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谷村新司さんインタビュー「谷村新司の不思議すぎる話」

「アリス」として、またソロ・アーティストとして数々の名曲を世に送り出してきた谷村新司さん。今から10年前、55歳の時のある出来事を機に「この世の中をゼロから勉強してみよう」と一念発起、独学を始めたと言います。このたび、そうした学びと自らの体験をもとに、世界に存在する“不思議すぎる話”を紹介した1冊を上梓。「名曲『昴』の歌詞が、実は未来を予言していた!」など、驚きと発見がいっぱいのユニークな著書について、谷村さんに伺いました。

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プロフィール

谷村新司(たにむら・しんじ)さん
音楽家/上海音楽学院名誉教授/東京音楽大学客員教授
1948年12月11日生まれ、大阪府出身。
「昴」「いい日旅立ち」「サライ」など、日本のスタンダード・ナンバーともいえる曲を世に送り出す。2004年、上海音楽学院常任教授に就任。現在は東京音楽大学の客員教授として音楽を志す若者の育成に尽力している。2014年、4月2日〜4日(東京・国立劇場)4月6 日(大阪・フェスティバルホール)4月8日(名古屋・愛知芸術劇場)にて、ソロリサイタル公演「THE SINGER〜サクラサク〜」を開催予定。
SHINJI TANIMURA OFFICIAL SITE
http://www.tanimura.com/

インタビュー

■すべてを空っぽにしたら、新たな世界が広がった

--『谷村新司の不思議すぎる話』を読み、「日本」や「日本語」、「からだ」「音」などにまつわる“不思議すぎる話”の数々に驚かされました。そもそも世界について学ぼうと思ったのはなぜですか。
谷村さんきっかけは55歳の時に体調を崩したことでした。当時、僕はコンサートを毎年100本以上やるような生活を続けていたんですが、ツアー中に帯状疱疹になってしまって。それでも、ステージには立ち続けていましたが、その時カミさんが「これは何かのアテンションかもしれないね」と言ったんです。その言葉を聞いた瞬間「ああ、そうかもしれない」と。「今まではこういう生き方をしてきたけれど、別の生き方があるんじゃないか」とすごく感じた。同時に「自分はこの先、60歳になってどんな生き方をしたいのだろうか」と。それを考えるのは60歳になってからでは遅いと思って、この機会に一度身体の中に詰め込んできたものを全部空っぽにして、この世界をもう一度学び直そうと決めたんです。
--時代のトップを走り続けてきた中で、すべてをリセットするのは大変ではなかったですか。
谷村さんそれはまったくなかったですね。音楽にかぎらずアートをやっている人は皆そうだと思いますが、自分が創ったものに捕われていると絶対にダメになるんですよ。僕自身、自分が創ったものを常に壊すつもりでやってきましたし、壊さないと次が生まれない。呼吸だって、全部息を吐き出さないと新しい空気が入ってこないでしょう? 呼吸って吸うことではなく、実は吐くことが大事なんですね。
--「アリスの絶頂期にあって、いかにこの山から自力で降りるかを考えていた」とも述べられていますね。
谷村さんそうですね。初期の頃は、自分達で楽器を持って全国を旅しながら年間200〜300というステージをやっていて、一人でも聴いてくれる人がいたら、その人の為に心をこめて歌い続けている内に、徐々にアリスのサウンドに想いを重ねてくれる人が増えていったんですね。気がついたら、その時代の山の頂点にいて。人それぞれだとは思いますが、僕はその時に、「自分の意志で次の山に向かうために降りなければ」と強く感じたんですね。 そして、その後リセットしたことで新しい出会いが生まれて、上海音楽学院からの「中国の生徒に音楽のココロを教えてくれないか」というオファーにつながったのです。以前のようにコンサートツアーをやり続けていたら毎月、中国で授業をすることはまず不可能でしたが、一度空っぽにしたおかげで何でもできるようになった。自分の心が決まれば、自然と周りも動いてくれて、応援もしてくれるんですよね。
--興味深いお話です。上海の教壇に立ち始めて「もっと学ばなければ」と感じるようになったそうですね。
谷村さんそうですね。中国の学生たちは好奇心旺盛で、当時は今のように日本への旅行が盛んではなかったので「日本ってどんな国ですか?」とか、本当にいろいろなことを質問してきます。「ニホンですか?ニッポンですか?」と聞かれても、答えられない自分にはたと気づいて。2つの呼び方があっても、それまでは「まあいいか」と思っていたけれど、本当は理由があるんじゃないかと思い始めた。おかげでますます勉強に没頭していきました。
--この本の参考文献を見ても、歴史に教育、宗教から宇宙のことまで、谷村さんが独学された分野の幅広さに圧倒されます。
谷村さん一度学び始めたら、もう学びたいことだらけなんですよ(笑)。ある程度物事を知っているつもりだったのが、実は何も知らないことが勉強するたびにわかるというか。モノの見方、感じ方が気持ちよく音を立てて壊れていく感じで、めくるめく興奮の日々でした。そうやって勉強を続けて、気づいたら興味が360 度広がっていたという。本屋さんでなぜか「量子物理学」の棚の前に立っていたりとか。そうかと思えば古地図を眺めていたり。新しいことを知るのが楽しくて、寝るのを忘れるぐらいでした。でも身体が本当に疲れれば、自然に寝るんですよ。そんなことも含めて、いろいろな気づきをいっぱいもらえたんですよね。
--まさしく本当の意味での“学び”だったのですね。
谷村さん試験や受験のために、人にやらされる勉強ではなくてね。つまり僕は、55歳で初めて学ぶことの興奮を知ったんですよ。そうやって勉強していくと、自然と自分が必要な本や、その分野を知っている人に自然に出会えていくので、まるで「勉強しなさい」と背中を押されているようだなと。そうして自分なりに見つけた答えを生徒たちにぶつけてみると、すごく興奮して目がキラキラして。そんな話を周りにしている内に、「教科書には載っていなかったけれど、そういう考え方は腑に落ちる」とかいろいろ意見がでてきて、次第に「本にまとめて欲しい」という声をたくさんもらうようになって。そんな声を聞いて、マガジンハウスの方から「是非、入門編を」というお話があり、ご尽力下さって、この本が出来上がりました。

