- 瀬尾 まいこ(せお まいこ)さん
- 大阪府出身。大谷女子大学文学部卒業。『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞受賞、2005年 『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞受賞、2008年 『戸村書店 青春100連発』で坪田譲治文学賞受賞。京都府北部の中学校の現役国語教諭でもある。
インタビュー

- −−児童虐待をテーマに選ばれた理由をお教えください。
- 瀬尾さん児童虐待を描きたいというふうに書き始めたわけではないんです。なので、理由と言われても、とくに理由はありません。書き出したのが何年も前で、書いたり、ずっと書かなかったりという感じで進んできたので、書き始めたときの記憶もあいまいですが、これくらいの男の子が背伸びをしながらがんばっている感じを描きたいなと思って、なんとなく出てきた設定です。
- −−虐待という設定なのに、『僕の明日を照らして』では、「悪」というより「弱」という描き方が印象に残りました。
再婚して父親になった優ちゃん(虐待する側)が悪で、主人公の隼太(虐待される側)がかわいそう、という、よくありがちな虐待テーマの小説とはスタンスが違っているように感じました。どちらかが悪い、という設定にしなかったのはどうしてでしょう。 - 瀬尾さんべつに、どちらかが悪いということにしないようにしよう、という意識があったわけではありません。被害者加害者、というふうには考えなかっただけです。ただ、中学校でも、キレて感情をコントロールできない、そんな事象がたくさんあって、そういう気持ちを何とかしてあげたいな、とはよく思っていました。どうしたら何とかなるんだろうとか、そういうことを考えながら描きました。
- −−現実には、虐待される側が逃げて解決、というのがほとんどですが、隼太と優ちゃんは、逃げずに努力をしつづけて、そして希望を見つけます。傷つきあいながらも当事者同士があきらめずに解決の努力をしつづけるということは実際に可能なのでしょうか? 実の親子でも難しいことだと思うのですが、血のつながらないこの二人がそれに取り組めたのはなぜだとお考えでしょう? 隼太の孤独と、優ちゃんが忘れたフリをしていた子ども時代の孤独が、共鳴しあったのでしょうか?
- 瀬尾さん実際に可能か、ということはよくわかりませんが、私個人の印象だと、それはそれほど難しいことではない気がします。血のつながりとか、似た部分があるかどうかということは、あんまり関係ないように思います。私は根性なしですが、私でもこの二人のようにできます。少々の愛情みたいなものがあれば、これくらいは余裕な気もします。
- −−ふたりがこんなに苦しんで努力しているのに、正直、「母親は何をしてるんだ!」と思ってしまうことも多々ありました。
- 瀬尾さんそうですね。でも、身近すぎると見えないこともありますし、子育てでも何でも、なにかひとつの面に必死になっていると、見落とす面も出てくると思います。
- −−現役の中学校教師でもある瀬尾さん。教育現場で子供たちと接して、何をお感じになりますか?
- 瀬尾さん中学生は大変だなとは思います。人付き合いに勉強に部活にといろいろあって。でもその中でぐるぐる回りつつですが、よくなろう、よくしたい、ってがんばっている姿は素敵だなと思います。たまたま決められたクラスの中で、それでもそのクラスのために必死になったりしてしまうところとか、尊敬してしまえるところもあります。そりゃ中学生なので、まだまだ未熟な部分もたくさんあって、当然なながら、参るわーって思うこともたくさんありますが、でも、大人がそれをいちいち問題視してぎゃあぎゃあ言ってるのを見たり聞いたりすると、本当の中学生を見たらいいのにって思ったりもします。めでたい人だと思われるかもしれませんが、それでもやっぱり中学生は素敵だとしか言いようがないです。
- −−どうもありがとうございました!
















