2024-10-11
激動の歴史を駆け抜ける!女性が活躍するおすすめ歴史漫画(2024年版)
歴史の勉強をしていると、教科書に登場する人物は男性が多いように感じます。しかし近年では、歴史の中でさまざまな女性の活躍が注目されています。今回は数ある歴史漫画の中でも、女性にスポットを当てた作品をご紹介します!
目次
『セシルの女王』エリザベス1世とその重臣の運命が交錯!
誇り高き女王と、ある忠臣の物語ーー開幕!
『ベルサイユのばら』池田理代子氏、推薦。
『あさひなぐ』のこざき亜衣が新たに挑むーー新時代を築く、本格歴史ロマン!!
時は1533年、イングランド。
善悪の尺度も命の行方も不確かな時代に、明日を夢見る少年が居た。
ウィリアム・セシル、12歳。
王に仕えることで出世を目論む彼は、衣装担当宮内官である父に連れられ、初めて城へと登る。
しかしそこに君臨していたのは、暴虐な絶対君主・ヘンリー8世だった。
“ここでは人の優しさや寛容には必ず裏がある”
“誰かが誰かを、常に見張ってる”
横行する暴力と裏切り、派閥争いや不貞。
夢見ていた宮廷との差に落ち込んだ少年は、その夜、王妃アン・ブーリンと出会い、
彼女のお腹の中の子……
未来の“王”に仕えることを誓うがーー
実写映画化&舞台化も果たし、第60回小学館漫画賞一般向け部門を受賞した『あさひなぐ』、全34巻の完結から一年。
こざき亜衣が新たに挑むのは、近世イングランドを舞台とした本格歴史ロマン!!
「『ベルサイユのばら』から50年。若い女性漫画家による本格的な歴史漫画の登場に、心躍るようです。」(池田理代子氏)
これは、誇り高き女王と、彼女を支えたある忠臣の物語。
ーーさあ見届けよ、「彼女」と「彼」が築く、輝かしき【黄金の時代】を!!
▼『セシルの女王』最新7巻発売中!
▼『セシルの女王』で描かれている時代
『セシルの女王』は、初代バーリー男爵ウィリアム・セシルと、彼がその治世を支え続けたイングランド女王・エリザベス1世を描いた歴史漫画です。
物語はエリザベスの誕生の少し前、彼女の生母であるアン・ブーリンと、王室の衣装担当官だった父と宮廷にやってきたセシルの出会いから始まります。
男子の誕生を望んでいた国王ヘンリー8世は、王妃キャサリンとの離婚とアンとの再婚をはかり、ローマ教皇庁と対立。
最終的にカトリック教会からのイングランド国教会の分離などを成し遂げます。
王女エリザベスはこうしたカトリック・プロテスタントの対立と、王位継承の争いが絡み合い、多くの血が流れる宮廷で生まれました。
ご存知のとおり、エリザベスが女王として即位するまでには異母弟・エドワード6世と異母姉・メアリー1世をはじめとする多くの死と偶然がありました。姉に幽閉までされていたエリザベスは、即位後の目覚ましい活躍もさることながら、即位までの王族サバイバルでも輝かしい結果を残すことになります。
▼女王への道は困難だらけ!支えたウィリアム・セシルとは
そんなエリザベス1世の生母のアン・ブーリンを慕うウィリアム・セシルは、男子を望まれながら王女を生んだことへの激しい重圧に消耗するアンに誓います。
「俺がエリザベス様をこの国の女王にします」
とってもグッとくる名シーンなのでぜひ本編をご覧ください!
2巻収録です。
生まれた直後から目ぢからの強さに王者の風格がある(?)エリザベスと、ケンブリッジ大学で多くの出会いを経たウィリアム・セシルは、さまざまな困難や生命すら危機にさらされながら、それらを何度も乗り越えていきます。
イングランドの黄金期を生み出した女王と、その世を支えた重臣の活躍を、ぜひ目に焼き付けましょう。
『セシルの女王』©こざき亜衣 / 小学館
『レイリ』数奇な運命を生きる、死にたがり少女!
▼『レイリ』あらすじ
時は戦国時代。
長篠の戦いで織田軍に敗れ、傾いている武田家。
前線基地である小山城で岡部丹波守に仕える少女・レイリがいました。
巧みな剣術の腕を持ち、いざ稽古試合を始めると、男たちをも打ち負かしてしまう筋の良さでした。
ある日、織田・徳川連合軍が武田軍の拠点である高天神城に迫ってきているという一報が。
レイリは進んで出陣をしようとしますが、岡部丹波守に止められてしまいます。
肩を落としていたレイリですが、とある場所に連れて行かれることになり…
▼過去を抱えながら生きる少女「レイリ」
長篠の戦いで雑兵に家族側が殺され、孤児となった少女。武田軍の家臣の岡部丹波守に育てられる。
レイリは、根は温和で優しい性格ですが、剣術に秀でています。
1日でも早く戦に出て敵を斬り倒し、最後には岡部丹波守の盾になって死ぬことを願っています。
男性をも圧倒してしまう剣術は、迫力満点です!
犠牲になることを望み、戦いに身を置きたがるレイリに、彼女を拾い育てた岡部丹波守の心中は複雑です。
戦国の世に活躍する死にたがり少女は、どんな運命を進むのでしょうか。
「レイリ」©岩明均・室井大資(秋田書店)
▼『レイリ』全6巻発売中!
『アルテ』逆境の中でも、自分の手で人生を切り開く!