■「さらば昴よ」の歌詞に込められた驚愕の真実とは?

--本作では1980年に発表されて以来、人々に愛されている名曲「昴」に秘められたメッセージも明かされていますね。
谷村さん昔から僕の曲づくりは、周りの空気が動いた時にメロディと歌詞が同時に浮かぶのですが、最初に浮かんだのは「さらば昴よ」という最後のフレーズでした。そして全部が完成した時に、どう解釈して歌うべきかを考えてみたんです。 「昴」の語源は「統(す)ばる」で、集まった星をまとめるという意味があります。古代の人々は星を見て農作物の種を蒔く時期を知り、船乗りたちは進むべき方角を決めて交易をしていました。そして文明が育ち、物質が豊かになったので、古代中国では「昴」は「財の星」とも呼ばれています。現代風に言うなら、物質文明のシンボルであり、それに「さらば」するというのは、物質文明にサヨナラするということ。そう考えていくと、お金やモノといった物質に捕われることなく、これからは目に見えないモノ、精神的な豊かさを追い求める時代になると、それこそが「昴」の歌詞に込められた意味ではないかと思い至ったんですね。
--目に見えることがあまりに多い今、そうしたものに捕われがちです。素直な心で物事を見るにはどうしたらいいのでしょうか。
谷村さんまずは身体の声を聞くのがいいと思います。もし会社のやり方に違和感を感じるとしたら、それはやっぱり、いい形ではないんですよ。でも、そこで頑張らないとお給料がもらえないので、疑問を置き去りにやり過ごそうとする。「ねばならない=MUST」という気持ちが人間本来の感覚にブレーキをかけていくので、MUSTではなく「HOPE=こうしたい」で生きて欲しいなと。 何より、自分の心に素直でいれば、必ずいい出会いがくるので。ただ、その出会いが来たら自分からアプローチしてチャンスを逃さないこと。そして「心の命ずるままに」自らが感じて動いた時に得られる感動を胸に刻んで明日に向かって欲しいですね。
--お話を伺っているといろいろな興味が広がります。最後に、読者へのメッセージをお願いします。
谷村さんこの世の中は“Wonder・Full”本当に驚きに満ちていて、自分自身で扉を叩いた瞬間、世界が変わるんですね。一つ扉を開けると枝葉が広がって、それが一つの真理へとつながっていく。それこそが学ぶことの楽しさでもあって。たんなるデータのインプットではなく、例えば歴史の解釈で本によって説が違ったりした時、自分の身体が「イエス」と納得がいくほうを信じて勉強を深めていくことで、学びが血肉になると思います。いろいろなことに疑問を持ち、また知りたいと思っている人にとっては、この本が新たな世界を広げるきっかけになり、ココロが元気になって、飛び立つ勇気につながってくれたらうれしいですね。
 

【取材後記】
世界の不思議を知る面白さはもちろん、何かと情報に捕われて頭で考えがちな今、感覚を大事にすることに気づかせてくれた1冊。考えてみれば、音楽とはまさにそういうもの。「この曲が好き」という感情は理屈ではないはず。その音楽を創り続ける谷村さんのメッセージが、何かに行き詰まった時、自由な心を思い出させてくれて、壁を打ち破るヒントを与えてくれるに違いありません。
【取材】/宇田夏苗


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内容紹介
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