2023-12-25
大河ドラマで話題の紫式部に10年かけて挑んだ意欲作 帚木蓬生の長編小説『香子(一)』を発売
帚木文学の集大成にして最高到達点の長編小説
■帚木文学の集大成にして最高到達点の長編小説
帚木蓬生さんは山本周五郎賞や柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞他、多数の文学賞を受賞するなど、高い評価を得てきた小説家です。
ペンネームの由来となり、執筆活動に影響を与えた『源氏物語』と紫式部の生涯を、このたび原稿用紙3800枚を費やして描き切りました。
帚木文学の集大成となる渾身の作品を全5巻にまとめ、2024年4月まで5カ月連続で刊行いたします。
※全5巻。2巻は2024年1月、3巻は2024年2月、4巻は2024年3月、5巻は2024年4月に発売予定です。
■2024年の大河ドラマの主人公
香子(かおるこ)という名前は一説によると、世界最古の長編小説『源氏物語』を著した紫式部の本名です。
紫式部は、2024年大河ドラマ「光る君へ」の主人公として注目を集めています。
帚木さんの丁寧な筆致で描かれる宮廷物語は、大河ドラマをより楽しむために最適な作品です。
■『源氏物語』はペンネームの由来でもある特別な作品
著者は、高校二年生時の国語のテストで、ちょうど読んでいた『源氏物語』が出題されて全校一位になったことがありました。
それ以来、『源氏物語』は思い入れのある大切な作品になり、ペンネームも五十四帖の巻名である「帚木」「蓬生」から選んだほどです。
そのペンネームにヒントを得た編集者からの、「紫式部か『源氏物語』をテーマに小説を」という依頼に対して、帚木さんは「10年後なら」と返事をしたのは、特別な作品だからこそ納得のいく作品に昇華させるにはそれだけの時間が必要だと考えたから――。この回答に編集者は、やんわり断られたのだと諦めかけていました。
ところが本当に10年を経て、400字詰原稿用紙で3800枚にのぼる手書き原稿を受け取ることができたのです。
■挫折した人も、もう一度『源氏物語』に挑戦してほしい
『香子』は、紫式部の生涯を本編として、そこに『源氏物語』が“作中作”として挿入されていくという2つの軸で展開される物語です。
この構成には、紫式部の生涯だけでなく『源氏物語』のすべてを存分に味わってもらいたいとの、帚木蓬生さんの思いがこめられています。
『香子』刊行記念のインタビューでは、「紫式部自身に『源氏物語』を解説させてもいるので、これまで現代語訳を読もうとして挫折した人たちも、是非もう一度、この作品で挑戦してほしい」と述べています。
■著者
帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)
1947年、福岡県生まれ。精神科医。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。2年で退職し、九州大学医学部に学ぶ。93年、『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞、95年、『閉鎖病棟』で山本周五郎賞、97年、『逃亡』で柴田錬三郎賞、2010年、『水神』で新田次郎文学賞、12年、『蠅の帝国』『蛍の航跡』の「軍医たちの黙示録」二部作で日本医療小説大賞、18年、『守教』で吉川英治文学賞および中山義秀文学賞を受賞。
執筆者
株式会社PHP研究所