- 和希沙也さん (かずき・さや)
- 83年、滋賀県生まれ。02年「ミスマガジン2002」のグランプリを受賞。「ペット大集合!ポチたま」(テレビ東京)や「アッコにおまかせ!」(TBS)などに出演中。
インタビュー
- −−執筆のきっかけは。
- 和希さん幼いころから「怪人二十面相」や赤川次郎さんの「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーや推理小説が好きで、そのことを周囲に話していたら学研教育出版さんから「書いてみませんか?」というお話をいただきました。読むのは大好きですが、まさか自分が書けるとは思いもよりませんでした。
- −−今でもよく本を読みますか。
- 和希さんそうですね。雫井脩介さんや宮部みゆきさん、東野圭吾さんなどを愛読しています。特に宮部みゆきさんの「かまいたち」という時代物のミステリーがとても面白くて、そこから改めて推理小説にはまりました。
- −−執筆で苦労した点は。
- 和希さん自分が頭に描いているものを言葉にするのは、すごく難しいということを、書いてみて強く思いました。自分の中でしっかりとイメージできていないと、セリフも情景も何も出てこないんですよね。それと、私は今26歳なので(対象読者である)小学生や中学生の子たちが、どういう言葉だとひきつけられるのかなど、そういう点が分からず、当初はとても苦労しました。
- −−イメージを文章に落とし込む工夫は。
- 和希さん登場人物のキャラクターを作るにあたり、雑誌の写真を切り抜いて、イメージを具体化するようにしていました。希の部屋の間取りなんかも全部そうです。当初、書いていてもイメージが固まらなかったので、こういうことから始めて、どんな髪形なんだろう、どんな性格なんだろうと考えながら進めていきました。
- −−いわゆる「パンダ外交」と政治が物語の軸になっています。
- 和希さん小中学生に読んでもらう推理小説で、いきなり人が死んでしまうのは、ちょっとよくないかなと思い、でも事件にはしたかったので、パンダの誘拐にしようと決めました。みんなパンダが事件の鍵だと言うと「え? パンダ? 誘拐?」と不思議がります。なぜパンダかというと、出演しているバラエティー番組「ペット大集合!ポチたま」(テレビ東京)のロケで、08年の四川大地震後の成都(四川省の省都)に赤ちゃんパンダを見に行くことがあり、とても過酷なロケだったのですが、その分、赤ちゃんパンダに出合えたときの感動を忘れられませんでした。また政治については、翔のお父さんを総理大臣にすれば、今後、この作品を続けていくとき、どんな事件も起こせるのではないかと思いました。事件の規模が大きくなったり小さくなったり、すごく自由がきくだろう、と。
- −−希の「修業中の占師」という設定が特徴的です。
- 和希さん主人公の女の子に何か能力をつけたいと考えたときに、今までの探偵もので誰もやってないものは何だ、しかも謎解きができるといったらと突き詰めていくと、エスパー的な能力かなと思い、占師に落ち着きました。まだ見習いの占師で、しかも電磁波に弱いっていう(笑い)。周囲が携帯電話を使うと占いの邪魔になっちゃうという設定は、私自身とても気に入っているところです。
- −−その他の登場人物について。
- 和希さん翔は本当に頭がよくて、切れ者で、ちょっとツンツンしているけど実は優しいんじゃないかという感じの子です。どの登場人物も、読んでる人たちが共感できる部分があると思います。あとは小宮山刑事ですが、意外に私、あの人のとぼけたキャラクターが気に入っています(笑い)。特に主人公の2人がそうですが、何だか私の子どもみたいな感じがします。もう親心(笑い)。
- −−今後、続編の予定は。
- 和希さんまずはこの作品がみんなに愛され、その後、ぜひ続編を作れるようになりたいですね。今回が、世界情勢とか、いろいろと規模が大きかったので、次は学校内とかがいいかもしれませんね。希と翔は中学生なので、恋愛はまだ早いと思いますが(笑い)。
- −−読者に一言。
- 和希さん今はインターネットが主流で、実際に本を手にとって読む機会がすごく減ってきています。でも本はやはり自分の人格をつくるものだと私は思います。たった一冊の本にいろんな人生や物語が詰まっているから、読まないと損だと思います。だから、この本をきっかけに子どもたちが「あ、本ってこんなに面白いんだな」と気づいてくれたら、うれしいです。