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仲山:三木谷から「改訂版を出そう」という話があったんです。そこで、前の本を改めて見直して、大幅に変更する必要はないと考えました。内容の97%くらいは「商売の本質」の話なので、そこは大昔から変わらない部分ですから。 この本は「楽天大学」の講座内容をもとにしています。「楽天大学」は「ネットで商売をやるフレームワークを提供しよう」という三木谷の提案から始まっているので、「こうすればすぐ売上げがあがる」という“やり方”よりも、基本的な“考え方”に重点をおいています。 ──今回の具体的な改訂点と新たにプラスされた部分は?仲山:「集客」に関する部分を改訂しました。本質部分である「接客」は変わらないのに対して、「集客」は技術開発や環境の変化に伴って移ろっていきます。具体的には、「EC市場の拡大状況」「ブログ・アフィリエイトの普及」「メールマガジンを取り巻く環境変化」などを踏まえて、どう考えたらよいかを加筆しています。 さらに、表現をわかりやすくしました。前回の出版後6年間、店舗さんのサポートをしていて、どのへんが伝わりにくいかがわかったので、そこを改善しました。例えば「人気(ひとけ)」は「店長の写真を載せること」ととらえられがちなので、「お店の人のひとけ」と「お客さんのひとけ」の2種類があって、後者がより重要であることを強調したり。 なお、成功事例は、改訂前のものをそのまま使っているケースも多いです。「新しい事例が知りたい」という人もいると思いますが、事例はあくまでも“考え方の枠組み”を理解するための具体的な形として紹介しています。そうすると、ECの成長期の事例より、まだお客さんが少ないときに工夫しながらやっていた黎明期の事例のほうが、緻密に考えられていて参考になったりするんです。 ──ネットショップの販促に欠かせないメルマガの開封率が下がっているといわれる昨今ですが、今後、メルマガはどのようになっていくでしょうか。 仲山:テキスト、HTML、携帯にかかわらず、要は中身次第です。単なるチラシではなく、役に立つ情報を中心にコミュニケーションを進めていけば、必ず読んでくれるお客さんが増えていきます。メルマガの効果の違いは、お客さんとの距離感を縮められるメルマガか、そうでないかの違いだと思います。 ──それも含めて、この10年で、ネットショップをとりまく状況はどのように変わりつつありますか? 仲山:成長カーブ(Sカーブ)というのがあります。「導入(黎明)期→成長期→成熟(普及)期→衰退期」のライフサイクルの話ですが、これで考えると、楽天市場は1つのSカーブのプロセスを終えて(1.0時代)、次のSカーブに乗り換えようとしている時期(2.0時代)だと考えています。 1.0時代というのは、卵屋さんや明太子屋さんなど中小規模の専門店がリードした時期。人間味のあるハイタッチなやり取りが特徴です。お客さんとの1対1の丁寧な対応や、うんちくたっぷりのメルマガで、ファンが増えていくようなコミュケーションが魅力でした。 それが成長期(1.5時代)に入ってくると、月商1億とか数千万という店舗が増えて大型化し、産直品店がスイーツを売り始めたりと、売上げ・品揃えとも増えていきます。そうすると、接客のスタンスもある程度、ビジネスライクにせざるを得なくなってくる。メルマガも、EC自体が伸びているのでリストを集めてメールチラシを打てば売れる時代です。ただ、ポイント何倍セールといったことを続けているだけだと、だんだん反応率が下がってきて、いずれ限界が来るわけです。 ──1.5時代を経て、今は、ネットショップはどの時期にあるのでしょうか?仲山:今年のテーマは2.0時代。螺旋階段を1階から2階に上がったイメージです。だから原点回帰としてお客さんへのスタンスは1.0的なものが復活してくる。3人称マーケティングと言っているのですが、例えば、キムタクと同じサングラスを買ったり、共感を持てる人のブログに影響されたり、「誰かがいいと言っているから買う」時代なんです。要はクチコミです。ブログやSNSの普及によって、クチコミパワーが極めて大きな影響を持つようになっています。結局、クチコミしてもらえるかどうかは、お店や商品のファンになってもらえるかどうかですので、お客さんとの関係作りが大事になるということです。