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2024-01-17
第170回芥川賞・直木賞決定!直木賞・河崎秋子『ともぐい』/万城目学『八月の御所グラウンド』のW受賞&芥川賞・九段理江『東京都同情塔』!ほか候補作品と歴代受賞作品
第170回(2023年下半期)芥川賞・直木賞が2024年1月17日(水)発表されました。芥川賞は九段理江『東京都同情塔』、直木賞は河崎秋子『ともぐい』/万城目学『八月の御所グラウンド』のW受賞です。それぞれの候補作品と歴代受賞作品をご紹介します。
目次
- ・芥川賞・直木賞とは/由来/違いなど
- ・★第170回直木賞 受賞作品
- ・『ともぐい』河崎秋子
- ・『八月の御所グラウンド』万城目学
- ・★第170回芥川賞 受賞作品
- ・『東京都同情塔』九段理江/『新潮』12月号
- ・第170回直木賞 候補作品
- ・『なれのはて』加藤シゲアキ
- ・『襷がけの二人』嶋津輝
- ・『まいまいつぶろ』村木嵐
- ・『ラウリ・クースクを探して』宮内悠介
- ・第170回芥川賞 候補作品
- ・『迷彩色の男』安堂ホセ/『 文藝』秋季号
- ・『猿の戴冠式』小砂川チト/『群像』12月号
- ・『アイスネルワイゼン』三木三奈/『文學界』10月号
- ・『Blue』川野芽生/『すばる』8月号
- ・歴代芥川賞・直木賞受賞作品(最新)
- ・歴代芥川賞・直木賞受賞作品(一覧)
芥川賞・直木賞とは/由来/違いなど
「芥川龍之介賞」「直木三十五賞」とは…
芥川賞・直木賞ともに1935(昭和10)年に制定。
自身も作家であり、文藝春秋社主宰の菊池寛が同時に創設しました。
芥川賞は新進作家による純文学の中・短編作品のなかから選ばれ、直木賞は新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)が対象という違いがあります。
いずれも年2回、1月・7月に受賞作品が発表されます。
第170回芥川賞・直木賞は2023年12月14日(木)に候補作品発表。2024年1月17日(水に)選考会が開かれ、受賞作品が決定しました。
★第170回直木賞 受賞作品
『ともぐい』河崎秋子
己は人間のなりをした何ものかーー人と獣の理屈なき命の応酬の果てには。明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河崎流動物文学の最高到達点!!
▼『ともぐい』関連記事
『八月の御所グラウンド』万城目学
京都が生んだ、やさしい奇跡。
ホルモー・シリーズ以来16年ぶり
京都×青春感動作
女子全国高校駅伝ーー都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会ーー借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。
京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとはーー。
今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない
人生の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る傑作2篇。
★第170回芥川賞 受賞作品
『東京都同情塔』九段理江/『新潮』12月号
ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。
第170回直木賞 候補作品
『なれのはて』加藤シゲアキ
一枚の不思議な「絵」の謎を追い、令和から昭和、大正へ。
日本最後の空襲といわれる秋田・土崎空襲。
戦争が引き起こした家族の亀裂は、現代を生きる人びとにも影を落としていた。
ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員・守谷京斗(もりや・きょうと)は、異動先で出会った吾妻李久美(あづま・りくみ)から、祖母に譲り受けた作者不明の不思議な絵を使って「たった一枚の展覧会」を企画したいと相談を受ける。しかし、絵の裏には「ISAMU INOMATA」と署名があるだけで画家の素性は一切わからない。二人が謎の画家の正体を探り始めると、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた業に繋がっていた。
1945年8月15日未明の秋田・土崎空襲。
芸術が招いた、意図しない悲劇。
暴走した正義と、取り返しのつかない後悔。
長年秘められてきた真実は、一枚の「絵」のミステリから始まっていた。
戦争、家族、仕事、芸術……すべてを詰め込んだ作家・加藤シゲアキ「第二章」のスタートを彩る集大成的作品。
「死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物のなれのはてだ」
『襷がけの二人』嶋津輝
オール讀物新人賞で注目を浴びた新鋭、初の長編小説
裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。
「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。
「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」
親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代。
実家よりも裕福な山田家には女中が二人おり、若奥様という立場に。
夫とはいまひとつ上手く関係を築けない千代だったが、
元芸者の女中頭、初衣との間には、仲間のような師弟のような絆が芽生える。
やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、
不思議な縁で、ふたたび巡りあうことに……
幸田文、有吉佐和子の流れを汲む、女の生き方を描いた感動作!
『まいまいつぶろ』村木嵐
口が回らず誰にも言葉が届かない、歩いた後には尿を引きずった跡が残り、
その姿から「まいまいつぶろ(カタツムリ)と呼ばれ馬鹿にされた君主。
第九代将軍・徳川家重。
しかし、幕府の財政状況改善のため宝暦治水工事を命じ、田沼意次を抜擢した男は、本当に暗愚だったのかーー?
廃嫡を噂される若君と後ろ盾のない小姓、二人の孤独な戦いが始まった。
『ラウリ・クースクを探して』宮内悠介
1977年、エストニアに生まれたラウリ・クースク。コンピュータ・プログラミングの稀有な才能があった彼は、ソ連のサイバネティクス研究所で活躍することを目指す。だがソ連は崩壊し……。歴史に翻弄された一人の人物を描き出す、かけがえのない物語。
第170回芥川賞 候補作品
『迷彩色の男』安堂ホセ/『 文藝』秋季号
〈怒りは屈折する〉。ーー都内のクルージングスポットで26歳の男が暴行された姿で発見される。事件の背後に浮かびあがる”迷彩色の男”を描いた、最注目作家の第二作。
『猿の戴冠式』小砂川チト/『群像』12月号
ある事件以降、引きこもっていたしふみはテレビのなかに「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ向かう。言葉を機械学習させられた過去のある類人猿ボノボ”シネノ”と邂逅し、魂をシンクロさせ交歓していくーー”わたしたちには、わたしたちだけに通じる最強のおまじないがある”。
幻想と現実が互いに侵蝕していく圧倒的筆致。
人間存在の根源的な闇に光をあてる”唯一無二の才能”。