▼『アルテ』あらすじ
『アルテ』は、16世紀初頭のフィレンツェが舞台。
この時期のフィレンツェは、ルネサンス発祥の地として、「花の都」の意味を持つその名のとおりに芸術・文化活動花開く活気ある都市でした。
そんなフィレンツェの裕福でない貴族の娘として生まれたアルテは、結婚後に不自由になる貴族の女性としての人生を拒み、画家として生きる道を選択します。
社会的に女性が活躍できる場が限られているこの時代。
男性中心である職人の世界で、アルテは門前払いを受け続けます。
そのような中、街で唯一弟子がいないレオは弟子入りの条件として無理難題を提示し…
▼男性に負けじと立ち向かうお嬢様「アルテ」
貴族の娘として生まれる。結婚して不自由な生活をおくることよりも、画家を志す。逆境を自分の手で切り開こうとする。
ルネサンスは、さまざまな芸術・文化が花開きました。そして、その時期の繁栄は男性が中心でした。
男性中心の職人の世界で生きることを決めたアルテは、「女だから」と軽蔑をされたり、時には暴言を吐かれるなど、さまざまな困難にぶつかります。
そんな生きづらさを抱えているアルテですが、逆境をバネに、力強く生きようとする姿が見えます!
画家のタマゴとして奮闘し、成長を重ねていく姿は必見です。
アルテの生き方に、勇気をもらえること間違いなしです。
©大久保圭/コアミックス
▼『アルテ』最新18巻発売中!
『雪花の虎』毘沙門天の生まれ変わりは姫だった!?
▼『雪花の虎』あらすじ
みなさんは、「上杉謙信女性説」をご存知でしょうか。
『雪花の虎』は、その説を題材とした作品です。
群雄割拠の戦国時代。
越後国、春日山城城主・長尾為景のもとに、待望の第三子が誕生しました。
軍神・毘沙門天の生まれ変わりとされ、長尾家を率いる存在としての男子の誕生が大いに期待されていましたが…
生まれたのは、足が大きく元気な「姫」でした。
為景は、姫を「虎千代」と命名し、学問や武芸など、武将の男子としての教育を与えていきます。
▼毘沙門天の生まれ変わり「虎千代」
毘沙門天の生まれ代わりとして、姫武将として育てらる。武勇に優れている。後の上杉謙信。
虎千代は、女子として生まれながらも、武士という男子の世界で育てられます。
お転婆ですが、泣き虫でもある虎千代が愛らしくなります。
男子中心の世界で生きる虎千代の逞しさも見どころです。
©東村アキコ/小学館
▼『雪花の虎』全10巻発売中!
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『死者の書』郎女が二上山に導かれた理由とは…
▼『死者の書』あらすじ
平城京が栄える頃。
世間から隔絶されて育った藤原南家の姫・郎女は、ある日二上山に現れる幻影に誘われ、その山の麓にある女人禁制の万法蔵院(当麻寺)に入り込みます。
郎女を導いた謎の幻影は、郎女を恋人と思い込んだ大津皇子の亡霊でした。
掟を破ってしまった郎女に、当麻寺の語部姥が藤原氏の話を始めます。
そこで、姥は郎女に、幻影として見えた大津皇子とその恋人であった耳面刀自、そして郎女との因縁を語ります。
▼一途な信仰心を持つ「郎女」
藤原南家の娘(中将姫)。幼い頃から氏神に仕える姫として育てられ、世間から離れた生活を送る。
世間から離れて育った郎女は、二上山の峰の間に見て、千部写経を発願します。
また、「才を得たい」と願っていることから、氏神に仕える姫として生きづらさを抱えていることもわかります。
そんな郎女は、さまざまな運命に翻弄されていきます。
当麻寺(奈良県)に伝わる、中将姫伝説から構想を得て書かれた『死者の書』。
奈良時代の歴史上の出来事とも絡み合っていて、奈良時代を学習するのにもおすすめな作品です。
©折口信夫・近藤ようこ/KADOKAWA
▼日本民俗学の基礎を築いた折口信夫『死者の書』原作小説発売中!
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『イシュタルの娘~小野於通伝~』名だたる戦国武将に信用された才女
▼『イシュタルの娘~小野於通伝~』あらすじ
イシュタルとは、古代メソポタミア神話の愛と美の女神。
ローマ神話のヴィーナスに相当し、金星を司り、夜明けを呼ぶ星「明けの明星」の別名でもあります。
『イシュタルの娘〜小野於通伝〜』の舞台は、戦国時代の日本。
普通の人の目には見えないものが見える「天眼」を持つ武家の娘・小野於通は、織田信長の背後に黒い龍を見ます。
於通はその聡明さから、信長に目をかけられます。
その後、於通は、公家の九条稙通の保護のもとで高い教養を身につけ、時代を代表する才女へと成長していきます。
▼激動の戦乱の中で自分の生き方を見つける才女「小野於通」
美濃の国の地侍・小野正秀の娘。普通の人の目には見えないものが見える「天眼」の持ち主。和歌や連歌などの才に秀でる。
於通は戦国時代を代表する豊臣秀吉や徳川家康からも一目置かれ、信頼を重ねていきます。
また、於通の持つ天眼が、戦国の世でどのような影響を与えるのかも注目です。
『イシュタルの娘~小野於通伝~』©大和和紀/講談社
▼『イシュタルの娘~小野於通伝~』全16巻発売中!
「激動の歴史を駆け抜ける!女性が活躍するおすすめ歴史漫画5選」おわりに
いかがでしたか。
今回は、自分らしく生き抜く女性が登場する歴史漫画をご紹介しました。
歴史の中で、女性が注目されることが少ないです。
近年、女性史が注目されていますが、今回ご紹介した本が、女性史に興味を持つ一つのきっかけになれば幸いです。
ロマンあふれる歴史漫画を、堪能しましょう!