トップ > キャンペーン・特集 > > 著者インタビュー 矢部 太郎さん(カラテカ)

楽天ブックス  著者インタビュー

vol.01

矢部 太郎さん(カラテカ)

interview

このページの先頭へ

子どもから大人まで、みんなほっこり。
芸人が描く、笑って泣ける奇跡の実話漫画。
『大家さんと僕』

著者イメージ

子どもの頃の読書体験が、漫画家デビューの原点に

—『大家さんと僕』を描くきっかけを、教えてください。

今の家に住み始めたのは、8年くらい前。そのうちに、だんだんと大家さんと仲良くなってきて、芸人仲間にその話をするとけっこうウケていたんです。「遺産もらえるんちゃう?」「いやいや」とか言って(笑)。そんなある日、新宿の京王プラザホテルで大家さんとお茶していたら、漫画原作者の倉科遼先生にお会いして。「おばあちゃん孝行だね」って言われて、「大家さんなんです」という話をしたら、「すごく良い。こんな素敵な関係が現代であり得るなんて!ドラマ化したいから、まずは矢部くんが原作を書いてみて」とおっしゃっていただいたんです。僕自身、芸人仲間に普段話している中で、笑いだけじゃない、もっとこぼれ落ちるようなエピソードがあるんだよな…と感じていたので、これは描かないといけないなと思って、この漫画を描き始めました。

—漫画はお好きですか?普段は、どんな漫画を読まれるのでしょう?

大好きです。普段はバトル系…は、読まないですね(笑)。長編も好きだけど、コンパクトにまとまっている漫画をよく読みます。特に好きな漫画家さんは東村アキコさんとか、手塚治虫さんとか。手塚さんは、ファンクラブに入っていたくらい好きでした。子どもの頃は、流行りの漫画雑誌を読むことはあまりなくて、お父さんが集めていた古い漫画雑誌『ガロ』を読むことが多かったです。

—マニアックですね!『大家さんと僕』を描くにあたって、参考にされた漫画はありますか?

大家さんに一番に読んでもらいたかったので、まずは大家さんに好きな漫画を聞いたんです。そうしたら、「『のらくろ』と『フクちゃん』と『サザエさん』が好き」って言われたので、その辺りの漫画は参考にしましたね。あとは、東村アキコ先生の『かくかくしかじか』(おすすめ その1)もかなり参考にしています。みなさん気づかないと思うんですけど、実はこの本の一コマ目は『かくかくしかじか』の始まりのシーンとほとんど一緒。最初は、もう一コマさらにパクった…同じようなシーンを描こうと思ったんですけど、さすがになあと思い直して今のシーンになりました。

著者

—間の取り方がすばらしかったり、デビュー作とは思えないほどの力作漫画です。これまでも絵や漫画を描かれていたのでしょうか?

絵を描くのは好きだったので、描いてと頼まれたら描くこともありました。相方の入江くんの「こんな女はイケる、イケない」というひどいフリップネタがあるんですね。LINEのアイコンがカフェラテの女は実はヤレる、とかいう…(笑)。でも、そのまましゃべるとイメージが悪いから「かわいい絵を描いて」って頼まれて、よく描いていましたね。こどもの頃は、雑誌の読者投稿で4コマ漫画を送ったことがあります。あとは、エルジェの『タンタンの冒険』シリーズ(おすすめ その2)も大好きで、読者コーナーに絵を送ったりして。それが雑誌に載った時は、すごくうれしかったですね。

—子どもの頃の読者投稿が、漫画家としての原点だったんですね。完成した『大家さんと僕』を読んで、大家さんはなんとおっしゃいましたか?

すごくよろこんでくれました!本を1冊出したということで、「大きな仕事をされましたね」って。「ぐっと来ました」と言ってくれたので、「どの辺が?」って聞いたら、「平さんや糸井さん、どの人の言葉もいいわね、ぐっとくるわ」って言ったんです。よく聞いてみると、大家さんは本の中身ではなくて帯に書かれた有名人の言葉のことを言っていて、ああ…そこかって!でも今は、僕に向けてこれだけたくさんの人があたたかい言葉を贈ってくれたことにぐっときたんだろう…という解釈に落ち着きました(笑)。

埋もれていくはずだった大家さんのエピソードを、漫画に込めて

—ホタルが出てくるシーンが、個人的に大好きです。矢部さんが、特にこだわって描かれたシーンはどこですか?

大家さんの登場シーンです。こんな風に、大家さんはゆっくりゆっくり歩くんです。本当は、全ページをこんな風にしたかったくらい。お茶を入れてくれる時も、ゆっくりゆっくり入れてくれます。沸騰したお湯をカップに入れて、そこにティーバッグを入れるのかなって思ったら、そのお湯は捨ててしまう。ああ、カップをあたためてくれたのかって。今はコンビニで手軽にコーヒーが飲める時代ですけど、こういうのはいいなあって思いましたね。でも、大家さんはお湯を沸かすのには電子ケトルを使っているんです。安全だし、良いですよね。だから今は僕も大家さんを見習って、電子ケトルを使っています。

ページ画像

—その他に、思い入れのあるシーンはありますか?

