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−−シアーズ博士ご夫妻は8人のお子さんを育ててこられた妊娠・出産・育児の大先輩でもあります。著書のベビーブックシリーズが世界中のパパやママ、赤ちゃんに頼りにされているのも納得です。シアーズ博士 上から3人の男の子は、医師になって私と一緒にクリニックで仕事をしています。娘もかわいい赤ちゃんに恵まれてよく遊びに来てくれますよ。私も妻も赤ちゃんが大好きなんです。8人の子供達はもちろんですが、私は医師、妻のマーサは看護師として、約40年間、何千・何万もの赤ちゃんを見てきました。私たちの本に書いてあることは、私たちがたくさんの赤ちゃんや子供達から学んだことばかりなんですよ。 −−赤ちゃんが教えてくれた、赤ちゃんを育てる際に大切なことを教えてください。 シアーズ博士 まず、赤ちゃんはできるだけ長く母乳で育てることが非常に大切です。米国の調査では、長く母乳で育てた赤ちゃんは健康で、ハッピーで、賢い赤ちゃんが多いということが分かっています。 −−母乳にはとてもパワーがあるんですね。 シアーズ博士 はい。お母さんが赤ちゃんに授乳するとき、二人の間には与え合う関係が生まれます。お母さんが母乳を与える際、赤ちゃんにはミルクだけでなく「健康」「幸せ」「成長」を与えていますが、同時にお母さんは赤ちゃんから、「ハッピーホルモンの増加」というとても大切なものを与えてもらっているんです。 −−母乳を通して「幸せ」をやりとりできるなんて、素敵なお話ですね。 シアーズ博士 はい。自然の作り出したすばらしさですね。 −−できるだけ長く、とおっしゃいましたが、具体的にはどれくらい母乳を続けるのがよいのでしょうか? シアーズ博士 本当は3年くらい続けてもいいくらいです。 −−長いですね!働くお母さんが増えてきた日本ではなかなか難しいと思うのですが。 シアーズ博士 そうですね。母乳を普通のミルクに切り替えるのであれば1年くらいで切り替えるのがいいかもしれません。離乳食はアボカドや、つぶしたサツマイモ、バナナなどもいいでしょう。果物などもオススメです。もし赤ちゃんが母乳が大好きで、ほかの食べ物を食べたがらないときは、それは「僕は母乳が大好きで、これが一番体にほしいんだよ」という赤ちゃんからのメッセージなので、無理に離乳食にきりかえる必要はありませんよ。 −−母乳を与えると賢くなる、というお話ですが、もう少し詳しく教えてください。 シアーズ博士 赤ちゃんのお母さんもお父さんも、誰もが「頭のよい子に育つように」と願っていると思います。赤ちゃんの脳は、生まれてから2年の間に3倍になるといわれており、この期間、よい食事を与えていくことがとても大切です。 赤ちゃんの脳の60%は脂肪でできているため、米国では赤ちゃんの脳のことを「脂肪でできた脳」という言ったりもします。だからこそ、よい脂肪をたっぷり摂ることがとても大切です。また、食事などで摂ったブドウ糖の25%を脳が使います。脳は糖分を蓄積しないため、脳がどんどん育っている赤ちゃんは、ずっと何かを食べたいと思っているんですね。 また、呼吸で取り入れる酸素の25%を脳が使いますので、野菜やフルーツなどをたくさん食べて、抗酸化物質をたくさん摂る必要があります。脳は自動車のようにガソリンをたくさん使います。だから赤ちゃんはよい食べ物を補給し続けないといけないのです。 −−健康で賢い赤ちゃんを育てるには、よい食べ物を与え続けることが重要なんですね。 シアーズ博士 はい。しかし、赤ちゃんが生まれる前、つまり、妊娠最後の三ヶ月も、赤ちゃんの脳にとって、とても大切な期間です。最後の三ヶ月で良質な脂肪をお母さんがたくさん摂ると、母体も健康になりますし、赤ちゃんも健やかで賢い子に育てられます。 −−良質な脂肪、とはどんなものですか? シアーズ博士 妊娠6ヶ月から9ヶ月の間、赤ちゃんの脳によい食事としてオススメなのはワイルドサーモン、マグロなど。これらは成長を助ける「グローフード」とも呼ばれています。魚油、亜麻仁油、オリーブオイル、木の実、アボカドなどもとてもいい脂肪分。こういうものを妊娠後期から出産直後、しっかり摂ってください。赤ちゃんが生まれた後の脳の成長はとても早いので、お母さんの母乳からどんどん良質の脂肪や栄養素を取っていってしまいます。母乳で育てるのであれば、魚をたくさん食べましょう。 −−魚介類や良質の油はなぜいいのですか? シアーズ博士 これらには赤ちゃんにも、母体にも必要なオメガ3、DHAなどがたくさん入っています。こういうものをたくさん食べているお母さんの赤ちゃんはとても健康だし、お母さん自身も産後欝になりにくいなどの効果があるんですよ。避けてほしいのは水素添加油。