- 内田春菊さん (うちだ・しゅんぎく)
- 長崎県生まれ。1984年、四コマ漫画で漫画デビュー。代表作に『南くんの恋人』『水物語』『目を閉じて抱いて』など。小説に『ファザーファッカー』(直木賞候補)、『キオミ』(芥川賞候補)などがある。『私たちは繁殖している』と『ファザーファッカー』で第4回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。また、エッセイ集に『愛だからいいのよ』『基礎体温日記』などがある。
インタビュー
- −−エッセイやマンガなどで、私生活、自分の意見などを赤裸々に綴られている内田春菊さんですが、小説とエッセイの違いを意識されていましたら、教えてください。
- 内田さんエッセイだと“自分が主人公”というところから逃れられないですよね。そういう意味で小説だと世界が広がります。今回はキライな人に乗り移って書いてみました。理解しがたい人を描いたつもりなのですが、読んでくださった男性の方から「主人公の気持ちよく分かります」と言われましたけど(笑)。
- −−男性にはこの主人公の気持ちがわかるんですか…女性としては、ちょっとショックですね(笑)。
- 内田さん男性はエリートで、仕事ができると、何をやってもつっこまれないようなところがありますよね。仕事ができる人に限って“自分の女をきちんと可愛がることができているか”という部分が抜け落ちていたりすることって…ありませんか?
- −−なるほど、そういった傾向ってあると思います。この小説は、男性の願望&欲望の小説なのでしょうか?
- 内田さんでも、登場人物の女性も自分の欲望むき出しですよね。それは男性に都合のいい欲望ではけっしてない。こういう男性にはこういう女性が関係するだろうな、と考えていったら、今回は自分が共感できるキャラクターが出てきませんでした。
- −−そこがまたリアルですよね。男性の欲望小説だと都合よい女性ばかりが出てきて、現実感がなくなってしまいますし。今回の作品では、ケンカのシーンも迫力があって、女性のイヤラシイ部分が読んでいて、痛かったです。
- 内田さん女性で読んでくれた方は「痛かった」って感想が多かったみたいですね。いろんな「痛さ」があると思いますが。
- −−ところで、表紙にも描かれている「金魚」には、どんなイメージがあるのでしょうか?
- 内田さんこの金魚の顔が「ぬけぬけと」という感じがでてませんか?どのタイプの女とも別れたくない、基本的にはすべての女は自分のもの、と思っている男性っているんですよねぇ。ぬけぬけと(笑)。男性の本能なのですかねぇ。この本は、女性が読むのはしんどいのでは…という心配はあります。反対に男性は、何の疑問もなく読んじゃう人もいて、それはそれで心配なんですけどね。「男性ってこうなんですよ。仕方ないですよね、アハハ」って言われたりすると、「何笑ってるんだろ…」と内心思ったこともあります(笑)。
- −−この作品のように「釣った魚に餌をヤラナイ上に、他の魚も欲しい!」というのが男性の本能だとしたら、確かに女性が読むにはしんどい本ですね…。でも、春菊さんご自身は、恋人(妻)でもあり、お母さんでもあり、作家でも女優でもあるということを全部上手にこなされているように見えるのですが、秘訣はあるのでしょうか?
- 内田さん以前、中村うさぎさんの番組に夫婦で出させてもらったときも、そういったことを言われましたが、自分ではそんなに意識してやってないんですけどね。う〜ん…私が妻として、お母さんとして、うまくやっていこうとするのを邪魔するのは、ダンナの父親でしたからね。
- −−その確執は『ほんとに建つのかな』に描かれてますよね。お父さんは読まれて、気を悪くされたりしませんでしたか?
- 内田さん「ネタを提供した!」って言ってたみたいですよ(笑)。もちろん気分良くなってはいないとは思いますが、もう最近はあんまり会ってませんし。
- −−あ!話がズレてしまいました(笑)。秘訣をお聞きしていたのですが…
- 内田さんそうですね、子どもができると「お母さん」にモードチェンジする人が多いのかもしれませんけど、昔の価値観の「いいお母さん」に変わらなくてもいいのでは?と思います。人間って誉められたいものだから、「いいお母さん」ってこうあるべきというものがあって、それに自分をはめてしまうんでしょうね。私は前の時代の価値観に合わせようなんて…そんなのやってられないんですけど(笑)。自分がセクシーでいたければ、セクシーなお母さんでいいですよね。
- −−なるほど。その自然な感じがいいですね。最後に読者にひとことお願いできますか?
- 内田さんイヤだろうけど(笑)女性に読んで欲しいと思ってます。自分のパートナーの男性に読ませて、反応を聞くのも面白いかも。
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