Kobo

ノンフィクション本大賞2018『極夜行』角幡唯介

全国の書店員が「今いちばん売りたい本」を選ぶ「本屋大賞」と、「Yahoo!ニュース」が連携して新設された「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」が発表されました。

大賞は角幡唯介『極夜行』。

冬至ごろには太陽が昇らなくなる北極圏を、犬一匹だけを連れ、そりで旅する数ヶ月の冒険記です。

ほかノミネート作品はこちら

『極夜行』みどころ:真の闇、真の光を求める「脱システム」の旅

著者の旅は困難を極めます。
難関の氷河越えを阻むかのように襲うブリザード、補給を予定していた拠点がシロクマに襲われていたための食糧不足、太陽が昇らないためむしろ満月の夜の方が多少でも明るくなる氷原での迷子…

たいていの人は「なぜ、そうしてまで」という感想を持つと思います。もちろん私もそうでした。

著者は「脱システム」を理由として挙げています。
人工の光に囲まれた現代人にとっては真の闇も、そして闇と対比される太陽の光も、失われたものとなってしまいました。
一年で最も太陽の勢いが衰え、あるいはこの日を境に太陽が再び活気を見せ始める冬至(南半球では夏至)を死と生の象徴として祀ってきた古代の信仰は、現代ではカレンダーに記される行事のひとつにすぎません。
(クリスマスは古代の冬至祭が発展したものという説もあります)

夜、昼、太陽、月、星。

現代のシステムから離れ極夜を旅して、これら天体の生み出す圧倒的な力を目にした時、とりわけ極夜の果てについに目にした太陽は、現代人には感じられない圧倒的な力と輝きでまさに原初信仰の対象としてふさわしい存在感を放つのではないか。

それを感じるため、北緯78-79度の氷河&ツンドラ地帯をひとり旅するのですから、現代に冒険はなくなったというべきか、もしくは現代にも冒険の余地はまだまだあると思うべきか…
いずれにせよ究極の闇の中での著者の心の動きはたいへん読み応えありです!

「夜ごとに私たちは死に、朝ごとに新しく生まれる」

極夜を求めて旅する記録の本書は、旅の約3年前の著者の長女誕生のシーンから始まります。

表紙の暗い空に若干の恐れを抱き、どんなハードな行軍が出てくるのだろう、途中でアザラシに襲われてしまったりするのだろうか(襲われていませんでした)、と北極圏の知識ほぼナシで読み始めた自分にとっては意外なツカミと、出産という行為に為す術なく立ち会う夫=著者の淡々としているのに面白い筆致にあっという間に引き込まれてしまいました。

「夜ごとに私たちは死に、朝ごとに新しく生まれる」

というのはイギリスの詩人エドワード・ヤングの代表作「夜想」の一節ですが、これを引くまでもなく古来より太陽は生で、それが消える夜は死そのものでした。
極夜というもっとも「死」を感じる状況の果てに著者が見た太陽がどんな感情を生み出したか、ぜひ読んで感じてみてください。

2018年の冬至は12月22日(土)です。

それでは、今日も素敵な読書のお時間を!

このカテゴリーのピックアップ記事

このページの先頭へ