- 藪本雅子 さん (やぶもと・まさこ)
- 1967年、京都生まれ。早稲田大学を卒業後、日本テレビに入社し、アイドル女子アナの草分けとして活躍。その後報道局で記者として取材に奔走し、2001年、結婚を機に日本テレビを退社。05年2月に第二子を出産し、2児の母に。
インタビュー
- −−本を書かれたきっかけはあったのですか?
- 藪本さん会社から離れて数年経って、ちょうどいろんなことを話したくてしょうがないときだったのかもしれないですね。2年前、ハンセン病元患者の宿泊拒否事件があって、むしょうに腹も立っていた。控訴断念であんなにみんな感動したのに、もう忘れちゃったの?って。そんなときちょうど、記者の友人を通じて、ハンセン病のことを本に書きませんかというお話をいただいたんですね。ただし、そこにたどりつくまでの自分のことを書かなければ、やはりわかってもらえないだろうなと思いまして。
- −−ご自身のことについては、摂食障害や恋愛や、いろんな過去が思い切って書かれていますよね。
- 藪本さん世間の人はもちろん、主人にも話していないことも、たくさん書きましたね。ちょうど二人目を妊娠していたときでしたし、上の子も遊び盛り。毎晩、みんなが寝静まったあとに集中して書きましたけれど、自分でも思い出しながらボロボロ泣けちゃって。かなり恥ずかしいことも書いているので、世間の人が私のことをどう思うかという不安もありましたね。でも、芸能界から女子アナになって、華々しい道を歩いているように思われていたところもあるじゃないですか。実はその裏ではさまざまな劣等感に支配されて、イメージと本当の私とのギャップというものをいつも感じていました。この本は、本来の私の自己紹介本でもあるんですよね
- −−本になって、あらためて発見したご自分は?
- 藪本さん何よりの発見は、私にも1冊の本が書けたんだ、ということでしょうか(笑)。過去のことを書いているときはものすごく苦しかったんです。でも書き終えてしまえばもうすっきりしてます。読んだ人がどう思うかも、こう形になってしまったんだから、あとはなるようになれ、と。私にとって書くことは、ある種の心理カウンセリングみたいなものだったと思います。ただし、むずかしかったのは、やはりハンセン病のこと。わかりにくい問題を、どうやってわかりやすく読んでもらえるのか、ここは一番苦労したところです。そもそもあまり論理的なタイプではないので、文章にしながら、自分のなかの思考も整理していった。なんでこんなにハンセン病にこだわるのか、それから自分がどういう人間なのか、書いたことで自分でも見えてきた部分も多いと思います。
- −−ところで今は、どんな毎日を過ごしていらっしゃいますか?
- 藪本さん普通のお母さんをやっていますね。毎日1回のお買い物と、公園に行くのがイベントになっていて(笑)。想像できたかですか? これは私が望んでいた日々でもありますから。女子アナ、記者というあまりにも非日常的な毎日を過ごしていましたから、ようやく人らしい生活が送れるようになったというか。子育てするということは時間のゆとりはないけれど、精神的なゆとりがすごくできると思うんですね。だからこそ、私にもこうした本が書けたというのはあると思いますね。
- −−どんな人に、どんなふうに読んでもらいたい本になりましたか?
- 藪本さん いちばん読んでほしいのは、ハンセン病のことにまったく興味のない人ですよね。私自身、心身症のようなものも経験して感じたのは、少しでも落ちこぼれた人を世の中がダメだダメだと簡単に切り捨ててしまうこと。でもそんな世の中を見直してほしかった。タイトルじゃないですけど、失格者と呼ばれても、チャンスはいくらでもあるんです。つい偏見で見てしまう人には、ちょっとだけでいいからその見方を変えてほしかったし、自分を失格者だと思っている人には勇気を持って、もう一度やる気になってほしかったんです。最後に一言ですか? 私のこと嫌いにならないでね、って言っておいてもいいですか?(笑)
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