- 折原みとさん(おりはら・みと)
- 1月27日生まれ。茨城県出身。小説家。漫画家。小説家としては1987年、『ときめき時代 つまさきだちの季節』(ポプラ社刊)にてデビュー。講談社X文庫のレーベル「ティーンズ・ハート」の主要作家として活躍し、『天使シリーズ』や『アナトゥール星伝』、『時の輝き』シリーズなど、人気作を多数執筆。95年、『時の輝き』が映画化され、原作が110万部を超えるベストセラーとなった。
インタビュー

- −−今作は全寮制のお嬢様学校が舞台となっていて、大正・昭和時代の古き良き少女小説のようなレトロな雰囲気が漂っている物語ですね。今はケータイ小説のように文章的なリアルさのある作品が多いように思いますが、そんな時代になぜ、このような小説を書かれようと思ったのですか?
- 折原さん最近は口語的というか、リアルすぎる文体で描かれている小説が増えてしまって、小説本来の良さみたいなものが失われてきてしまっていると思うんです。それで今回は、時間軸は現代ですが設定をレトロにして、本来の日本語の美しさをお伝えできるような小説を描こうと思いました。文章自体も、あえて古いテイストの文体を使って書きました。
- −−舞台となっているのは鎌倉ですが、なぜ鎌倉にされたのですか?
- 折原さん鎌倉はこじんまりしていて、土地のサイズ的にとても書きやすいから選びました。それに芥川龍之介や川端康成など、昔は文学者がたくさん住んでいたんです。すごく文学の香りが漂っている街なので、今回の舞台には最適だと思いました。私が住んでいる逗子から近くて、親しみがあるので書きやすかったというのもあるんです。
- −−全寮制の学校の中で、優雅に慎ましく生活しているお嬢様たちの様子が描かれていますが、これらは先生の理想とする女子校像なのですか?
- 折原さんそうですね。“こういう学校があったらいいのに!”という思いを、設定には詰め込みました。まあ実際、こんな女子校が現代にあるはずはないんですけど、そこをあえて…。
- −−でも女子であれば、お嬢様同士のおしとやかなやり取りや優雅な寮生活って憧れますよね!
- 折原さんそうなんですよ! 私もすごく憧れがあります。小学生のときに、“少女小説の元祖”と呼ばれている吉屋信子さんの作品を読んで、あの独特なお嬢様同士の言葉づかいなどに、すごく憧れたんですよね。それに、私自身も女子校出身だからわかるんですけど、実際の女子校ってわりとお下品だったりするじゃないですか?(笑) だから余計にこういう、お嬢様たちのお上品な女子校ライフに魅力を感じるのかもしれません。

- −−その気持ち、わかります! 女子校の実情を知っている者からすると、あのお嬢様たちの世界はもはやファンタジーですもんね(笑)。主人公の風子ちゃんしかり、物語の中には「これぞ、乙女!」という雰囲気を醸し出している、個性豊かな女の子がたくさん登場しますが、先生の中では“乙女の定義”とは、どんなものなのでしょうか?
- 折原さんスピリットです!年齢や外見に関係なく、精神的なもの。正しい女子であろうとする心構えを持っていれば、乙女だと思います。
- −−“正しい女子”とは?
- 折原さん相手の立場になって行動ができる、自分の考えをちゃんと持っている、目上の人を敬う、ものを大切にする……などができる女の子は、“正しい女子”だと思います。至極当たり前のことなんですけどね。正しい教育を受けている人って、それらが自然に身についているじゃないですか? そういう当然のことができていれば、乙女としての“品”が備わってくると思うんです。
- −−なるほど。登場人物のお嬢様たちは、お花や日舞、陶芸など、日本人女性としての嗜みもしっかり身につけていますよね。
- 折原さん全部私の趣味でもあるんです。今回、自分自身が好きなものをすべてお話の中に入れてしまいました。華道はもう師範なので今は習っていませんが、お茶、日舞、お琴、書道はかれこれ10年以上習っていますね。陶芸はこの作品を描くにあたって、取材で一日体験をさせていただいたのですが、面白くてハマってしまい、習い始めました。

- −−す、すごいです! 先生ご自身が、完璧な乙女マスターなのですね! やはり以前から日本文化などに興味がおありだったのですか?
- 折原さん日本文化や日本のものは好きでしたね。でも自分で習い始めたのは、本当にここ10年ぐらいなんです。お友だちのお母様に着物をいただいたのがきっかけでした。その着物を自分で着たくて着付けを習ったら、日常的に着物を着ていく場を作りたくて、お茶を習い始めました。そしたら今度は、着物を着ているときの身のこなしが気になってしまって、日舞を習い始めて…という感じで、どんどん習い事が増えちゃったんです。
- −−やはり日本人であれば、日本の文化を知っておくことは必要ですよね。
- 折原さんそうですね、勉強していくと楽しいですし。若い頃は毛嫌いしがちなんですけど、ある程度年齢を重ねると日本文化の素晴らしさや面白さがわかってくるものなんですよね。日本語もね、実は本当に素晴らしい言葉なんですよ。この本を描くにあたって、日本語についてもいろいろ勉強したんですけど、言葉のひとつひとつに日本人特有の趣がつまっていて、昔の人の美意識の高さに感動しちゃいました。
- −−古き良き日本の良さ、そして乙女要素が満載につまった『乙女の花束』ですが、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
- 折原さん日常会話では使わないような美しい日本語を、読みやすいかたちで随所に散りばめているので、これを読んで「私、日本人でよかったなあ…」なんて思っていただけたら嬉しいです。また、着物やお菓子、お花など、乙女的要素もてんこ盛りの物語になっております。“乙女の教科書”としても楽しんでいただけますので、ぜひ、手にとっていただけたらと思います。ちなみに、『乙女の花束』は三部作になる予定で、ヒロイン・風子ちゃんの卒業までを描くつもりです。
- −−続編も楽しみです! 本日は、どうもありがとうございました。

- ★久しぶりの小説ということで非常に楽しみにしていました!若干イジメ?も出てきますが内容的はほのぼの系です。みと先生のブログで分かるように、みと先生の趣味が反映されています。















