- 柿沢安耶さん (かきさわ・あや)
- 1977年東京生まれ。パティシエ。学習院大学在学中より料理研究家のもとでフランス料理を学び、フランスに留学。卒業後、パティスリーとして研さんを積み2003年、栃木県に野菜が主役のレストランを開店。デザートメニューとして提供していた野菜スイーツが評判を呼び、2006年中目黒に世界初の野菜スイーツ専門店『パティスリー ポタジエ』をオープン。
インタビュー

野菜の恵みを丸ごと味わう!スープの魅力
- −−「野菜スイーツ」のイメージが強い柿沢さんですが、今回「スープ」をテーマに本を出された理由は?
- 柿沢さん実は以前レストランをやっていたことがあるんですが、そこで提供していたスープの評判がよかったんです。野菜摂取不足が叫ばれる中、とにかく野菜をたくさん食べてほしい、そう思ったときに野菜を無理なく食べられるのはスープなんじゃないかなと。それにスープは1つのお鍋の中で調理がほぼ完結するので栄養の流出が少ないんです。何より気軽に食べられる。朝ならスープだけ食べたり、夜だったらメインと合わせたりと色々な楽しみ方もできますよね。
- −−著書には、かんぴょうや切干大根を使った「乾物のミネストローネ」など、ユニークなレシピが次々と登場しますね。
- 柿沢さんかんぴょうや切干大根などの乾物を今の若い人はあまり使わなくなってると思うのですが、この「乾物のミネストローネ」だと作るときに乾物を戻さなくてもいいんです。今回の本はそういった調理の「簡単さ」にもこだわりました。使っている材料も手に入りやすいものばかりだし、ぜひ挑戦してほしいですね。皆さんに野菜を食べてきれいになっていただきたいので、使っている食材に関する美容情報も「ビューティメモ」として紹介しています。
- −−今回の著書は「笑顔を作る具だくさんスープ」「体が喜ぶ季節の野菜スープ」「きれいになるベジスイーツスープ」と3章に分けて紹介されていますね。
- 柿沢さん 料理というとあれも作ってこれも作って、と考えるから面倒になってしまうと思うので、1皿でおなかいっぱいになって野菜がたくさん摂(と)れるようにと考えたのが「具だくさんスープ」の章ですね。「体が喜ぶ季節の…」章では、季節ごとに旬の野菜を摂れるレシピにしました。というのも、その季節にできたものを食べることが体のバランスを整えるには一番だと考えているからなんです。あとはポタジエといえばやっぱり「ベジスイーツ」。野菜の様々な楽しみ方を知ってもらいたいですね。
- −−今回の著書では『ビーツボルシチ』など色のきれいなレシピも多いですね。
- 柿沢さんそうなんです、スープの色にはこだわりました(笑)。野菜の色の美しさ、形のかわいらしさは肉や魚にはないものだと思うんです。だから今回の著書でも野菜の美しさがそのまま出るように、切り方、見せ方には工夫しました。ヤングコーンでも縦切りにするのと輪切りにするのでは全然印象が違う。輪切りにするととってもかわいいんですよ(笑)。

クリスマスおすすめレシピ
- −−もうすぐクリスマスですが、著書の中からおすすめのレシピを教えてください。
- 柿沢さん そうですね〜、クリスマスということで赤がきれいな『ビーツボルシチ』、赤と緑の配色が美しい『ロールキャベツのトマトスープ』なんかがおすすめですね。パスタが入ってボリュームたっぷりの『春菊のジェノヴェーゼパスタスープ』もいいかもしれない。ベジスイーツスープだと『トマトといちごのスープ』はホントにおいしいですよ〜! 『ごぼうとバナナのホットスープ』も簡単に作れておすすめです。
- −−柿沢さんご自身はいつもクリスマスをどのように過ごされてますか?
- 柿沢さんもうずっと飲食の仕事してるので、クリスマスはお休みしたことないです(笑)。おかげさまでクリスマス時期は本当に忙しくて。でもお客さまの喜ぶ顔を見てるのも幸せなんです。私自身は休みの日でもスーパーに行って「この野菜は…」なんて考えているくらいの"野菜オタク"なので、息抜きといえば、好きな音楽を聞いたり、サッカーを観ることくらいかな。実は海外のロックが好きなんですよ。よく意外だって言われますが。この本を撮影する時もロックかけてましたよ(笑)。好きなアーティストが来日するときは時間作ってライブに駆けつけたりもしてますね。
日本の野菜を世界に…野菜から広がる夢
- −−「ポタジエ」のケーキといえば、トマトのショートケーキ『グリーンショート・トマト』が代表的ですが、今回の著書にしても、「ポタジエ」のケーキにしても、凡人には思いもつかないレシピの数々、一体どうやって発想するんですか?
- 柿沢さんいつも作る前に頭の中で味を想像して、絵を描いてみるんですよ。今回の本にも、実はカバーを外すと表紙に私の描いた絵が(笑)。「ポタジエ」での試作に次ぐ試作で、段々と相性のいい野菜もわかるようになってきましたし、あとは素材の置き換えですね。たとえばオニオングラタンスープをキャベツで作ってみたらどうだろう、とか。野菜そのものを見てひらめくこともあります。毎週契約している農家さんから野菜が届くんですが、野菜の色、形を見ているだけでもインスピレーションがわきますね。

- −−「ポタジエ」で発行しているリーフレット『ポタジエNEWS』でも毎号、農家訪問の様子が紹介されていますね。
- 柿沢さん月に2回くらい、各地の農家さんを訪問して畑に入ってます。『ポタジエNEWS』で様々な農家さんを紹介しているのは、単に「ケーキおいしかった」で終わるのではなく、皆さんにケーキの材料になっている野菜作りの現場を知ってもらって、農業について少しでも考えるきっかけになったらな、という思いからなんです。実際に畑に行ってわかること、感じることってたくさんあります。私自身が都会育ちで野菜作りのことをまったく知らなかったので、畑や田んぼにいって驚くことばかりでした。それを少しでもお店に来た方に伝えられたらな…とリーフレット作りをはじめたんです。
- −−パティシエの枠を超え、どんどん活躍の幅も広がっているようですね。
- 柿沢さん 私には皆さんに野菜をもっと食べてもらいたい、知ってもらいたい、という思いがあるんです。そのためには店でお菓子を作るだけじゃなく、子供たちに食育講座を開いたり。こうやって本を出すこともその活動の一環だと考えています。実は2011年の1月、六本木ヒルズに野菜寿しのお店を出店するんです。最高級のお野菜と最高級のお米を使って。今流行りの米粉ではなく、あくまでお米を粒で食べることにこだわりました。おそらく野菜寿し専門店も世界初なんじゃないかな。ゆくゆくは野菜寿しを世界に輸出したいと思ってるんですよ。今、日本人の米消費率が1960年代に比べて半減してるんです。そんな中、外国で日本の農産物が注目されれば、日本人もまた日本のお米、野菜を見直すかもしれないなと。そうなったらいいですよね。
- −−野菜寿しのお店、間違いなく注目を浴びそうですね。"野菜オタク"の名にたがわず、野菜への愛でいっぱいの柿沢さん。今後のご活躍を楽しみにしています!




















