2023-07-11
直木賞作家が謎多き「小西マンショ」を描く歴史長編 川越宗一の最新刊『パシヨン』を発売
肥後南半のキリシタン大名・小西行長の孫で、禁教下での「最後の日本人司祭」となった小西マンショは、現存する記録が少ない謎の人物。その知られざる生涯を、直木賞作家の川越宗一氏が壮大なスケールで描く。
新聞掲載時から「勇気をもらった」と反響
著者の川越宗一氏は、秀吉の東アジア侵攻と儒教を題材にした松本清張賞受賞作『天地に燦たり』でデビューし、2作目の『熱源』で直木賞を受賞するなど、いま最も勢いのある作家の一人です。
『パシヨン』は、2021年4月から2023年6月にわたって、「河北新報」「静岡新聞」「南日本新聞」「長崎新聞」「琉球新報」などの各紙に順次掲載された、著者にとって初となる新聞小説を書籍化したものです。
直木賞受賞直後に連載開始となった本作は注目を集め、SNSには「毎朝勇気をもらった」「(登場人物の)行動力や熱さは毎日のエネルギー」「クライマックスは読み返すたびに泣ける」といった読者の声が相次いで投稿されました。
■『パシヨン』について
「パシヨン」とは、キリストの受難を指す語です。
本書は、迫害という厳しい現実に翻弄されながら生きるマンショと、キリシタン弾圧を取り仕切った幕府重臣の井上政重を軸とした歴史長編で、「人はなぜ争うのか」を現代人に問いかけます。
■著者のことば
徳川氏に敗れた大名の孫であり、その幕府によって弾圧される信徒とともに生きた彼は、新しい時代に排除される側に在り続けた人といえるかもしれない。ただマンショについて残る記録は少ない。先人の多大な努力がありつつも事績は詳らかでなく、本作では私の想像が多くなる。
いっぽうで、新しい時代を作った側にも何らかの苦悩があったように思う。敵と味方、あるいは悪いやつと善いやつに二分できるほど、人間も社会も単純ではないはずだ。
そのため、井上政重という人物にも登場してもらうことにした。
(新聞連載開始時に配信[【寄稿】小説「パシヨン」連載にあたって]より)
執筆:株式会社PHP研究所