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| 執筆の合間、竹林経営に挑む登美彦氏。竹を相手に悪戦苦闘!? |

| 『美女と竹林』 |
| 冴えない大学生が迷い込んだ4つの並行世界、ほろにが青春ストーリー |
| 『四畳半神話大系』 |
| 第20回山本周五郎賞受賞第一作!狸が主人公の青春ファンタジー |

| 『有頂天家族』 |
| 「山月記」ほか4編、あの名作短編を森見流アレンジ |

| 『<新釈>走れメロス』 |
| 「黒髪の乙女」を恋う「先輩」、キュートでポップな片思い! |

| 『夜は短し歩けよ乙女』 |
| 座敷に棲む狐面の男、京の骨董屋をめぐる奇譚集 |

| 『きつねのはなし』 |
| 日本ファンタジーノベル大賞受賞作、京都が舞台の妄想小説! |

| 『太陽の塔』 |
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−−『美女と竹林』は月刊小説宝石に連載されていたものですが、そもそも「竹林」をテーマに選んだ理由とは? 森見さん もともと竹林が好きだったためと、たまたま同僚のお宅が竹林を持っていると聞いたためです。また、連載という形にしてしまえば、真面目に通って切るだろうという目算もありました(笑)。つまり、竹林のあとから連載が決まったという感じです。 −−この作品を含めて、森見さんの作品には、いつも印象的なタイトルがつけられていますが、どんなこだわりがありますか? 執筆の際、タイトルからイメージを膨らませることはあるのでしょうか。
森見さん 『竹林伐採記』とか、そのものズバリのタイトルだと、明らかに面白くなさそうなので、何か意外なものを竹林と結びつけてタイトルにしようと思いました。「竹林」だけではなかなか人目を引けませんが、「美女」がつけば「お!」と思うはず。タイトルは文章の看板なので、できるだけ「ん?」と興味をひくタイトルを考えようと頑張ります。良いタイトルが決まると、すごく楽になります。タイトルからイメージを膨らませることももちろんあります。 −−読んでいると竹を伐採することの大変さがひしひしと伝わってきます。すべて実体験を基になっているのでしょうか? 森見さん 明らかに嘘みたいなことが本当であることもあり、本当らしいことが嘘の場合もあります。その割合は企業秘密です。 −−竹林の魅力とは? 森見さんにとってのベスト竹林はどこですか? 森見さん 竹林の魅力は、人工的な感じがする構造、竹林の中に漂う宇宙的雰囲気というようなところです。じつは、まだ本当の理想の竹林とは出逢っておりません。探索の途上にあります。 −−竹林の経営は「作家として行き詰まった場合の布石」として思いついたそうですが、今後の見通しはいかがなものでしょう。 森見さん 作家として行き詰まるまで、竹林経営に本腰を入れる時間はなさそうです。しかし作家として行き詰まってから頑張ろうと思ってもうまくいくかどうか……そもそも本当に儲かるのでしょうか(笑)。 −−MBC(モリミ・バンブー・カンパニー)の最高責任者として、成功した後の様子も生き生きと描かれていますが、あれは森見さんの理想の生活、ですか? 森見さん あのあたりは、「MBC最高責任者としての森見登美彦」の発言と行動であり、フィクションですね。 −−この本をはじめ、最近の作品にはご自身をキャラクター化した森見登美彦氏が登場しますが、一人称ではなく第3者の視点で書く理由とは? 森見さん ブログを3人称で書き始めたのは、客観的であることを自分に強制するためです。そうでないと面白くならないだろうと。小説で登美彦氏を登場させるのは、主人公と自分が同一視されることが多いので、そこへ登美彦氏を出してぐしゃぐしゃにしてしまおうというつもりでした。うまくいっているかどうか分かりませんが。「登美彦氏」は私なりの美意識による美化が入っているので、私本人とはちがいます。登美彦氏は私よりも愉快な人物ではないかと思います。 −−作家としての苦しみを赤裸々に明かす登美彦氏に惹かれるのですが。 森見さん 本当は作家としての苦しみを赤裸々に書いてはいかんと思います。書いてはいかんと思うけれども、つい書いてしまいます。日常が淡々としていて、締切との戦いのほかに、何も書くことがないからです。反省すべきところです。 −−独自の文体も印象的ですが、一体どのように生まれたのでしょうか? 森見さん 大学時代の友人たちとの会話、大学時代に読んだ本、あとは一作一作書いてきた経験から。ただし、私の書くもののように、わざとムツカシイ言葉をつかって阿呆なことを表現したりするのは、偏屈な男たちにはよくある手法だと思います。あとは、その無益なことにどれだけの精力と時間を注ぐかの違いだと思います。 −−作家&勤め人という2足のわらじ、いや、竹林経営と合わせて3足のわらじの生活を送っていらっしゃいますが、大学時代に小説家としてデビューしながら、就職したのはなぜですか? 2足のわらじをはいている良さ、苦労する点とは? 森見さん 『太陽の塔』みたいなヘンテコな小説を書いただけで、出版界に単身乗り出すような勇気はとてもありませんでした。幸運にも就職が決まったので、これはもう就職するのが当然です。2足のわらじの大変さは、単純に休みがないことと、頭を切り換えて集中するのがムツカシイということです。良さは、小説だけで生きていかずに済むことです。 −−2足のわらじ状態は今後も継続したいと? 森見さん 2足のわらじは継続します。自分の能力というものを信用していないからです。 −−大学は理系に進まれていますが、もともと小説家になりたかったのですか? 森見さん 初めて小説を書いたのは小学校3年生の頃です。その当時から、「お話を書く人」になりたいと思っていました。ただ、そのまま文学部に進むというほど文学少年ではなかったので、経験の幅を広げるという意味もあり、理系に進みました。しかし、できの良い理系ではありませんでした。 −−本屋大賞で常に上位を占めるなど、人気作家となった今の率直なお気持ちを。 森見さん 部屋の中でぽつんと座ってると、何も変わりません。本当に人気があるのか、疑わしい。仮にあるとしても、いつまで続くのか疑わしい。もう何も信じられません。 −−京都を舞台にした作品が多いですが、他の場所を舞台に描く予定はありますか? 森見さん 京都を舞台にする理由は、京都だと読者にファンタジーを受け入れてもらいやすいからです。また、自分が日常的にうろうろしているので、妄想をふくらませやすいということもあります。京都以外を舞台にするとすれば、野性時代に連載してきた『ペンギン・ハイウェイ』のように郊外の住宅地を舞台にすることは考えられます。いずれにせよ、自分に馴染み深い場所でないと難しい。 −−今後、書きたいこと、竹林以外の多角経営プランがあれば、ぜひ。 森見さん 目先の締切をやっつけるのに精一杯で、今後書きたいことはまだ明確になってません。もやもやしています。また、竹林経営すらまともにできないのに、これ以上多角経営のプランを立ててどうなるというのでありましょう。 −−ちなみにMBCは現在、会員(社員?)を募集中なのでしょうか?森見さんのファンが参加できる条件や活動内容などがあれば教えてください! 森見さん 竹林に逃亡する森見登美彦氏に心の中でソッとエールを送り、『美女と竹林』を買うこと(笑)。 −−なるほど……。最後に、読者にメッセージをお願いします。 森見さん 身近な竹林を愛しましょう。 −−愛すべき竹林を見つけてみたいと思います。本日はありがとうございました! 【インタビュー 宇田夏苗】 |