つまり、コーン油、綿実油、ひまわり油、紅花油など。赤ちゃんのためにも、頭をよくする油を選んで摂ってほしいですね。 −−なぜこれらの食物は、体にも脳にも、メンタルにも好影響なんですか?シアーズ博士 脳は1分間に何百万回もの間、鍵を鍵穴に入れるような連結を行っています。小魚やマグロ、サーモンなどのシーフードは、この鍵を鍵穴に入れる役割を果たしています。中でも魚介に多く含まれるオメガ3は、脳の絶縁体のような役割を果たすのでとても重要です。オメガ3とDHAは、早産気味で生まれた赤ちゃんの視力の改善にも効果があるという研究があります。だから私は「Sea Food は See Foodでもある」と思っているんです。 7歳の注意欠陥症の子供に、工場で加工した油ではなく、自然の油を与えるようになると、見違えるほどハッキリしたいい絵を書くようになった、という検証もあります。私は5年前、京都で講演会を行ったんですが、そのとき主催者が連れて行ってくれた薬膳料理の店でとても感銘を受けました。魚、海草がたっぷりの古くからの日本の食事はまさに頭がよくなる食材にあふれています。そのときの講演はとてもうまくいったのですが、講演前にこのような「頭がよくなる食事」をご馳走してもらったからなのでは」とも思いました(笑)。 子供が小さいうちに、工場で作られたものではなく、過剰な加工が施されていない「リアルフード」を食べることはとても大切です。腸の内壁が自然食の消化ができるようにプログラミングされるようになります。さらに、食事の仕方にも注意をしてください。できれば、一回の食事量を半分にし、食事回数を回数を2倍にする。そして2倍長く、よく噛んで食べるという方法を取り入れてほしいですね。私の子供達にも実践していましたが、製氷皿やマフィン型などに小さくきった食べ物を入れて、ちょこちょこかじるのは、脳にとてもよい食事方法です。 −−最終的な量は同じでも、一回分を減らして回数を増やすことでどんなよいことがあるのでしょう? シアーズ博士 血中のインスリンレベルが安定するからです。たくさんの量を少ない回数で食べると、血中のインスリンレベルが急激に上がったり下がったりします。が、少ない量で回数を増やして食べると、インスリンレベルの上下のふり幅が少なくなります。インスリンとは、オーケストラで言えば指揮者のような役割を果たしています。少ない量で、多い回数食べれば、体内のオーケストラは美しい調べをかなで始めますよ。 体の中の一番大きい内分泌期間は甲状腺でもすい臓でもなく血管なのです。血管の中には何百万本もの薬の瓶があり、体のために必要なものを処方していると考えてください。しかしジャンクフードばかり食べて、テレビばかり見て動かないと、内壁にべとべとのプラークが張り付いてしまい、必要なときに薬瓶のフタが開かなくなってしまうんです。さらにこのぷラークは、血液細胞も一緒に固めてしまうので、脳卒中や心臓発作にもつながります。5歳でも冠動脈にプラークが形成されている子供もいます。よい食習慣と運動をあわせると、血液のよい成分を放出できるいい血管がキープできます。赤ちゃんだけでなく、大人も、自分の中の薬瓶をいつでもオープンな状態にしておくのに必要なのが、最初にお話したシーフードや良質脂肪、野菜、果物などです。不足しがちな栄養素はサプリメントなどで補っていくことも効果的ですよ。 −−子育てしながらも仕事に復帰するお母さんが日本でも増えています。赤ちゃんにかかりきりというわけにはいかない場合でも、最上のことをするために、お母さんは何をすればよいのでしょうか。 シアーズ博士 赤ちゃんを育てる際に迷ったとき、思い出してほしいことが一つあります。何をするにしても、何を決めるにしても、「もし自分が赤ちゃんだったら何をしてもらいたいか」、というところに立ち戻って決めてあげてください。また、理想の子育てをすべてかなえることができなかったとしても、「お母さんが、できる限りのことをしている」ということがいちばん大切なんです。いっしょにいるときは赤ちゃんを抱っこして語りかける。あなたが大好きだと伝えてあげる。そして赤ちゃんにとっていいものを選んで与えてあげる。それで十分です。もし保育園やベビーシッターなど、サポーターを頼む場合は、自分だったら赤ちゃんにこう接したい、ということをしてもらうようにお願いしてください。 そしてもっとも強力なサポーターはやはりお父さんです。私は、赤ちゃんをうまく抱っこできるスリングも提案していますが、これならお父さんでも赤ちゃんの一番そばにいてあげられますよ。お母さんもお父さんも、いっしょにいるときはできるだけ赤ちゃんに触って、抱っこして、愛情をたっぷり伝えてあげてください。きっと赤ちゃんには伝わっていますよ。 |