以前、大家さんの子どもの頃の写真を見せてもらったことがあるんです。本当に小さくて、かわいらしくて…。それが印象的だったこともあって、大家さんの昔のエピソードを描いたシーンは、自分でも描くのが楽しかったです。ダンスパーティーのシーンは特に。こんな話、勝手に創作できないですよね、くじ引きが流行の二人の名前で、太宰治と恋人の山崎富栄だなんて。現代で言えば、りゅうちぇるとぺこ、みたいな感じですよね(笑)。こんなにおもしろい素敵な話なのに、この本に書かなかったら誰にも知られずに埋もれてしまう話だったと思うんです。だから、この本に描くことができて本当によかったなと。

ページ画像

—最近、大家さんにお会いされた時のほっこりエピソードをどうぞ。

大家さんが88歳になったので、ちょっとだけ米寿のお祝いをしました。気軽に使ってほしいなと思って、コップをプレゼントしたんです。でも、大家さんはコップを棚に飾ってしまって(笑)。そのあと何回見ても棚に飾ったままで、これは失敗したなと思いましたね。それならそれで、飾るものをプレゼントすればよかったなあって。もったいないからって、使えないみたいなんです。

—大家さんは、矢部さんが結婚して家を出ていくことを心配されていますが、その後のご予定は?ちなみに、どんな方がタイプですか?

予定は特にないので…(笑)、そこは安心してほしいなと思います。タイプの人は、大家さんみたいにあまりお笑いに詳しくない人が良いですね。目が肥えていない人。例えば一緒にいて、最近気に入っている芸人の話とかをされたら嫌だろうなあって。多分、嫉妬しちゃいますね。大家さんも、お笑い芸人といえば植木等さんみたいな人なので、そこまで行くと嫉妬しないです。

—素朴な疑問なんですが、大家さんが入院されてお見舞いに行くシーンで、矢部さんはなぜ「もずく」を持って行ったのでしょう?

ああ!気になりましたか…(笑)。実は大家さんは、「もずく」がお好きなんですよ。この本には描いてないんですけど、よく一緒にうなぎを食べに行くんですね。うな重って、出てくるのに時間がかかるじゃないですか。待つ間に大家さんは、必ずもずく酢と田楽を頼むんです。それで、大家さんが入院する直前に僕は山梨にロケで行っていて、ちょうど「もずく」の加工工場に行っていて。一般的に「もずく」は冷凍してから加工するそうなんですけど、その工場では新鮮な生の「もずく」を獲れたてのうちに加工していて、食感がシャキシャキで…今までに食べたことのない「もずく」だったんです。だから、これはぜひ大家さんにも食べてほしいなと思って。でも、お見舞いってそういうことじゃないんだなって学びました。本当は、あと2ページくらい使ってこのことを説明したかったんですけどね…。 (新潮社の担当の方から、「それはカットですね」との一言が…)

ページ画像

ちょっぴり寂しさを感じている人たちに読んでほしい漫画

—『大家さんと僕』には、現代では忘れ去られつつある人と人のつながりといったテーマがあるように思います。どんな方に読んでもらいたいですか?

正直に言うと、出版する前はこんな知らないおじさんとおばあさんの話を誰が読むんだろう…と不安があったんです。例えば育児エッセイ漫画とかだったら、同じように育児をしているお母さんが共感して読んでくれると思うんですね。でも、僕の漫画はぴったり同じ環境にあてはまる人って、なかなかいない。だけど、もともとは僕も大家さんも一人でいて寂しい思いをしていたので、ちょっぴり寂しいなと思っている人に読んでもらいたいかな。大家さんくらいの年齢の人には共感できるとこもあると思うので、特に読んでもらいたい。あとは、おばあちゃん子とか。でもやっぱり、全ての大家さんと店子に読んでもらいたいですね。ちょっと、読者層の幅を広げてしまいました…(笑)。

著者

—『大家さんと僕』を通じて、読者のみなさんに伝えたいことは?

大家さんには風呂敷をもらってその使い方を教わったり、庭に咲いた季節のお花を楽しむ良さを教わったりしました。風呂敷は、全部で10枚くらいもらっていると思います。生活の中の潤い、みたいなものをたくさん教えてもらったので、みなさんにもそういうものを感じてもらえたら、うれしいですね。

—最後に、大家さんへメッセージをお願いします。

そうですね…もうちょっとお世話になりますので、これからもよろしくお願いしますと言いたいです。でも、大家さんはネットが使えないので…これを僕がプリントアウトして、お渡しさせていただきます(笑)。

—お手間とらせてすみません(笑)。本日は、ありがとうございました!

著者イメージ

矢部太郎さんプロフィール

1977年生まれ。お笑いコンビ・カラテカのボケ担当。芸人としてだけでなく、舞台やドラマ、映画で俳優としても活躍している。父親は絵本作家のやべみつのり。『大家さんと僕』は初めて描いた漫画。2017年10月現在も大家さんの家の二階に住んでいる。

インタビューメモ

テレビで見ていた通りに、とっても優しい雰囲気が印象的だった矢部さん。大家さん譲りの上品な話し方も、とっても素敵でした!また、この漫画を描くにあたってたくさんの作品を読まれていて、縦に何文字、横に何文字、落ちは何コマ目で…というところまで研究されたとのこと。勉強熱心で優しい矢部さんの姿を拝見して、すっかりファンになってしまいました…!

聞き手:金子摩耶

今回の本

書影

大家さんと僕

矢部 太郎

1,080円(税込)

一風変わった大家さんとの“二人暮らし”の日々は、ほっこり度100%!1階には大家のおばあさん、2階にはトホホな芸人の僕。一緒に旅行するほど仲良くなった大家さんとの“二人暮らし”がずっと続けばいい、そう思っていた——。泣き笑い、奇跡の実話漫画。

矢部さんおすすめの本

---おすすめ その1---

書影

かくかくしかじか(1)

東村アキコ

802円(税込)

---おすすめ その2---

書影

カスタフィオーレ夫人の宝石ペーパーバック版

エルジェ/川口恵子

756円(税込)

おすすめキャンペーン・特集

このページの先頭へ