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| 『中村江里子 パリマニア ERIKO的フランス暮らし』 1,575円(税込) |
| 『中村江里子の毎日のパリ』 1,575円(税込) |
| 『エリコ・パリ・スタイル』 1,575円(税込) |

| 『メリーポピンズ -スペシャル・エディション』 2,940円 (税込) |
| 『Mr.インクレディブル』 1,890円 (税込) |
−−パリでの生活をテーマに本を出されていますが、今回、「メゾン・ド・リュクス」と呼ばれるフランスの老舗ブランドの舞台裏を紹介しようと思ったのはなぜですか? 中村さん 昨年末に『毎日のパリ』という日記風の本を出させて頂いたので、それとは違う形のものがいいなと思ったこともありますが、女性なら誰でも「いい物を知っていたい」という気持ちがあると思うんですね。ブランドに関していえば、名前は良く知っているのに、どういう人たちが、どのように作っているのかということは意外に知らないと思うんです。ですから、その裏側を覗いてみたい、という純粋な好奇心がきっかけです。ブランド物は値がはりますが、そこには理由があるはずで、ところがその理由を知っているかといえばそうでもなくて、「ブランド物だから仕方ない」と思っていたりしますよね。物づくりの裏側を覗くことで、なぜ高いのか、ということもわかるのではないかと思いました。 −−ルイ・ヴィトンをはじめ、バカラ、メゾン・ド・ショコラといった、日本でもよく知られている老舗のアトリエを取材されていますが、この本を読んで、100年以上続くブランドが、それぞれの歴史に触れることのできるミュージアムやアーカイブを持っていることにも驚かされました。
中村さん 基本的には自分が取材してみたかったところに行かせて頂いたのですが、ファッションにチョコレート、ホテルのサービスまで、多岐にわたっていると思います。 −−世界に名だたるブランドの職人さんたちの仕事場に入り込み、取材するのは大変だったのでは? 中村さん ところが皆さん本当に快く応えて下さったんですよ。とても歓迎してくれたのは驚きでした。日本と違って、フランスでは約束していても予定通りに進まないことが多いので、それを覚悟して行ったら、全くそんなことがなくて(笑)。好奇心もありましたが、きちんと取材したいという、こちらの意図をよくわかって下さったのかなと思います。 たとえばルイ・ヴィトンでは、スーツケースに釘を打つ作業されている方のところに行って話しかけたのですが、本当に丁寧に説明して下さって。こんな素敵な人たちが作っているものなのだから、大切に使わなければという気持ちになります。メゾン・ド・ショコラにしても、高価で自分のためにはなかなか買えないのですが、一つのチョコレートを作るまでに素材を厳選して、チョコレートを均一に伸ばして、またその上から塗って、切るのも手作業で…という舞台裏をみると、高価な理由もわかるし、とても感動するんですね。 −−以前、「好きで持っていたブランド品を『流行だから、ブランド物だから持っているんだろう』と言われることにすごく抵抗があった」と仰っていたのが印象的だったのですが、物に対する興味はもともと強かったのですか? 中村さん そうですね。物に対してすごく興味があるのと、個人的な話で申し訳ないですが、実家が楽器店をやっていて、今年で創業134年を迎えます。日本にはもっともっと古い歴史を持つお店もありますが、それでも100年続けて維持してきたのはすごいことだと思うんです。今回取材させて頂いたお店には、300年も続いているところも、50年のところもありますが、自分の家族を見ていたこともあって、歴史を重ねることがいかに大変なのかがよくわかるんです。長い歴史の中では絶対に浮き沈みがあるはずで、それを乗り越えてきたから今があるわけで、もしかしたらこの後、また下がっていくことがあるかもしれない。でも、そうなったとしても頑張って守って欲しいと思います。そういう現場で仕事をしている方たちが、私にとっては尊敬の対象ですし、仲間なんていったら失礼ですが、そういう気持ちがあるのも事実です。この本の取材を通して、積み重ねられた歴史のすごさを感じ、とても勉強になりました。 −−高価だからいいというのではなくて、もっと奥深い良さがあるんですね。 