2022-11-11

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』2022年(第5回)ノンフィクション本大賞 決定!

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』2022年(第5回)ノンフィクション本大賞 決定!

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』(集英社インターナショナル)が「2022年Yahoo!ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞」に選ばれました。ノンフィクションってどういう本?と思う方も、おすすめノンフィクション本を探している方も、受賞作とノミネート作品を参考にどうぞ!

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ノンフィクション本大賞とは

過去1年間(発行日2021年7月~2022年6月。奥付に準拠 )に、日本語で出版されているノンフィクション作品全般から、書店員の投票でノミネート作品・大賞が選ばれます。
※新書と海外作品の翻訳本は除く

2022年ノンフィクション本大賞作品

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』川内有緒/集英社インターナショナル

全盲の白鳥建二さんは、年に何十回も美術館に通う。「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」という友人マイティの一言で、アートを巡る旅が始まった。絵画や仏像、現代美術を前にして会話をしていると、新しい世界の扉がどんどん開き、それまで見えていなかったことが見えてきた。アートの意味、生きること、障害を持つこと、一緒に笑うこと。白鳥さんとアートを旅して、見えてきたことの物語。

アートは「見る」もの

まずタイトルで「おっ?」と思う方多数ではないでしょうか。

全盲の白鳥さんは、大学生の時に同級生の彼女とレオナルド・ダ・ヴィンチ人体解剖図展を鑑賞しに行きました。
彼女は「見える人」だったので、言葉を使って展示内容を白鳥さんに説明し、白鳥さんはその初めての体験から「アートを見に行く」ことに楽しみを見出します。
そうして白鳥さんは、気になった美術展に自ら足を運ぶようになるのです。

「見る」ことに対しての白鳥さんの言葉が印象的です。

盲学校でも「テレビを聞く」っていうひとはいないよ。たとえ目で見てはいなくてもテレビというものは「見る」ものだし、本は「読む」ものだよ。

第3章「宇宙の星だって抗えないもの」より

見えているけど見えていない?

美術展で絵画を鑑賞するイメージ

AnnaStills / PIXTA(ピクスタ)

 美術館の職員だったり、著者のような知人友人だったり、作中に白鳥さんとアートを見る人が次つぎと現れます。

そんな「見えている人たち」が、いざ白鳥さんに展示されている作品を説明しようとすると、描かれているのが果たして何か言語化できなかったり、人によって描かれる人物の表情の解釈が異なったり、湖だと思っていた風景が実は違うものだと初めて気づいたり、新たな発見に驚いたりします。

見えているけど見えていない。目に写るけど分かっていない。

私たちはそういう毎日を過ごし、アートを見ている(つもりになっている)のかもしれません。

現代アートから仏像まで!白鳥さんとのアート鑑賞

美術展で絵画を鑑賞するイメージ

Yuri Arcurs Peopleimages / PIXTA(ピクスタ)

本書で扱う白鳥さんとの鑑賞の範囲は広く、印象派絵画から現代アート、奈良の仏像まで紹介されています。
見える・見えない以前に、白鳥さんはアート鑑賞を楽しむ人としてとても熱心です。

そんな白鳥さんと一緒に鑑賞する、周囲の人びともさまざまで魅力的。
『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』にはいろんな人たちとの語らいが散りばめられていて、自分の生き方を省みる時間がとくに長い1冊でした。

そしてもちろん、読後には美術展に足を運びたくなります。
隣にいたらと想像するイマジナリー白鳥さんに、自分だったらどう説明するかなと言語化しながらのアート鑑賞も楽しそうです。

2022年ノンフィクション本大賞 ノミネート作品

『朝日新聞政治部』鮫島浩/講談社

「吉田調書事件」の当事者となった元エース記者が目にした、崩壊する大新聞の中枢
登場人物すべて実名の内部告発ノンフィクション

地方支局から本社政治部に異動した日、政治部長が言った言葉は「権力と付き合え」だった。
経世会、宏池会と清和会の自民党内覇権争い、政権交代などを通して永田町と政治家の裏側を目の当たりにする。
東日本大震災と原発事故で、「新聞報道の限界」をつくづく思い知らされた。
2014年、朝日新聞を次々と大トラブルが襲う。
「慰安婦報道取り消し」が炎上し、福島原発事故の吉田調書を入手・公開したスクープが大バッシングを浴びる。
そして「池上コラム掲載拒否」騒動が勃発。
ネット世論に加え、時の安倍政権も「朝日新聞バッシング」に加担し、とどめを刺された。

著者は「吉田調書報道」の担当デスクとして、スクープの栄誉から「捏造の当事者」にまっさかさまに転落する。
吉田調書報道は、けっして捏造などではなかった。
しかし会社は「記事取り消し」を決め、捏造だとするバッシングをむしろ追認してしまう。
そして、待っていたのは「現場の記者の処分」。
このときに「朝日新聞は死んだ」と、著者は書く。

戦後、日本の政治報道やオピニオンを先導し続けてきた朝日新聞政治部。
その最後の栄光と滅びゆく日々が、登場人物すべて実名で生々しく描かれる。

『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』鈴木忠平/文藝春秋

なぜ 語らないのか。
なぜ 俯いて歩くのか。
なぜ いつも独りなのか。
そしてなぜ 嫌われるのかーー。
中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。
それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、
マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。
そこに込められた深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、
異端の名将の実像に迫る。
「週刊文春」連載時より大反響の
傑作ノンフィクション、遂に書籍化!

『さよなら、野口健』小林元喜/集英社インターナショナル

「アルピニスト」野口健は怪物か、それとも善意の活動家か。知られざる実像に迫るノンフィクション。10年にわたり野口のマネージャーを勤め、辞めた後は精神科病院に入院までした著者。野口の半生で語られてこなかった橋本龍太郎、石原慎太郎、小池百合子ら政治家との関係を描き、エベレスト清掃活動の意外な動機を解き明かす。角幡唯介、佐々涼子氏推薦!

さよなら、野口健

『妻はサバイバー』永田豊隆/朝日新聞出版

妻に異変が起きたのは、結婚4年目、彼女が29歳の時だった。摂食障害、アルコール依存症……。介護と仕事、その両立に悩み続けた20年近くにわたる自らの体験を、貧困ジャーナリズム賞受賞歴もある朝日新聞記者が克明に綴る。

『ソ連兵へ差し出された娘たち』平井美帆/集英社

1945年夏ーー。日本の敗戦は満州開拓団にとって、地獄の日々の始まりだった。

崩壊した「満州国」に取り残された黒川開拓団(岐阜県送出)は、日本への引揚船が出るまで入植地の陶頼昭に留まることを決断し、集団難民生活に入った。

しかし、暴徒化した現地民による襲撃は日ごとに激しさを増していく。

団幹部らは駅に進駐していたソ連軍司令部に助けを求めたが、今度は下っ端のソ連兵が入れ替わるようにやってきては“女漁り”や略奪を繰り返すようになる。

頭を悩ました団長たちが取った手段とは……。

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