2023-07-31
発売前から話題沸騰!著者の才能が爆発した、最強青春ブロマンス小説『心臓の王国』
衝撃のラスト一章に、あなたも心臓を掴まれる。
本書の企画がスタートしたのは、約4年前のことです。竹宮ゆゆこ先生と弊社の会議室でおいしい最中を食べながら、どんな企画にしようかと相談していたとき、なぜか「ゾンビもの」の話で盛り上がりました。ちょうどそのころ、NHK(よるドラ)で『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』が放送されていたり、『ゾン100 ~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(麻生羽呂・原作/高田康太郎・作画)という漫画が流行っていたりと、私たちのあいだで「ゾンビ」が熱かったのです。
「竹宮ゆゆこ流のポップなゾンビ小説!絶対面白いに違いない……!」と、興奮しながら打ち合わせを終えて数年後――。竹宮先生から、それはそれは長いプロットが送られてきました。その数、A4用紙にして71枚。もはやプロットというより、短篇小説のようでした。
「これは力作だ!」と楽しみに読みはじめたのですが、読めども読めども、ゾンビは登場しません(苦笑)。あれ、聞いていた話と違う……と思いながら最後まで読んでみましたが、やっぱりゾンビは出てきませんでした。けれど、そんなことはもはやどうでもよいと思えるくらい、そのプロットは素晴らしく、傑作になる予感に胸が震えました。
そして完成した『心臓の王国』。この小説にはゾンビの代わりに、青春オタクの不思議な17歳の男の子が登場します。彼の名前はアストラル神威。神威は「一生に一度の“せいしゅん”がしたい!」と、同じく17歳の高校生、鬼島鋼太郎を巻き込んで、高校生活を謳歌しようと頑張ります。彼らの楽しそうなじゃれ合いにただただ胸を躍らせながらページを捲っていくと、次第に二人の“せいしゅん”は表情を変えはじめました。そして、その衝撃的な結末にたどり着いたとき……鳥肌と涙が止まりませんでした。
この素晴らしい物語を、絶対にたくさんの方の手に届けなければならないという使命感に駆られた私は、まず社内の人間にゲラを配りまくりました。すると、たちまち『心臓の王国』ブームが巻き起こったのです。
そして、プルーフやゲラを読んでくださった書店員の皆様からも、たくさんの応援のメッセージを頂きました。この場を借りて厚く御礼申しあげます。この本には得体の知れない力があるという確信をもって、7月の発売日を迎えようとしているところです。
というわけで、「ゾンビもの」から「青春ブロマンス(男同士の友情物語)」へと強烈な変貌を遂げた本書ですが、ゾンビに端を発しているだけあって、ただの青春小説ではありません。最後まで読んでいただくと、4年前の打ち合わせの片鱗をちょっぴり感じていただけるかもしれません。爆笑、号泣、絶望……“せいしゅん”のすべてが詰まった本書を、ぜひともお楽しみいただけましたら幸いです。
執筆:株式会社PHP研究所 文化事業部 文芸文庫課 北村淳子
●Story
十七歳の鬼島鋼太郎は、夏休みのある日、白いワンピースのような服に身を包む美青年と橋の上で出会う。「アストラル神威」と名乗るその青年は、“せいしゅん”をするために橋の上から川に飛び込んで溺れそうになるなど、予測不能な行動ばかりをとり、鋼太郎を困惑させた。
鋼太郎と友達になりたいと言う神威に対し、面倒に巻き込まれたくない鋼太郎は、悪い奴ではないと感じつつも、そのままその場を後にした。
しかし数日後、アストラル神威が鋼太郎の通う高校へ転入してくる。青春を謳歌しようとする神威に巻き込まれながら、鋼太郎もともに高校生活を送るが、そのうちに神威が抱える「恐ろしい秘密」を知り―。