- 山上樹一さん (やまがみ・きいち)
- フラワーデザイナー。1996年に外資系旅行会社を退職し、渡欧。ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、ロンドンでフラワービジネスを学ぶ。帰国後、東京をはじめ北関東にフラワーショップをオープンさせ、2002年からは欧米を中心にした活動を開始。現在では年間1500組のWEDDINGを手掛け、全国のブライズから圧倒的な人気を誇る。
- 公式ホームページ : http://www.heart-co.jp
インタビュー

- −−まずは山上さんの「花」との出会いについて、お聞かせください。
- 山上さんつきあっていた女性がとても花の好きな人だったんです。日々の暮らしの中に、それはそれは上手に花を取り入れていて、すごくステキだなぁと思いました。そんな彼女に喜んでもらいたくて、花をたくさん買うようになりました。飲みに行く回数も減らしてね、お酒にかけていたお金をみんな花につぎ込んでしまったくらい(笑)。
- −−そうでしたか。ステキな出会いですね。しかし、だからと言ってフラワーデザイナーになるというのはちょっと飛躍(笑)かと思いますが、そのきっかけは?
- 山上さんええ、実はその女性にふられてしまって……。かなりのショックでした。そこから立ち直るために、生活をガラリと変えようと思ったんです。精神的に落ち込んだ中で、とても癒されたのが花の存在でした。そして、これを仕事にしたい! という気持ちになりました。もちろん、親には大反対されましたよ。それまでは外資系の企業につとめていたこともあって、同世代の人並み以上の収入がありましたから「どうかしちゃったんじゃないか」と思ったんでしょうね(笑)。ですから、親にも安心してほしかったし、彼女に認めてもらいたい気持ちもあり、早く大成して一人前のフラワーデザイナーになりたかった。
- −−異業種からの転身ということですね。苦労したのはどんなことですか?
- 山上さん花が好きと言っても、それを仕事にするような知識は何も持っていなかたんです。まったくのゼロからのスタートでした。そこで、まず思いついたのがたくさんの花を見て歩くこと。せっかくなら、世界の花事情を見ようと思い、ヨーロッパへ渡りました。各国を見て歩く中で、とくに花が生活の一部だなぁと感じられたのがパリ。そこで花屋さんで働きながら勉強して、日本へ戻りました。日本に帰ってから、今度は日本で花の仕事をしていくための知識と技術を身につけるために、花屋さんに住み込みで働きました。当時30歳くらいでしたが、月の給料は数万円。明けても暮れても花ばかりの生活でした。1年ほどのつもりが結局7年間。あの時期を経てきたからこそ、今の自分があると思っています。
- −−でも、違った視点が持てるなどのメリットもありますよね?
- 山上さんそうですね。以前の仕事ではマーケティングなども手掛けていましたので、視野が広いということは言えると思います。フラワーデザインをするときも、自分の作品を作り上げるというより、贈られる人にどれだけ喜んでもらえるかを念頭におくようにしていますが、そういった客観性が持てるのも、組織の中で働いていたメリットでしょうね。花の勉強のために渡欧する前にも、世界の各地を見てこられたのは旅行業界にいたからですし。
- −−なるほど。山上さんのフラワーデザインの魅力の一端を垣間見られたように思います。ところで今回、フラワーデザインの本を出版しようと思ったのはなぜですか?
- 山上さん花は、それをデザインする人がそれぞれの感性で仕上げるものだと基本的には思っています。ですから、正直なところ“How to”的なものには、最初は少し抵抗がありました。でも、現在もスクールで教えていますし、花を楽しみたいという人が増えてきている今、その取り掛かりとなるものがあってもいいかな、と思うようになったのです。僕も最初は何から手をつけていいかわからなかった。同じように思っている人の助けになれればうれしいです。
- −−どんなものにも、基礎は必要ですよね。この本では、アレンジの仕方はもちろん、よく使われる道具や使い方、カラーチャートまでずいぶん丁寧に網羅されていますが、まとめてみていかがでしたか?
- 山上さん本の形にすることで、頭の中が整理されましたし、教えるときにどうすればいいのかがより鮮明にわかってきました。最初のテキストとしては使いやすいと思います。でも、出来上がってみると、やっぱりもっとあれを入れたかったとか、こうすればよかったという気持ちも(笑)出てきますね。とても勉強になりましたから、取り組んでよかったと思っています。
- −−最後に、これからの活動と夢をお聞かせください。
- 山上さん今後は「花」そのものだけでなく、花のある空間そのものをプロデュースしていきたいですね。でも、一方でフラワーデザイナーとしてはしっかりと地に足の着いた活動をしたいとも考えているので、ショップはずっと大切にしていきたい。やはり「花」がたくさんの人の手に渡っていく現場に近いところにいることは重要なポイントなんです。ただし、視野は広く、グローバルに。将来の夢は、まだ日本人のデザイナーが手掛けたことのない分野に進出すること。パリのオペラ座やグラミー賞の会場など、いわゆるレッドカーペットと呼ばれる場の装飾を手掛けられるようになりたいと思っています。
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