2023-12-28
10代20代は人前で褒められたくない世代 『「今どきの若者」のリアル』
目次
Z世代の行動原理の謎を解く
ベストセラー『映画を早送りで観る人たち』(稲田豊史著、光文社新書)や『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』(金間大介著、東洋経済新報社)が話題になるなど、令和の若者の実態に注目が集まっています。本書は、Z世代と称される若者たちが置かれている現状とその背景について、研究者やノンフィクション作家たち16人による解説を収録した論考アンソロジーです。
■世代間の分断を緩和し、今と未来を考えるヒント
いつの時代も、若者には「けしからん」「理解できない」という否定的な声がついて回ります。それは彼らが、いずれ社会の中心となる注目すべき存在だからに他なりません。「格差社会」「婚活」を世に広めた社会学者で、本書の編著者である山田昌弘氏は、今の若者が置かれている状況は、中高年世代が作りだしたものだということを忘れてはならないと考えています。『「今どきの若者」のリアル』まえがきでは、この論考集を読むうえで大切なポイントとして、「若者の置かれている経済基盤」「情報環境の変化」「世代内格差の拡大」を挙げ、「世代間対立にならないためにも、若者の将来にとってどのような社会が望ましいのか、考えていく必要がある。本書がそのヒントとなれば幸いである」と述べています。
■若者論、Z世代における最先端のテーマ
『「今どきの若者」のリアル』には、月刊『Voice』2022年5月号~同2023年12月号に掲載された論考から厳選した15編に、書き下ろし1編を加えた16編を収録しました。マッチングアプリの功罪、複雑な承認欲求、変容する消費行動など、当世の若者の思考が多面的に分析されており、日本の今と未来を考えるヒントを浮かび上がらせます。
【本書で取り上げる若者の実態】
●10代から20代は人前で褒められたくない世代
●「ゆるい職場」だと自分は成長できるのかと不安になる
●「SDGsに配慮したモノだと、堂々と胸を張れる」など「意味のある消費」を望む
●「推し」が出るならテレビを観る
●韓国人男性に惹かれる日本人女性
●「若者の本離れ」というウソ――近年の小中学生は1955年以降で最も平均読書冊数が多い
●困窮して身体を売る人たち
●誤解されるヤングケアラー
■編著者
山田昌弘(やまだ まさひろ)
中央大学文学部教授。1957年、東京都生まれ。86年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は家族社会学。「パラサイト・シングル」「格差社会」「婚活」などの言葉を世に広めたことでも知られる。著書に『希望格差社会』(筑摩書房)、『新型格差社会』『結婚不要社会』(いずれも朝日新書)、『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社新書)など多数。
執筆:株式会社PHP研究所