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−−月刊誌『LEE』のコラム連載2年分に加筆して一冊にまとめたそうですね。今も連載が続いているそうですが、毎月毎月のテーマ出しや締切は、大変なのでは?
中山さん 何がテーマになるかは、いつも、パソコンの前に座って書き始めてみないとわからないんです。まず些細なことでもいいから書き始めてみると、ひとつ小さな気づきがあって、それを書いていたらまた別のことに気づいて……と、連鎖反応を楽しみながら書いています。最初はどうなることやらですが、勢いがついてくると早いから、今までは締切に苦労することはなかったですね。私、宿題も早くやるほうだったので(笑)。ただ、連載コラムが1000字と決まっていたので、収めるのが大変です。毎回、必死に削っています(笑) −−そんな連載コラムに、とても長いまえがきを書きおろしたのは、どうしてなんですか? 中山さん この本を単なるパリの日記風にしたくないと思ったんです。連載で書ききれなかった部分をもっと書きたいと思いましたし、なぜ、パリに住んだのかも含めて、きちんと書いておきたい、と。これまでは、自分の中だけで消化しようとする気持ちが大きかったんですが、パリに来て、子どもを産んで、私自身少し強くなれたのかもしれません。ひとりの女性としてふつうにパリで暮らしていくうちに、いろいろなものの見え方も変わってきました。 −−書きながら変わっていったのですか? 中山さん 書いていて、これまでこんなに自分と向き合ったことはなかったと思いました。母となって、自分の母を思い、祖母を思い、そして子どもだったころの自分を思い、つながりというものを感じました。そしたら、自分の中では解決していたつもりのことが、まだだったんだと気づいて、書きながら、なんだか浄化されていくような気がしたんです。 −−パリの生活をとても楽しんでいらっしゃる様子が文章にも写真にも表現されていますね?
中山さん ひたすら歩いたり、地下鉄に乗ったり。マルシェに買い物に行ったり。今は修了しましたが、フランス語を習いにも行きました。あと、ずっとやりたかった刺繍教室には今も不定期で通っています。……以前は日本でも外国でもクルマに乗るのが楽しみだったりしたのに、今は、自分では運転しなくなりました。家族ができて責任感のかたまりになってしまって。パリでの運転は度胸が必要ですから(笑) 今は本当に穏やかな日々を過ごしています。夫と、出会ってから結婚するまでの間に、すべてをぶつけあって話し合ったこともよかったのかもしれません。この人に弱点を隠していたくないって思いましたから。おかげで今はけんかもしなくなりました。夫も息子も「ママ、ママ」っていつも私のことを呼んでくれる、そんなふつうの毎日です。 −−今5歳になられた息子さんですが、3歳すぎるまでは存分に子育てに専念されたそうですね? 中山さん 頼る人のいないパリでしたから、全部が手探りで、まじめに子育てしました。まじめすぎたかもしれません(笑)。ミルクの量、授乳の間隔や食べたものを、産院でもらった育児ジャーナルにつけるのですが、3歳くらいまでしっかり書いていましたから(笑)。出産直後はマタニティーブルーになってしまって、そんなに弱音を吐く方ではないのに、「疲れた〜」と、泣いちゃったりしていましたね。 −−本の中には、辻さんとの運命的な出会いのシーンが印象的に書かれていますね? 中山さん ひとことでいえば、運命という言葉しか浮かばないです。彼は自分の可能性を最大限に生かそうとする人。その生き方は、そばで見ていてとても気持ちいいです。 −−辻さんのことを『彼は大人でもあり子どもでもあり……友人としてだったら友人になれたことをラッキーだと思う。妻としてはこんなに面倒な相棒はいない。それが私の望んでいた伴侶。愛すべき人』と書いていて、とても心に残りました。
中山さん 彼は小説家であり、映画監督であり、そしてロックシンガーでもある。その中のひとつの職業の夫を支えるだけでも大変だと思うんですね。私も音楽や芝居をやってきているからわかるんですが、当然、煮詰まることもあります。それが家族に伝わってくることも。でも、そんなときは、いっしょに生活をしているのではなくて、私たちはいっしょに生きているんだ、そう思うようにしています。 −−辻さんが原作の映画『サヨナライツカ』がクランクアップしたそうですね? 結婚、出産を経ての役作りに変化はありましたか? 中山さん ええ、大きく変化したと思っています。愛に生きたヒロインの塔子を演じましたが、彼女の奥深さが滲み出るような、そんな雰囲気を出せたんじゃないかなって思っています。 −−30代最後の年ですね? どんな1年にしたいですか? 中山さん 実はこの1年間はどんな占いを見てもよくないんです(笑)。でもきっとそれが逆バネになるんじゃないかと。さすがに新しいことを敢えて始めようとは思いませんが、こういう性格だから、ちょっと楽しみな1年なんです。 |