- 佐藤かよ(さとう・かよ)さん
- 1988年愛知県生まれ。モデル。性同一性障害で苦しみながらも女性モデルとして名古屋のファッション雑誌『東海 SPY GIRL』で人気を博し、ラウンドガールとしても活躍。
だが次第に「男性」という噂が広まったためカミングアウトを決意。2010年8月日本テレビ系テレビ番組「魔女たちの22時」で男性であることをカミングアウトし一躍脚光を浴びる。特技は全国大会2位の実力である格闘技ゲーム。
インタビュー
■なんで女の子に産んでくれなかったの?
- −−初のフォトエッセイですが、タイトル『Re-born』にこめた思いとは。
- 佐藤さん 去年8月にテレビでカミングアウトした時は「新しいスタートを切った」という感じで、まだ「生まれ変わった」という気持ではなかったんですね。でもあれから8ヶ月たって周囲の状況が変化する中で、自分も変わっていくのを感じたんです。今回のフォトエッセイで初挑戦したセミヌードも含めて「生まれ変わった」私を見てもらいたいなという気持ちで作りました。
- −−初のセミヌードということですが、撮影はやはり緊張されましたか?
- 佐藤さん そうですね、少し緊張しましたが、思い切りやりたい!という気持ちのほうが強かったですね。セミヌードの撮影時は女性のカメラマンさんとヘアメイクさんと私の3人だけで本当にプライベートな雰囲気で撮影しました。だからとってもリラックスした気持で挑めたんです。今こうして見ると、とってもきれいに撮れてるので挑戦してよかったなと思います。
- −−写真もさることながら、間近で拝見しても本当にお肌がきれいですね。美容面で心がけていることなどがあれば。
- 佐藤さん やっぱり洗顔には気をつけてます。どれだけ忙しくても、眠たくても洗顔だけは欠かしません。だいたい100回くらいは水かけて洗うんです。夜はクレンジングから洗顔まで10分間程度かけてます。お肌のためにも普段はすっぴんでいることも多いんですよ。
- −−すっぴんという意味では今回の『Re-born』でも素顔のカットが多いですね。
- 佐藤さん そうなんです。実は朝起きてからモデルの仕事をするまで私の一日を追うような形にしました。その中に小さい頃の写真や、16、17歳の頃の写真を散りばめて。だから普段の私そのまんまの姿をお見せできてると思います。
- −−本文もとても読みやすく仕上がってますね。
- 佐藤さん 書くのは初めてだったので少し心配だったんですが、まず小さい時からの出来事を箇条書きにしていったんです。そしてそれを見ながら色々思い出して書き足していきました。その当時感じていたこと、思ったことを包み隠さず素直に書いていったので、読みやすいと思っていただけたならうれしいですね。
- −−書きながらこれまでの辛い出来事を思い出すこともあったのでは?
- 佐藤さん でも逆にこの本を書きながら気づくことも多かったです。当時はただのいじわるだと思っていた親や兄の言うことも、こうやって振り返ってみると親は親なり、兄は兄なりの考えがあったんだなと気づくこともたくさんあったので、辛いというよりはみんなからの愛情を改めて感じる楽しい作業でした。
- −−これまで特にお母様の支えが大きかったと聞きます。
- 佐藤さん 母はこの本を出すことにも大賛成だったので、本が完成したら真っ先に見てもらいたいですね。小さい頃の写真も色々掲載したので、アルバムを見てるような気持ちで見てほしいなと思っています。昔は「なんで女の子に産んでくれなかったの」って責めたこともありましたが、「産んでくれてありがとう、生まれてきてよかった」っていう感謝の気持ちを本から感じとってもらえたらなと思います。
■カミングアウト…そして、夢
- −−昨年8月にテレビ「魔女たちの22時」で男性であることをカミングアウトされましたが、テレビでの告白、非常に勇気が必要だったのでは?
- 佐藤さん 黙っているのはもう限界かなっていうのもあったんですけど、カミングアウトすることでモデルの仕事を全部失ってしまうんじゃないか…っていう恐怖も正直あったんです。でも母も「ばれることを恐れてびくびくし続けるより、本当のこと言って正々堂々としていたほうがいい。真実を知って逃げるような人たちはそれまでの関係」とカミングアウトをすすめてくれてましたし、番組のスタッフさんも親身に相談に乗ってくださって。ずっとこのモデルの仕事をしていきたい、という強い気持ちがあったからこそテレビの力をお借りして一旦リセットして、前を向いて勝負したいなと、カミングアウトを決意しました。
- −−カミングアウトも含め、これまで様々な壁があったと思います。そのたびにどんな思いで乗り越えてきましたか? 今まで何か自分のやりたいことをやろうとするたびに壁にぶつかってきた。だけど絶対に自分の気持ちだけは曲げたくないから、その状況の中でどうすれば自分の意思を貫けるかをいつも考えていた気がします。「学校に来ないでくれ」って先生に言われたり、モデル事務所に私が男であることをメールしてきた人たちには、正直嫌な気持もありました。でも、そのことがなければ今の私はなかったので、すべての壁には理由がある、と考えるようにしています。
- −−カミングアウト後、お仕事の幅も大きく広がってますね。
- 佐藤さん おかげさまで色んな番組に出演させていただいたり、自分が思っていた以上にいい方向に進んでいて感謝してます。大好きなモデルの仕事はこれからもずっと続けていきたいですし、それに限らず何にでもチャレンジしていきたいですね。趣味のゲームの仕事も増えてますが、アニメの声優のお仕事なんかもやってみたいです(笑)。
- −−本書を読むことで同じ境遇の方も勇気づけられるのではないでしょうか。
- 佐藤さん そうですね、同じ境遇で苦しむ方々に希望を持っていただきたいのはもちろんですが、そうでない方にとっても読んだ後、元気を出してもらえるような明るい内容にしたつもりです。この本を読んで私のような境遇の方に対する理解が深まればいいなとも思いますし、同じような境遇で苦しむ方々には、色んな壁があるけれど自分のやりたいことはどんどんやっていくべき、恐れずに進んでほしいと伝えたいですね。そのためにも私もこれからももっともっとお仕事、頑張っていきます!
Written by Shinobu Nakagami














