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楽天ブックス  著者インタビュー

vol.02

畠山 健二さん

interview

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古典落語テイストで人情の機微を描いた
『本所おけら長屋』シリーズが人気!
著者の畠山 健二さんにお話しを伺いました!

著者イメージ

—時代劇に少し苦手意識があったのですが、「本所おけら長屋」シリーズは、思わず笑ってしまうような魅力的なセリフがたくさんで、一気に引き込まれてしまいました。いったい、どこからこのような「笑い」がひらめくのですか?

私は「お笑い作家」だったんですよね。漫才やコント、新作落語の台本を書いていました。 ですから、私の頭脳はお笑いのネタによって構成されています。 笑いを作り出す上で、一番重要なのは「引き出し」をいくつ持っているかでしょう。 言い換えれば、今までの人生の中で、どれだけ「笑い」を仕入れてきたかです。その在庫が「引き出し」になるのです。
料理人は外食をしたときに「味」を記憶すると思います。その味を頭の中に蓄積していくのでしょう。 それと同じです。何も在庫がないところから「ひらめく」なんてことはありません。その在庫の中から、臨機応変に笑いを出荷していくわけです。
もちろん、何も浮かんでこないときもありますけどね。

—下町言葉が印象的です。まるで本当にその時代に畠山健二先生がいらっしゃったかのようです。目は口ほどに物を言う、などとは言いますが下町言葉に限らず、「言葉」の魅力はどこにあると思いますか?

この小説は江戸の長屋が舞台なので、べらんめえ口調を使います。好きなんですよねえ、この口調が。
私は墨田区の本所という下町で育ちましたが、子供のころから生粋の江戸弁を耳にしたことがありません。 そうなんです。戦後になると、下町でも正統派の江戸弁を喋れる人はほとんどいなくなっていたのです。下町でも「あたぼうよ」とか「べらぼうめ」なんて聞いたことがありません。
原因は関東大震災と東京大空襲。この二つの出来事によって、東京は二度も焼け野原になって、多くの人は亡くなり、江戸弁は消滅していったのです、残念です。近所の爺さんが「まっすぐ」を「まっつぐ」なんて言っているのを聞くと感動します。
言葉はその地域の特徴を表しています。江戸弁は「粋」を表しているのだと思います。
私が好きな言葉は「乙」。「乙だねえ」という台詞は何にでも使えます。便利ですよ。
離婚した人に「乙だねえ」。悲壮感がなくて素晴らしいでしょう!

—もっとも思い入れのある登場人物は誰でしょうか?

いないんですよね。「本所おけら長屋」というタイトルからもわかるとおり、主役は「長屋」なんです。
最初は剣豪、島田鉄斎を主役にするつもりでしたが、やはり、万造と松吉がいないと物語が転がらない。だったら、みんなが主役でいいのかなあとおもうようになりました。 柔道でいえば、きれいな一本勝ちは望めませんが、みんなで力を合わせた、合わせ技一本みたいな。
個人的に好きなのは、酒場三祐の看板娘、お栄ですね。こんな呑み屋があったら毎日通ってしまうなあ…。

—これからもシリーズが楽しみです!人間の心を動かすような表現が秀逸な畠山健二先生! 恋愛小説も書いてください!

私は文章で表現するのが苦手なんです。
ですから、間違っても文学賞などは受賞できません。
人間の心を動かすのは、なんといっても登場人物のセリフです! セリフは短ければ短いほど、インパクトがありますね。 その代表がプロポーズです。長々と結婚したい理由を述べられて嬉しいですか?
「結婚してくれ」
それだけで充分なんです。
おけら長屋でもよく聞くフレーズ。
「わかった。四の五の抜かすんじゃねえ」
これなんですよね!
「恋愛小説」ですか? 恥ずかしいので書きません。

—元気になりたいときに「本所おけら長屋」を読みます。 まだ読んだことのない読者のために、元気になるのに、とくにおすすめのエピソードを教えてください。

これは「おけら長屋」の物語の中のエピソードですか?
それなら読んでください。ネタバレになってしまいますから(笑)。
元気になるためには?って、元気になる必要なんてないんですよ! いつでも元気だったら、周囲の人たちがあなたのことを鬱陶しいと思いますよ。
元気がなくなるのが人間です。だから元気のないときは「ああ、おれ(わたし)は人間なんだなあ」と安心してください。 元気は、そのうち出てきますから。無理に元気を出そうなんて不自然ですよ!
「本所おけら長屋」が元気になる調味料くらいになれば嬉しいですけど……。

—人と人の関係性が希薄になっているといわれているこの時代。「本所おけら長屋」に込めた想いがあれば教えてください。

人間関係は面倒臭いですよね。地方から都会に出てくる理由の一つに「近所づきあいが面倒。親戚づきあいが鬱陶しい」というのがあるそうです。
現実はそうでも、心の中では「人と人の絆」を求めているのが日本人なんです。 「本所おけら長屋」は、そんな読者のみなさんの琴線に触れる小説なんだと思います。
私がこの小説のテーマにしてるのは「人間力」なんです。「セクハラ」「パワハラ」「イジメ」などは、神代の昔から普遍的に続いてきたものです。
法律ではなく、人間力で解決できればいいなあと思います。

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畠山 健二さんプロフィール

1957年、東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、雑誌のコラム連載やものかき塾の講師も務める。 2012年『スプラッシュ マンション』(PHP文庫)で小説家デビュー。翌年スタートの文庫書き下ろし時代小説「本所おけら長屋シリーズ」がベストセラーとなる。 その他の著書に『下町呑んだくれグルメ道』(河出文庫)、『超入門! 江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)、『粋と野暮 おけら的人生』(廣済堂出版)がある。

今回の本

書影

本所おけら長屋(十三) (PHP文芸文庫)

畠山 健二

男女の仲を取り持つ“とりもち屋”の世話になろうとした栄太郎だが、万造に嗅ぎつけられ……。笑いと感動の時代小説シリーズ最新巻!

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