そこに感動を呼ぶストーリーがあれば、ブログ等を通じて広まりやすくなり、「魅力という重力」で人を引き寄せられるようになるはずです。 今回、このタイミングで改訂版を出したのは、そのような意味で1.0時代のスタンスを見直してほしいというメッセージが込められています。 ──この本は、どのような方にどんなふうに活用してもらいたいですか? 仲山:まずは、1.0時代を知っており、すでに楽天に出店している方へ。 1.5時代を経てスタンスが変わってきたのを、もう一度、商売の原点を思い出すのに使ってほしいです。おそらく、この本に書いてあることは全部知っていると思います。ただ、実際には半分もやっていないはず(笑)。あるいは、惰性で続けているだけだったり。そのあたりを、もう一度チェックしてみていただければと思います。 次に、成長期の1.5時代にネットショップを始め、売上げを伸ばした方へ。 今までのやり方がすべてではないことを知ってほしいです。価格競争が激しくなるほど、「この店で買いたい」とお客さんに思ってもらえるかが大事。集客はお金を使えばできますが、ファンが増えるような接客は、より頭を使わなければいけないのです。 また、スタッフが増えた店舗さんが多くありますが、店長自身は何をどうすればよいのかがわかっていても、スタッフはわかっていないというケースが多い。社内の共通言語作りのために、この本は使えると思います。実際、ある店舗さんからは、「スタッフ全員分、予約しました!」というメールをいただきました。数十人規模の店舗さんです。 最後に、まだ楽天に出店していない方へ。 楽天でうまく行く人は、PCが得意な人ではなく、商売が上手な人。「PCが苦手だから自分はネットショップとは無縁」と思っている方には、ぜひこれを読んで、「こういうことなら実店舗と同じだからわかる。自分でもできそう」と気づいて、出店してほしいです。 ──繁盛店の秘訣とは具体的にどのようなものがありますか? 仲山:コツがないと気づくのがコツ(笑)。この本に書いてあることを全部やる。あたりまえのことをあたりまえにやり続けて初めて、持続的な成果が出てきます。地道にやり続けて、他の店より「少しいい」のが「いい店」じゃないかな。 それと、自社サイトを持っている方から楽天市場出店のメリットを聞かれるのですが、私はたくさんあるメリットの中で、「店舗さんが商売に専念できること」が大きいと思います。 自社でシステムや集客をゼロからやるのは大変なこと。私がネットショップを開くとしたら、まずは迷わず楽天市場に出店します(笑)。 ──仲山さんの、これからの目標、夢をお教えください。 仲山:楽天市場の認知度がまだまだ高くはなかった数年前、あるスタッフが渋谷の交差点で信号待ちをしていたら、近くにいた2人連れが、楽天で買い物をした話をしているのを聞いて感無量だったと言っていました。そこで私の“ぷち野望”としては、渋谷の交差点で「私、来週有休とって楽天見るの」という会話を耳にはさみたい(笑)。有休取ってディズニーランドに行く人はいるけど、楽天市場を見る人はあまりいないでしょう?そのレベルのエンターテイメントと位置づけてもらえるよう、さらに楽しくする仕掛けを考えたいですね。 ──最後に、ネットショップを成功させたいと願う読者に、メッセージをお願いします。 仲山:「成功より成長」と言ったりするのですが、本物の成功とは一発当てることではなく、成長し続けること。そういう問題意識がある人には、この本は必ず役立つと思います。 ──大変勉強になりました。本日はありがとうございました! 三木谷浩史初の著書『成功のコンセプト』のインタビューはこちらから>> |
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1つ1つの質問に、丁寧に誠実に答えてくれた仲山さん。基本に忠実に、コツコツと地道に商売する中で、他の店より「少しいい」のが「いい店」という言葉が印象的でした。お客さんを楽しませようという気持ちと、自分自身も仕事を通じて成長したいという気持ちが、「Shopping is Entertainment!」を生み出すと実感しました。インターネット業界で仕事をする者として、黎明期の初心やワクワクする気持ちを思い出させてくれる、心ひきしまる1冊です。【インタビュー 常山あかね】 |