- 山口智子さん (やまぐち・ともこ)
- 1964年生まれ。女優。代表作に『純ちゃんの応援歌』『ロング・バケーション』『向田邦子の恋文』など。古今東西の文化を結ぶことをテーマに、映像制作や執筆活動を行っている。ドキュメンタリー番組の出演作に『Letters 彼女の旅の物語』『山口智子 手わざの細道』シリーズ、『山口智子の音楽遺産』などがある。著書に、『手紙の行方 チリ』『反省文 ハワイ』、共著に『恋文 女帝エカテリーナ二世 発見された千百六十二通の手紙』がある。
インタビュー
- −−山口さんが、文章を書くこと、そして本を出そうと思われたキッカケを教えていただけますか?
- 山口さんすべては、『Letters』という旅の作品から始まりました。この作品を通して多くの出会いがあり、あまりにも多くの感動をいただいたので、これは、とても独り占めしておけない!と思ったことが始まりです。文章を書くことが好きではなかった私が、書き残したい!という衝動にかられてここまで来たことに、自分でも驚いています。これぞ、旅の持つ不思議な力。自分で書いているというより、出会った人々や感動に、知らず知らずに書かされていると言ったほうが、近いかもしれません。
- −−旅の中で素晴らしい出会いがたくさんあったんですね。今回の旅で一番良かったことは、どのようなことだったのでしょうか?
- 山口さんこんなに近くにあったのに、今まで全く気づかなかった『ハワイ』というものへの、入り口に立てたことです。ワイキキの世界から、自分の足で踏み出してみて初めて、たくさんの素晴らしい出会いがありました。やはり、人との出会いが、人生を深く彩ってゆきます。今、ハワイ文化は、大きな変化の時を迎えています。失われつつある祖先の偉大な遺産を受け継ぎ残そうと、人々は立ち上がろうとしています。そんな彼らの声を聞き、その大きな変化の時に立ち会えたことは、貴重な体験であり、とても幸運だったと思います。「今」でなければ、出会えなかった人々がくれた感動。それを「伝える」ことの意味。ハワイとの出会いが、私を大きく変えたと思います。
- −−今まではカメラで撮られる側だった山口智子さんですが、今回撮る側に回られてどう変わられましたか?
- 山口さん出会った多くのかたがたは、ただそこにいるだけで、圧倒的な存在感がありました。自分の人生を生きるという日々の堆積が、人間を輝かせるのだと思い知りました。特に、カメラのフィルターを通すと、全ての真偽が、白昼のもとにさらされるような気がします。カメラの前では、嘘は通じません。肉眼では見えない内面も、この機械は映し出してしまう。その怖さも心に刻みつつ、彼らのように、自分の人生を堂々と生き通したいと思います。
- −−自分の人生を生きている人々は、カメラの前でも輝くわけですか…。重い言葉ですね。そのように迷いなく生きている人々に出会って、山口さんはどのような影響を受けられたのでしょうか?
- 山口さん天職を見つけるということより、『今の自分に何ができるか』が大切だと思うようになりました。今の自分の役割、その日々の連続の上に、いつか『天職』らしきものが見えてくるのかもしれません。
- −−天職ですか…。では山口さんは今、どのようなことに興味を持っているのでしょうか?そして今後は、どのようなことをしていきたいとお考えなのでしょうか?
- 山口さん知れば知るほど世界は広がりを増し、そして、遠い異国への好奇心の行き着く先には、自分の出発地点、故郷日本がありました。ハワイとの出会いは、故郷日本というものへの回帰にも繋がりました。海洋民族であった島国日本とハワイは、どこかで繋がっている気がしてなりません。世界を一周してみて初めて今、やっと、日本に、もの凄い興味が湧いています。もっと勉強してみたいテーマです。本文にもありますが、ハワイで感じたものは、『宇宙』でした。言葉にすると薄っぺらく、宗教的になってしまってイヤなのですが、結局、宇宙とは、遠くにある特別なものではなくて、自然の一部として存在する自分自身。その真実をサラっと言ってのけてしまうハワイの大きさに、私は圧倒されました。新鮮な感動でした。そんなハワイに、文明人気取りの私達こそ、どんどん学んでゆくべきだと思っています。
- −−…私でも、今までとは違ったハワイが見えてきそうです。ハワイに行くと「なんとなく体調がいいなぁ」と思っていたのですが、もしかしたらきちんとした理由があったのかもしれないですね(笑)。では最後になりますが、このハワイの取材を終えられて、この本で一番伝えたいことを教えていただけますか?
- 山口さんハワイの古代ナビゲーションの話が出てきますが、その精神が、今の地球に一番必要な事ではないかと感じています。宇宙の一部としての自覚を持ち、宇宙から常に発せられている多くのメッセージを受け止め、宇宙に漂う地球という船に乗り合わせたものの一人として、私達は何を成すべきか。私も、それを探りながら、自分にできる事から、始めていきたいと思います。
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