- 坂上忍(さかがみしのぶ)さん
- 1967年東京都生まれ。3歳から劇団に入団し、『下町かあさん』で1972年にテレビドラマデビュー。
『ありがとう』『たんぽぽ』『となりの芝生』などで好演し、国民的子役として活躍。1983年には『ションベン・ライダー』で映画初出演を果たした。以後、テレビドラマ、映画、Vシネマ、舞台と多くの作品に出演している。1997年には、映画『30〜thirty』で監督デビュー。舞台の脚本・演出も手がけ、代表作に『溺れる金魚』『マザーフッカー』『PAIN』などがある。2009年には、子役育成のためのプロダクション「アヴァンセ」を設立。自身の経験をフルに生かした独自の指導方法で評判を集めている。また、若かりし日からギャンブル好きとしても知られ、麻雀、競艇(ボートレース)に造詣が深い。
インタビュー
■テレビだけではわからない“毒舌”の裏に込められた思い
- --毒舌で注目を浴びる坂上さんですが、本書を読むと意外な一面を垣間見たような、非常に真面目な方という印象を受けました。
- 坂上さんそんなうれしいこと言ってくれるんですか?(笑)。僕自身としては、この本は若い男性に是非読んでほしいんですよね。僕も曲がりなりにも芸能界という世界で43年間、やってきたんでね。その中で気づいたことや、僕が大切にしていることなんかを、きれいごとなしで書き切ったつもりです。ただ、本書内では、恋愛に関しても独特の持論を展開しているので若い女性には…、少し敬遠される内容かもしれないですね。女性の苦情は、甘んじて受け入れる覚悟です(笑)。
- --『恋愛と仕事は隙間産業』など、ハッとする言葉も散りばめられていますね。
- 坂上さんこれはもう、昔からの持論なんです。若い頃は自分のことをかっこいいと思っていても、芸能界なんて次から次と若くてかっこいい奴が出てくる。じゃあどうすればいいか。仕事なら、演技力を高めるとか、私生活のユニークさで惹きつけるとか。恋愛だったら、容姿以外の魅力を開拓するとか…方法は色々ですけど、20代の頃からずっと考え続けてきましたね。
- --鋭い発言が注目を集める最近の状況を、ご自身ではどのように捉えてらっしゃいますか?
- 坂上さん最近、言いたいことが言えない人が増えていると思うんですよ。その中で、僕が注目されるのは「本当は思ってたけど、言えなかったこと」を僕が代弁してるからじゃないかなと思ってます。僕自身は特に“毒舌”を吐いてるつもりもないんですけどね。自分の言うことにブレがなければ、共感する人はいると思ってましたから。それに、バラエティというよその庭なので、人と同じことやっていてもしょうがない。自分のオリジナリティを出したかったんですよね。それこそ“隙間産業”(笑)。年齢的なものも大きいのかな、40過ぎで周りに迎合しすぎるのもかっこ悪いなと思い始めて。
- --芸能界で長年活躍されてきたからこそ、その言葉にもリアリティがあるんでしょうね。
- 坂上さんだからこそぜひ、若い男性にこの本を読んでほしいんですよね。僕の印象ですけど、最近の若い男性はとにかく受動的。芸能界には色んな人がいますけど、結局はきちんとした人間でないと生き残れない。基本的なことをちゃんとやって、「自分の売りは何か」をとことん考えて実行しないと勝ち残れない。“ブラック企業”とか言われますけど、どんな環境でも得るものはあると思うので、それを利用してやる、くらいの気持ちで頑張ってほしいですね。
- --「基本的なことをきちんとする」という意味では、坂上さんは毎日7匹の犬の散歩に加え、拭き掃除などお掃除もかなり念入りにされているそうですね。
- 坂上さんこれはもう趣味に近いんですけど、たとえば仕事が午後からなら、朝5時半〜8時半までは犬の世話、8時半から11時半までは掃除にあてます。タイマーを持ちながら、洗濯機まわして、カレー作って、その間に掃除をするっていう。超合理主義なんで、1つのことだけするのが嫌なんです。
■私生活あっての仕事。一本筋の通った生活スタイルで、芸能界を生き抜いてきた
- --鋭い言動の裏には、一本筋が通った生活スタイルがあったんですね。
- 坂上さんやることやってないと、仕事はこないんで(笑)。どんな仕事でも、同じだとは思いますけどね。時間を守る、きちんと生活する。その延長線上に仕事がある、と思ってるんでね。若い時は逆で、まず仕事ありきで、私生活をないがしろにしがちなんですけどね。
- --耳が痛い方も多いのではないでしょうか。さらに意外な一面としては、「書くことが一番好き」だそうですね。
- 坂上さん書く作業って、誰にも邪魔されない自分だけの世界ですからね。舞台や映画は、関わる人の数が多いじゃないですか。その点、書く作業は少人数でできるので違う楽しさがありますね。僕は基本的に引きこもりなので、さっきの掃除もそうですけど、ちまちました作業が好きなんです。
- --書くだけではなく、新聞も毎日、隅から隅までお読みになるとありましたね。読書もお好きですか?
- 坂上さん読む時は読みますね。書く作業が終わったら集中的に読んで、また書く。周期がありますね。
- --お好きな本があれば、教えてください。
- 坂上さん有名すぎて恐縮ですけど、浅田次郎さんの『壬生義士伝』ですね。最初に映画を見て、それから本を読んだんですけど、ドラマ撮影の待ち時間に控室で読んで号泣。大変なことになりました(笑)。浅田さんにお会いしたことはないですが、『壬生義士伝』を読んで、ものすごくパワーのある方だなという印象を受けました。
- --では、坂上さんもいつか浅田さんのような…。
- 坂上さん無理無理(笑)。僕なんかとてもじゃないけど、到達できない境地ですよ。でも、書くことはこれからも続けていきたいですね。書くといっても舞台とか映画とか、映像ありきなんで、メインは映像と重ねあわせて書くという作業ですけどね。
- --それでは最後に、今後の夢などをお聞かせください。
- 坂上さんないです!(笑)。とりあえず60歳で引退するのが夢といえば夢なので、そうするとあと13年。13年しかないとなると、本当にやりたいことしかやりたくないな、とは考えています。仕事を引き受けるのは簡単なんですけど、年も年なのできちんと取捨選択して、ちゃんと断れる人間でありたいな、と思ってます。
- --今後ますますのご活躍を、お祈りします。本日はお忙しい中、ありがとうございました!
【取材】Shimobu Nakagami














