- 楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史
- 1965年神戸市生まれ。88年一橋大学卒業後、日本興業銀行に入行。93年ハーバード大学にてMBA取得。興銀を退職後、96年クリムゾングループを設立。97年2月エム・ディー・エム(現・楽天)設立、代表取締役就任。同年5月インターネット・ショッピングモール「楽天市場」を開設。2000年には日本証券業協会へ株式を店頭登録(ジャスダック上場)。04年にJリーグ・ヴィッセル神戸のオーナーに就任。同年、50年ぶりの新規球団(東北楽天ゴールデンイーグルス)誕生となるプロ野球界に参入。11年より東京フィルハーモニー交響楽団理事長も務める。現在、楽天株式会社代表取締役会長兼社長。楽天グループは、Eコマース、電子書籍、トラベル、銀行、証券、クレジットカード、電子マネー、ポータル&メディア、オンラインマーケティング、プロスポーツといった多岐にわたる分野でサービスを展開。Eコマース分野では、アジア、欧州、北米、南米に進出。社員及びスタッフは全世界で1万人を超える。6月28日に楽天の英語公用語化等について書いた著書「たかが英語!」を発売。
インタビュー

■日本企業に急速に求められる人材のグローバル化
- −−昨年の楽天市場の流通総額1兆円突破という大きなニュースに続き、今年は将来的に楽天市場の流通総額を10兆円に増やすという構想を発表されました。 具体的にはどのような戦略があるのかお聞かせいただけますか。
- 三木谷
マーケット(市場)がそこまで拡大していくだろうという仮説を立てています。今後インターネット販売はファッションから耐久材、ネットスーパーも含めて日用品や台所に届けるような品々までかなりのシェアを扱えるようになると予想されます。マーケットサイズとしておよそ30兆円と考えて、そのうち今のマーケットシェアをキープしていけば10兆円位にはなるのかなと。今後個人の消費パターンは確実に変わってきますよ。
今コンテンツビジネスなどは紙の形態であったり放送であったりするけれど、今後10年ぐらいの長いタームでみれば大半はデジタルになり電子書籍になっているでしょう。海外においても、いま急速にビジネス展開を拡大しています。将来的には、楽天グループ全体のEC事業で世界27カ国・地域へ展開し、流通総額の海外比率を7割にまで上げたいと思っています。 - −−ネット販売で扱う商品の種類もシェアも飛躍的に増えると?
- 三木谷
その一番象徴的なものが書籍だと思います。よく考えてみれば本こそ電子化に一番向いている。老眼の人だって電子書籍であれば文字のサイズを大きくできるし、その場でダウンロードもできる。これっていけるんじゃないかと思っていたら、あっという間にアメリカでは新刊の50パーセントほどが電子書籍になってしまった。ちなみに韓国は2015年までに小中高のすべての教科書を電子書籍にするという目標を掲げています。
テクノロジーも進歩して昔は何万円もした電子書籍がもうアメリカでは二桁ドルになり、今後もどんどん安くなるでしょう。新聞が電子化されることも含めてこの勢いは益々進んでいくと思います。 - −−海外展開拡大の長期戦略の中の一つとして2010年に英語の社内公用語化を宣言されたと思うのですが、英語化をしなければと思ったきっかけは?
- 三木谷
まず一つはヨコテンと僕らが呼んでいる、社員間のインタラクティブなコミュニケーションを通じてノウハウ共有をしようというのが目的です。楽天は非常にオープンな会社で、国内では楽天市場や楽天トラベルのインターネットサービス事業や、楽天銀行、楽天証券といった金融事業など異業態でノウハウを共有してきた結果、全体としてビジネスが相乗効果をもって伸びてきた。これをさらにグローバルに横展開するにはどうすればいいのかと考えた時、世界中のグループ企業全体でマネージメントレベルだけでなく一般のスタッフレベルでも情報・ノウハウを共有することが重要で、それには英語という共通言語が必要だったんです。
それから「楽天は本気でグローバリゼーションを進めている」という意思表示にもなります。インターネットという業態ではM&Aは重要な戦略ですが、たとえば自分がアメリカの企業でアメリカ人として働いていたら日本語しかしゃべれない日本の企業に買収されるのは気持ちのいいものじゃないだろうなと。 それが東京の楽天に来てみたら日本人がヘタクソだけれどみんな英語をしゃべっている、本気なんだこいつら!ってことですよ。英語で国際化を真剣に進めているという入り口があるだけで、世界がこちらを見る目が違います。 結果としてM&Aもスムーズに進むようになった。海外展開の拡大で、いまやシリコンバレーでは楽天は有名になってきています。英語化と海外展開の両輪があるからこそ、買収される側からしても、単純に日本の企業に買われるというのではなくて“俺たちはグローバルな企業の仲間入りをするんだ”という意識が作用しているようです。 - −−世界のマーケットの中で、日本企業もこのままではいけないという危機感からの英語化でもあったのでしょうか?
- 三木谷
そうですね、日本は加工貿易だけでは食べていけない時代になった。よくiPhoneのパーツの何十パーセントは日本製だなんて喜んでいますけど悲しんだ方がいい、じゃあなんで日本はああなれなかったのか?ウォークマンやガラパゴス携帯などで日本は相当リードしていたにもかかわらず、結局グローバルスタンダードは取れなかった。これからはハードウエアだけじゃなくソフトウエア、コンテンツ、サービスを有機的に統合して売って行かなければ生き残れない。 そのためには組織、サービス、プラットフォームのグローバル化は必須で英語は欠かせないツールなんです。日本に限らず世界のグローバル企業では言葉の戦略をどうするか、英語をどうするかが重要課題になっている。それなのに企業のトップが英語もしゃべれないでは世界で戦えませんよ。
ここ数年、優秀であれば国籍を問わずに世界中から社員を採用するというようになってから、日本語をしゃべれない社員も増えてきています。日本語をしゃべれない彼らがなぜ楽天に集まってくるか?英語で仕事ができる環境があるからです。
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