• 電子書籍
  • 記事一覧
  • 慶應卒Z世代・佐々木チワワがホストと客の相互依存に迫る『歌舞伎町に沼る若者たち』

2025-04-14

慶應卒Z世代・佐々木チワワがホストと客の相互依存に迫る『歌舞伎町に沼る若者たち』

慶應卒Z世代・佐々木チワワがホストと客の相互依存に迫る『歌舞伎町に沼る若者たち』

愛憎渦巻く夜の世界の「搾取と依存の構造」――“歌舞伎町の病”は他人事ではない

楽天Kobo

なぜホストにハマるのか?

佐々木チワワ氏は、慶應義塾大学在学中から「歌舞伎町の社会学」を研究し、トー横キッズやホストクラブなどを取材してきたZ世代の気鋭ライターです。2024年3月に同学を卒業した佐々木氏の卒業論文に加筆、再編集を施した本書では、歌舞伎町のホストの労働環境や女性客が大金を注ぎ込む仕組みに迫るとともに、若者の消費行動との共通点を考察します。歌舞伎町の構造は、一般社会にも地続きに存在していることを解説しながら、自己投資や承認欲求といった現代の若者の行動原理と、生きづらさの本質に迫る一冊です。

■ホストに沼った佐々木チワワが歌舞伎町を社会学的に分析

著者は、メディアで取り上げられる際に、ホストという職業の実態が十分に理解されておらず、ホストに貢ぐ女性の家庭環境など、一面的な背景ばかりが注目されていることに疑問を抱いてきました。自身が2018年からホストクラブに「沼った」体験を交えながら、搾取と依存の構造を分析した卒論を書籍化することにしたのは、そのためです。卒業後もホストクラブ通いと研究を続け、書籍化にあたっては、ホストの労働環境や女性客がお金を注ぎ込む仕組みに焦点を当て、「歌舞伎町の病」ともいえる価値観を社会学的に掘り下げました。売掛金(ツケ払い)をはじめとする諸問題の解決策も提言しています。

■歌舞伎町と若者の消費活動の共通点

歌舞伎町に浸透している価値観の中でも、著者は次の3つが、若い世代を中心に一般社会にも広がっている「共通点」だと考えています。

●共通点1:自己投資としての消費
若者は外見や能力向上を「投資」と捉え、美容やスキルアップに消費する傾向があります。「ルッキズム」の加速により、その価値観は広がっており、歌舞伎町のホストが行なう自己プロデュースと、一般社会のキャリア形成やブランディングは類似していると指摘します。

●共通点2:「応援消費」と「界隈消費」
SNSやインフルエンサー文化に見られる、好きな対象を支える「応援消費」と、趣味・文化を共有する「界隈消費」は、ホストクラブに顕著に見られます。消費が自己表現や承認欲求の手段となり、推しやコミュニティへの帰属意識と結びついているのです。

●共通点3:消費による承認欲求の充足
歌舞伎町のホストクラブでは女性の承認欲求を刺激し消費を促しますが、SNSでも「いいね」やフォロワー数が自己価値を左右する指標になっています。消費がステータス化し、労働市場でもスキルや経歴を競う風潮があり、ホストの売上至上主義とも共通点が見られます。

歌舞伎町の過剰な消費と競争は、資本主義の極致とも言えます。その姿は極端に見えて、実は「私たちの社会そのものだ」と痛感しているという著者は、歌舞伎町を通して、「自分にとって本当に大切なものは何か」という問いを投げかけているのです。

■著者

佐々木チワワ(ささき・ちわわ)
ライター。2000年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。高校生の頃から歌舞伎町に足を運び、トー横キッズやホストなどの現場を取材し、「歌舞伎町の社会学」を研究。自身もホスト通いを重ね、消費者としても参与観察を続ける。著書に『「ぴえん」という病』(扶桑社新書)、『歌舞伎町モラトリアム』(KADOKAWA)、『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち』( 講談社)など。

執筆:株式会社PHP研究所

このカテゴリーのピックアップ記事

このページの先頭へ