中村さん 「これだけ時間をかけて作られたものを私は持っているんだ」と思うと、たぶん流行なんて大したことではなく、「自分が好きだからこれを持っている」という幸福感が感じられると思うんですよ。 −−本の中にはご自身が大切にしていらっしゃるユニークな物も紹介されていますが、物選びには時間がかかるそうですね?中村さん どういうわけか、とりあえず買って間に合わせておこうというのができないんです。テレビもつい最近、突然、ブチンと切れて、それでようやく買いかえました(笑)。彼(夫のバルトさん)は、「薄型にしたら」と言っていたのですが、私は「まだ使えるのであれば」と買い換えることができないんですね。物を捨てるとか、使えるものを捨てることにすごく違和感があるので、一生付き合う気持ちで買わないと…と思ってしまうんです。 曾祖母、祖母と4世代で暮らしていたこともあって、その世代の人たちは物を捨てるという感覚がないようですね。包み紙でも何でもとっておくので、実家に帰ると、「ごみ屋敷みたいじゃない」と思うぐらい(笑)。でも、フランスで暮らし始めた時、そうやって「もったいない」と思って暮らすのがいいんだなと感じたんです。布がボロボロになった古い家具を買ってきて直したり、服もデザインを直して着るとか。自分が好きだと思うものを、好きだという気持ちのままに使うことがいい!!と、パリに住み始めてから納得ができたのです。時間をかけて、自分にとって一番いいものを見つけたいという意識がフランスの人にはありますね。 −−この本のはじめに「老舗のバックステージには<アール・ド・ヴィーヴィル>、フランス的暮らしのアートが息づいている」と書かれていますが、そういったことが<アール・ド・ヴィーヴィル>につながるのでしょうか? 中村さん これはあくまでも私が感じたことなのですが、<アール・ド・ヴィーヴィル>というのは、自分なりの生活を楽しむことではないかと思うんです。人がどう思おうと、「自分はこれが好き」という気持ちを大切にしながら生活するとか、好きなものを上手に集めて暮らすとか、そういうことではないかと。古いものを大切に使ったり、直しながら使うこともそうですし、誰かの物まねではない、自分だけのスタイルを持って、それによって気持ちが豊かになることだと思いますね。 −−フランスには長い歴史を持つブランドが数多くありますが、物づくりの老舗を生む理由はどこにあると思いますか?中村さん たとえば革命記念日に行進する人たちの制服ひとつとっても、お洒落というか素敵なんですね。そして驚くのが、パリに住んでいる人たちが日に何度も「パリってきれいだよね」と口にするんです。彼も運転中に「ほら、見ろよ、きれいだから」とエッフェル塔に見とれていたりするので、「危ないから前をみて運転して」と言うぐらい(笑)。美しいものを大切にする土壌があって、みんながそれを感じているのだと思います。 −−いきなりブランドが生まれたわけではなく、しっかりした土壌があるんですね。 中村さん もちろん、貴族社会だった影響もあると思いますが、もともときれいなものに反応する感性が優れているような気がします。これは子供を持ってから発見したことですが、公園に行くと子供たちが落ち葉や石を拾って、「すごくきれい」と言っていたりするんですね。日本の子供も同じだと思いますが、そんな風に純粋に美しいものに反応できる感性というのは、本当に素晴らしいと思います。 −−最後に、この本をどんな風に読んでもらいたいですか? 中村さん 私自身が書いて何かを伝えたいのかと言われたら、そんなことは恐れ多いですし、それよりもパリで暮らす中で面白いと感じたこと、驚いたことを共有できる人がいたらいいなと思っています。HPに「こんなことがあって…」と書くと共感して下さった方がメールを下さったり、誰かが「そうそう」と言ってくれるのがすごくうれしい(笑)。共感してくれる仲間が欲しいという感覚なんでしょうね。 ブランド物は高いけれど、高価なのには理由があるんです。パリマニアの方はたくさんいらっしゃると思うので、そういう方にも読んで頂きたいし、そうでない方にはパリを知って頂きたいです。私もこれからもっともっと「パリマニア」になっていきたいと思っています。「マニア」っていい言葉だと思うんですよ。知ることによってもっと好きになれるわけですから。 −−今後もいろいろな驚きをぜひ伝えて下さい。本日はありがとうございました!
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